研究課題/領域番号 |
22K11678
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59030:体育および身体教育学関連
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
大谷 眞二 鳥取大学, 国際乾燥地研究教育機構, 准教授 (10314577)
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研究分担者 |
徳嶋 靖子 岡山県立大学, 保健福祉学部, 准教授 (30548649)
増本 年男 鳥取大学, 医学部, 助教 (40715083)
天野 宏紀 鳥取大学, 医学部, 講師 (80293033)
谷村 千華 鳥取大学, 医学部, 教授 (90346346)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 熱中症 / 高齢者 / ヘルスリテラシー / 地球温暖化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は高齢者のヘルスリテラシー(健康関連情報を探して理解し行動する健康管理能力)向上と熱中症リスク軽減との関連性を示し、熱中症対策につなげることを目的としている。近年、熱中症患者は急増しており、とくに高齢者の住居内発生が目立っている。背景には加齢による生理機能や認知機能の低下のほか、体力や理解力が保たれているにも関わらず、高齢者に見られやすい節約志向などの意識が冷房の使用を控えさせ、熱中症の回避行動につながらないという点が指摘されている。そこで、高齢者のヘルスリテラシーの向上が熱中症リスクの軽減につながるとの仮説を立て、両者の関連性を見出して社会実装可能な熱中症対策に応用する。
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研究実績の概要 |
本研究は高齢者のヘルスリテラシー向上と熱中症リスク軽減との関連性を示し対策につなげることを目的としている。この背景として、加齢による生理機能や認知機能の低下のほか、わが国の高齢者に見られやすい「がまん」「もったいない」といった意識が冷房の使用を控えさせ、熱中症の回避行動につながらないという点が指摘されている。そこで、この点に注目し、高齢者の、自ら健康情報を得て行動する能力、すなわちヘルスリテラシーの向上が熱中症リスクの軽減につながるとの仮説を立て、両者の関連性を見出して社会実装可能な熱中症対策に応用するという目標を立てた。 しかしながら、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響で、初年度(2022年度)予定の大規模調査が実施できず、計画を大幅に見直すこととなった。その結果、熱中症回避行動につながる高齢者でも理解しやすい熱中症リスクマップを作成することとし、その効果を評価することとした。2023年度は既存のデータを用いて熱中症搬送例の詳細解析を継続し熱中症リスクマップの作成のための基礎的解析を行った。 また、あらたに、鳥取大学医学部の地域医療学講座、生理学講座、統合内科医学講座と共同して、基礎医学、臨床医学、社会医学を包括した視点で、高齢者の熱中症のリスク要因を解明するための分析を開始した。 2023年度に得られた成果は、高齢化率が高く、可住地人口密度の低い地域で熱中症の救急搬送率が高いということがわかった点である。その結果については、該当する自治体において、地域の医療関係者および福祉保健担当者を交えて説明会を行い、熱中症対策に反映させた。また、鳥取県の定例の熱中症対策会議においても結果を発表し、各市町村、学校、事業場などの関係者と情報共有を行った。 学術的な成果として、鳥取県医師会の発行する医学雑誌に和文論文が掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、調査対象の自治体の保健師などの職員の協力を得て、地域の高齢者の聞き取りやアンケートなどの実地調査を行う予定であった。しかしながら、新型コロナウイルス感染症のパンデミックの影響で初年度(2022年度)予定の調査がほぼできず、その結果として、研究計画そのものを大幅に修正することとなり、これに関する研究計画の練り直しを行った結果、2023年度が事実上の研究実施の初年度となったことが、進捗状況の遅れにつながっている。 変更した計画の中には、既存のデータの再解析や毎年追加される鳥取県内の熱中症救急搬送データの分析が含まれており、これらについては順調に進んでおり、一定の成果が出ている。 また、鳥取大学医学部の地域医療学講座、生理学講座、統合内科医学講座と共同して、基礎医学、臨床医学、社会医学を包括した視点で、高齢者の熱中症のリスク要因を解明する計画を立て、これについてもおおむね予定通り進捗している。
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今後の研究の推進方策 |
前述したように、大規模な住民調査を実施することができなかったため、高齢者のヘルスリテラシーの向上については、当初予定していたプログラムを実施せず、汎用性の高い熱中症リスクマップを作成してその効果をみることとした。具体的には高齢者の熱中症回避行動につながるようなわかりやすいリスクマップを作成し、簡単に手に取ったり、目にすることができるようにして、実際の行動変容につながるかどうかを評価する。リスクマップの作成にあたっては、気象庁および鳥取大学乾燥地研究センターおよび工学部の協力を得る。前段階として、熱中症救急搬送予測モデルを作成する。 また、特定地域の高齢者の社会的背景、生理機能、合併症等からみた熱中症のリスク要因の解析を並行して行う。これについては、鳥取大学医学部の地域医療学講座、生理学講座、統合内科医学講座と共同して実施するもので、2023年度から実施に開始している。 熱中症リスクマップは、災害ハザードマップに近いもので、前述した熱中症救急搬送予測モデルを発展させ、気象予報に基づいてある程度短期間に更新できるものを想定している。モデル地域を選び、高齢者を主たるターゲットとして、多方面からみたリスク要因も包括し、リスクマップが熱中症の回避行動につながるかどうかを評価した後、社会実装を目指す。
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