研究課題/領域番号 |
22K11671
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59030:体育および身体教育学関連
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研究機関 | 岡山医療専門職大学 |
研究代表者 |
安田 従生 岡山医療専門職大学, 健康科学部 作業療法学科, 教授 (00467119)
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研究分担者 |
谷岡 利裕 昭和大学, 薬学部, 准教授 (80360585)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | DNA損傷・修復能 / DNAテロメア長 / ミトコンドリアDNA / 体力レベル / ステロイドホルモン / 第二次急伸期 / DNA 損傷・修復能 / DNA テロメア長 |
研究開始時の研究の概要 |
心肺持久力が向上すればDNA修復能も増大し、唾液中ミトコンドリアDNAコピー数も増加するとの報告があるため、これまでの研究課題では、DNA修復能と唾液中ミトコンドリアDNAコピー数との関連性を見出すことに焦点を当てた。しかしながら、我々の研究では、DNA修復能と唾液中ミトコンドリアDNAコピー数との間に有意な相関が認められなかった。そこで、近年、心肺持久力の向上がDNAテロメア長の減少を抑制するとの報告がなされているため、本研究(2022年度~2024年度)では、DNA修復能とDNAテロメア長との関連性を主として、様々な関連物質を包括的に考慮に入れながら検討する。
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研究実績の概要 |
本研究は、成長期男女のスポーツ選手における運動・トレーニング量(長期)及び一過性の持久的運動(短期)に対するストレス耐性を、DNA 損傷・修復能、DNAテロメア長、心肺持久力(体力レベル)及びエストロゲン分泌量の相互関連性から検討することを目的としている。令和4年度(2022度)におけるデータ解析結果において、体力レベルを同等に比較した場合の成長期男女のスポーツ選手における中強度持久的運動後のDNA損傷及び修復能は類似しているという結果に至っている。 それらの結果に基づき、令和5年度(2023年度)の生化学分析として、尿中ステロイドホルモンレベル(エストロゲン)、唾液に基づくDNAテロメア長及びミトコンドリアDNAコピー数を定量した。その結果、尿中ステロイドホルモンレベル(エストロゲン)とミトコンドリアDNAコピー数及びDNAテロメア長との間に、有意な相関関係は認められなかった。一方、ミトコンドリアDNAコピー数と体力レベルには有意な相関関係が観察されたが、DNAテロメア長と体力レベルには同様な結果は得られなかった。 これらのことから、唾液による検出方法で、体力レベルが増大するとテロメア長よりもミトコンドリアDNAコピー数との間で有意に相関が高く、これまで先行研究を通して他の検体(筋組織等)で見られた現象が、唾液を用いても同様な現象を観察することが可能であることが窺えた。令和6年度(2024年度)においては、さらに詳細な従属変数(各種生体マーカー)における相互の関連性を段階的に検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度(2022年度)で得た結果では、体力レベルを同等に比較した場合の成長期男女のスポーツ選手における中強度持久的運動後のDNA損傷及び修復能は類似していることが明らかとなった。そこで、令和5年度(2023年度)で、さらに詳細な検討を行うため、令和4年度(2022年度)実施した運動負荷試験による心肺持久系能力の測定値(換気性作業閾値、呼吸性代償及び最高酸素摂取量の測定)と、令和5年度(2023年度)の生化学分析として定量した尿中ステロイドホルモンレベル(エストロゲン)、唾液に基づくDNAテロメア長及びミトコンドリアDNAコピー数との相互関連性を検討した。結果として、心肺持久系能力が向上すると、テロメア長よりもミトコンドリアDNAコピー数にその影響が顕著に表れることが判明している。これらの研究解析のプロセスは、ほぼ研究計画通りである。
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今後の研究の推進方策 |
成長期男女のアスリートを同等の体力レベルで比較し、DNA損傷とその修復が類似していることを踏まえたうえで、体力レベルとミトコンドリアDNAコピー数との間に密接な関連性があることが判明した。しかしながら、体力とテロメア長との関連性においては同様な結果が得られなかったことから、他のバイオマーカーとの関連性にも注目し、性差におけるトレーニング適応等の生理学的変化においても検討する予定である。 令和4年度(2022年度)~令和6年度(2024年度)までの研究結果を今後スポーツ現場へ迅速にフィードバックするために、成長期の男女アスリートにおけるパフォーマンスの維持・向上を目指した情報提供(選手・コーチ・監督等へのフィードバック)を行い、トレーニングプログラムの至適設定(モニタリングシステムの構築)を行うための判断基準を継続して探求していく所存である。
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