研究課題/領域番号 |
22K11727
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
鳥越 大輔 熊本大学, 生命資源研究・支援センター, 講師 (30609657)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | カロリー制限 / 環境エンリッチメント / 健康寿命延伸 / 老化制御機構 / 加齢性疾患 |
研究開始時の研究の概要 |
「摂取カロリーの制限(CR)」は、種を超えて寿命を延伸することが報告され、インスリンシグナル経路やSirtuin、mTOR等いくつかの制御分子機構が明らかになりつつある。また近年、飼育動物のストレス軽減を目的とした環境エンリッチメント(EE)により寿命が延伸したことが報告されたが、その制御機構は不明なままである。そこで本研究ではEEによる寿命延伸分子機構とCRによる寿命延伸機構との関連、加齢性疾患発症との関連に着目し、各種オミックス解析を用いてEEによる寿命制御機構の解明を網羅的に試み、ヒトの寿命、健康寿命の延伸に資する老化制御の分子基盤解明を目指す。
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研究実績の概要 |
カロリー制限(CR)は多くの動物種において寿命延長効果を有する事が明らかとなっている一方、骨密度の低下や筋萎縮等の副作用を示す事も明らかとなっている。近年、飼育動物のストレス軽減を目的とした環境エンリッチメント(EE)により寿命が延伸したことが報告されたが、詳細は不明なままである。本研究ではEEによる寿命延長効果機構の解明を主な目的として実施している。前年度では、CRや高脂肪食(HFD)と組み合わせて寿命解析を実施し、通常食(ND)群、CR群、HFD群全てにおいて、EEを組み合わせる事で寿命が3.8%から24.3%延伸する事を明らかにした。 また、健康寿命における効果を調べるため、各群50週齢時点における行動学的解析、老化指標マーカー解析を実施したが、50週齢では十分な老化が進行しておらず、CRやEEの効果は認められなかった。 本年度は、健康寿命におけるCRやEEの効果を明らかにするため、より老化が進行した100週齢時点での解析を実施した。 その結果、Y字迷路試験、新奇物体認識試験の認知機能に関して、CRやEEにおける効果は認められなかったものの、オープンフィールド試験やトレッドミル試験、握力ではCRにおいてNDよりも機能が保たれている結果が得られた。特にトレッドミル試験や握力ではEEやCR単独よりもCR+EE群で最も高い効果を示した事から、健康寿命に関してCR、EEが相加的に効果を表した可能性が考えられる。 また、老化指標マーカー解析において、ND群よりND+EE、CR+EE群でIL-6やTNFαの一部のSASP因子の発現が低下が認められた。エネルギー産生やミトコンドリア生合成に関与するPGC-1α、PPARγの発現はCR群、CR+EE群でのみ発現上昇が確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、昨年度までにCRやEEにおける寿命延長に対する効果、健康寿命に対する効果についての解析を実施し、CRやEEが寿命、健康寿命ともにポジティブな効果を有する事を確認している。特にCRとEEを組み合わせる事で寿命、健康寿命に対する効果が最大限に発揮される事も明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
CR、EEそれぞれで寿命や健康寿命に対して効果がある事が明らかとなったが、その要因がCR、EEそれぞれに特異的なものであるのか、共通したものであるのかについて明らかにするため、各種臓器におけるオミックス解析で候補因子の同定を試みる予定である。 また、CRやEEにおける寿命、健康寿命の効果は通常老化に対してのみでなく、病的な老化に対しても効果があるかを明らかにするため、早老症モデルマウスに対しCRやEEを負荷してその影響を確認しているl。
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