研究課題/領域番号 |
22K11722
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
宮崎 光江 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (90806415)
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研究分担者 |
下川 哲昭 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 教授 (90235680)
宮崎 航 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (90512278)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 脂肪蓄積 / 肝細胞 / EID1 / 脂肪酸 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、マウス脂肪前駆細胞において脂肪蓄積を抑制することが新たに発見されたEID1が、ヒト肝細胞内への脂肪の蓄積も抑制することができるかを検証するものである。 EID1は3T3-L1細胞内では核内でトリグリセリド合成に関わる酵素であるGPDHのプロモーター領域に結合し、GPDHの転写を抑制することでグルコースからトリグリセリドが合成されるのを防ぐ。一方で、脂肪細胞と同様に脂肪を貯めこむことが知られている肝細胞内でのEID1の働きは不明である。本研究の成果から、EID1の脂肪蓄積抑制作用が肝細胞においても明らかとなれば、脂肪肝から肝炎、肝硬変や肝がんへの移行の予防に利用できる可能性を秘めている。
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研究実績の概要 |
本研究は、マウス脂肪前駆細胞において脂肪蓄積を抑制することが発見された転写調節因子 EID1がヒト肝細胞内への脂肪の蓄積も抑制することができるかを検証するものである。EID1は胆汁うっ滞性肝線維症の調節に寄与しているという報告があり [Zhang et al., 2014]、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)に関与する可能性が示唆されている。本研究によりEID1の脂肪蓄積への影響が肝細胞においても明らかとなれば、脂肪肝から肝炎・肝硬変や肝がんへの移行の予防に利用できる可能性を秘めている。 これまでに、培養肝細胞HepG2においてオレイン酸の添加により脂肪蓄積を誘発すると、脂肪細胞の場合とは反対にEID1の過剰発現により脂肪の蓄積量が有意に増加することを明らかにした。 本年度は、オレイン酸以外のC18脂肪酸を脂肪蓄積誘発に用いた時のEID1過剰発現HepG2における脂肪蓄積量を比較し、各種脂肪酸がトリグリセリドへと変換される過程へのEID1の寄与を調べた。 C18脂肪酸としては、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸およびα-リノレン酸を使用した。ステアリン酸を添加した場合、EID1の過剰発現の有無に関わらずHepG2内に油滴は出来なかった。オレイン酸またはα-リノレン酸を添加した場合、EID1過剰発現HepG2において過剰発現しなかったものと比較して有意に油滴量が増加した。しかし、リノール酸を添加した場合、油滴の蓄積は見られたもののEID1の過剰発現の有無で油滴量は変化しなかった。 この結果から、EID1はオレイン酸およびα-リノレン酸からトリグリセリドへ変換する過程には関与するが、リノール酸がトリグリセリドへと変換される過程には関与していないと考えられる。今後はEID1がオレイン酸およびα-リノレン酸からのトリグリセリド合成過程で直接かかわる因子について同定していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度はリアルタイムPCRを用いて関連遺伝子の発現量を確認する予定であったが、共通機器であるリアルタイムPCR装置の故障により実験が進展しない期間があったため、当初の予定より少々遅れてしまった。現在リアルタイムPCR装置の修理が完了し実験が再開でき、また当初は3年目に行う予定であった実験を前倒しして進めているため、全体の研究修了時期には大きく影響しない見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
進捗状況に記載した通り当初想定していたものとは反対の結果であったため実験内容を改変する部分はあったが、引き続きEID1により変動する因子を探索していく。今後はリアルタイムPCR/ウエスタンブロッティングによる関連因子の同定を中心に行う。研究成果に関しては引き続き学会等で積極的に発表を行っていく他に、論文にまとめ発表する。
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