研究課題/領域番号 |
22K11704
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 京都府立大学 |
研究代表者 |
桑波田 雅士 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (30304512)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 血漿アルブミン / 脳脊髄液アルブミン / 還元型アルブミン比率 / 低タンパク質食 / ラット / アルブミン / 脳脊髄液 / タンパク質低栄養 |
研究開始時の研究の概要 |
我が国における認知症患者数は現在で約600万人、そして2025年には約700万人に及ぶと予測されている。近年、アルツハイマー型認知症患者における脳脊髄液中の酸化型アルブミン比率が、対照者と比較して有意に上昇していることが報告された。我々は食事タンパク質が血漿アルブミンの酸化還元動態の調節に重要であることを報告してきた。そこで本研究では、低タンパク質飼料を給餌したラットの脳脊髄液アルブミン酸化還元型比率を分析する。そして脳内におけるアルブミン酸化還元動態の調節機構と酸化型分子が脳組織に及ぼす影響を検討し、食事タンパク質が脳脊髄液アルブミンを介して脳に及ぼす影響を考察する。
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研究実績の概要 |
タンパク質栄養状態の指標である血漿アルブミン濃度が高値の高齢者と比較して、低値を示す高齢者は認知機能低下リスクが2倍上昇していることが報告されている。さらに血漿中のアルブミン分子は加齢に伴いその還元型比率が低下することで生理機能にも変化が生じる可能性が示唆されている。アルブミンは脳脊髄液中にも存在することから、本研究では、食事タンパク質が脳内環境に及ぼす影響をアルブミン分子に焦点をあてて検討することを目的とした。 まずカゼインおよび卵白タンパク質をタンパク質源とし、それぞれ20%および5%のタンパク質含有量に調整した4種類の飼料をラットに18週間給餌した試験(各ラットの摂取エネルギー量は等しく調整)を実施した。その結果、5%カゼイン食群では血漿中、脳脊髄液中ともにアルブミン濃度の有意な低下が認められた。一方、5%卵白タンパク質群ではこれらに低下傾向は認められたが有意な変化ではなかった。同様に他の3群と比較して、5%カゼイン食群のみ血漿中、脳脊髄液中ともに有意な還元型アルブミン比率の低下(酸化型アルブミン比率の上昇)が認められた。 続いて20%および5%カゼイン食を23週間ラットに給餌した試験(各ラットの摂取エネルギー量は等しく調整)を実施した。20%カゼイン食群と比較して、5%カゼイン食群で上記試験と同様の結果が得られた。またこれらのラットの脳からTotal RNAを抽出し、遺伝子発現の網羅的比較(RNA-Seq解析)を行なった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
脳脊髄液を採取する手技の正確性に若干の不安を感じたこともあり、動物実験の回数を増やしたため、他の実験計画の遂行が遅れた。これに加えin vitro実験に使用するためのアルブミン精製に用いる予定であった実験機器(AKTAシステム)が故障したため、ラット血液からのタンパク質精製実験を予定どおり実施することが困難であった。
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今後の研究の推進方策 |
遅れているアルブミン分子の精製に取り組む。今年度の検討の中で、血漿からの精製過程においてフィブリン繊維かとも思われる粘性物が認められ、操作に不都合が感じられた。そこで次年度は血清からの精製を検討する予定である。還元型および酸化型アルブミン分子の精製が進めば、予定どおりin vitro系の実験を進める。また、今年度得られたRNA-Seq解析の結果を基に、変動が予想される遺伝子の発現をあらためてリアルタイムPCRにて確認していく予定である。
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