研究課題/領域番号 |
22K11682
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59030:体育および身体教育学関連
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研究機関 | 山口県立大学 |
研究代表者 |
曽根 文夫 (山崎文夫) 山口県立大学, 看護栄養学部, 教授 (80269050)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 冷え症 / 睡眠 / 加温 / 皮膚循環 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、冷え症者における入眠時の足部皮膚血流と脳波の機能的特性を検討するための実験を行うとともに、冷え症緩和および睡眠の質向上のための方策としての有酸素運動に着目し、その効果を実験的に検証する。これらの実験より、冷え症者の睡眠時の脳機能と皮膚循環機能の特性について探究するとともに、冷え症改善と快眠のための行動変容の効果とその生理学的機序を解明する。本研究より得られる基礎的知見に立脚して、健康増進に寄与する運動習慣の可能性を拡大させ、冷え症者の生命と生活の質の向上をめざす。
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研究実績の概要 |
下肢の冷えは、寝付きの悪さや熟睡感の低下と関連し、睡眠による身体の回復を阻害する要因の1つであると考えられている。そこで令和4年度は、入眠と足部皮膚循環に対する就寝前下肢加温の効果について検討した。冷え症における就寝時の下肢の冷えは、足先皮膚温の上昇を遅延させて入眠を阻害するが、就寝前に下肢を加温することで入眠を早めて睡眠の状態を良好にすると仮説を立て、この仮説を検証した。冷え症の自覚のある若年成人男女8名を被験者として、就寝前に下肢加温を行う実験(加温条件)と、下肢加温を行わないで安静を維持する実験(対照条件)を1-2日の間隔を開けて2回ずつ実施した。下肢の加温は、市販の遠赤外線足温器を用い、足部と前額部の皮膚温および外耳道温の測定を就寝前から起床時まで連続して行った。下肢加温前あるいは非加温前ベースライン、就寝直前、起床直後に温度感覚、身体部位別冷え感を測定すると共に、起床直後にはOguri-Shirakawa-Azumi(OSA)睡眠調査票MA版を用いて睡眠状態について評価した。消灯から足部皮膚温が急上昇するまでの時間は、加温条件の方が対照条件より27±30分だけ短縮した。就寝直前の温冷感と快適感は、下肢と全身のいずれにおいても加温条件の方が対照条件より有意に高かった。OSA睡眠調査において、第4因子(疲労回復)と第5因子(睡眠時間)が下肢加温により有意に上昇した。冷え症に見られる就寝前の足部の冷えを下肢の加温によって緩和すれば、足部皮膚温上昇の早期化、寝付きの良さ、熟睡感などの生理心理的要因によって睡眠の質は改善されると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通りに研究が進められているため。被験者には事前に実験の目的、方法や危険性等について十分に説明した後に書面によって同意を得た。実験結果は個人が特定されないようナンバー表記として鍵のかかる場所で管理を行った。本研究は、山口県立大学生命倫理委員会の承認を得て実施した。
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今後の研究の推進方策 |
令和5-6年度は、有酸素運動が冷え症状と睡眠状態に及ぼす影響について検討する。まず令和5年度は運動習慣がなく、冷え症の自覚のある若年成人女性を運動群と対照群に分けて、冷え症状の程度と睡眠の状態を評価する。運動介入として、速歩あるいはスロージョギングを、最高心拍数の50%強度で1日に合計30分間以上、1週間に4日以上、2週間行う。介入前後に温度感覚(温冷感、快適感)、身体部位別冷え感調査、OSA睡眠調査、夜間睡眠脳波測定を行う。また介入期間を通してアクチグラフィーによる身体活動状態(歩数、体動)と夜間睡眠状態(入眠時間、睡眠時間、中途覚醒、深睡眠時間、睡眠効率等)、入床前の足部温度感覚、睡眠前後の足部皮膚温をそれぞれ測定する。次に令和6年度は、冷え症ではない若齢成人女性を対象として、令和5年度と同様な運動介入を行い、冷え症状と睡眠との関係に及ぼす有酸素運動の効果について明らかにする。
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