研究課題/領域番号 |
22K11648
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59030:体育および身体教育学関連
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
石田 智巳 立命館大学, 産業社会学部, 教授 (90314715)
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研究分担者 |
加登本 仁 安田女子大学, 教育学部, 准教授 (40634986)
制野 俊弘 和光大学, 現代人間学部, 教授 (70795153)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | エンゲストローム / 活動システムモデル / 体育実践 / 活動システム / 矛盾 / 体育授業 / 深い学び / 体育 |
研究開始時の研究の概要 |
活動理論から仮説的に「深い学び」を定義するならば,体育科の場合,①教科の内容(運動技術や戦術など),②組織の中でのふるまい方,③学習観やスポーツ観にかかわる「深い学び」があることになる。そして,エンゲストロームは,学習の発展を共同体内で起こる矛盾に求めており,この①の教科の内容に関わる学びの深まりには,②と③の深まりが欠かせないことも予想される。そこで,本研究では,体育授業では矛盾が何と何の間で,あるいは,どのように起こっているのかを構造的にとらえ,その解決のためにどんな方法が用いられたのかを整理し,「深い学び」を生み出す方法を明らかにすることを目的とする。
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研究実績の概要 |
研究2年目となる2023年度は,主にエンゲストロームの活動システムモデルを用いて体育実践を分析したすべて(4つ)の研究を比較検討し,特徴を明らかにした。 ①について,結論のみを示しておく。運動文化・スポーツを内容の中心とする体育授業では,運動文化・スポーツに人々が見いだす多様な価値(欲求)が存在し,主体である子どもたちはその様々な価値(欲求)をもっている。体育授業には,教師のもちこむ価値(欲求)も存在する。それゆえ,第1の矛盾は,エンゲストロームがいう「交換価値と使用価値」の矛盾よりもかなり複雑な形で存在している。体育授業に現れる矛盾は,子どもたちの経験の差,能力の差,考え方の差が,欲求の差となり,ルールや分業,対象/動機において潜在的なズレとなり,それが道具を使用した対象への働きかけという行為間の矛盾となって表出するパターンが多いと考えられる。今回分析したボール運動,シンクロマット,リレーはどれも集団で行う活動であり,個人的な行為である種目とは違い,価値(欲求)の差から矛盾が起こりやすいといえる。体育授業で起こる矛盾は,プレー場面ではダイレクトに出現する。ただし,それを矛盾と見ない場合もある。また,体育授業においては,教師が子どもたちにこれまでの個々バラバラのやり方では解決できない新しい課題を設定することで矛盾が起こりやすい(第3の矛盾が最初に起こりやすい)。 価値(欲求)の差は,授業の対象となる「対象/動機」を構成することを難しくする。とりわけ,学習活動を子どもたちに任せると共通の「対象/動機」が持ち得ず,そのため,共通の「道具」が構成されずに,子どもと子どもの間に矛盾が起こりやすい(田原,寺島)。それゆえ,教師の何らかの働きかけが必要になると思われる。教師の指導が適切に行われていて,「対象/動機」が構成されている場合でも,不測の事態によって矛盾が生じることがある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画では,エンゲストロームの活動システムモデルを用いて行った体育実践の特徴を明らかにすることと,新たな実践を活動システムモデルを用いて分析することであった。今回は成果としてあげていないが,3つの実践を分析しており,後はまとめに入るだけである。
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今後の研究の推進方策 |
計画は概ね順調に進んでいるため,計画通りに進めることにしたい。
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