研究課題/領域番号 |
22K11732
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
吉川 貴仁 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 教授 (10381998)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 食行動 / 無意識 / 情動性摂食 / 認知的抑制 / 脳磁図 / 日本食 / 連続フラッシュ抑制 / 食欲 / 脳機能イメージング |
研究開始時の研究の概要 |
私たちは意識的に食事制限を行うことで食習慣を健康的に変えようとするが(意識的矯正)、その継続は難しい。一方、実生活では、無意識の何気ない行動が食習慣を大きく左右する。食行動に関する意識的な意思決定に働く脳活動と無意識下に食行動を起こす脳活動の相互関係は解明されていない。本研究では、脳磁図法や食行動などに関する質問票を合わせた評価法により、肥満、運動不足等の健康リスクが無意識下の食行動関連脳活動に与える影響を調べるとともに、意識的矯正による食事指導が無意識下の脳活動に与える影響を調べることで、これらを踏まえた効果的な生活習慣指導法の立案を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、日常の「なぜか制御できない」食行動の根源として、自覚にのぼらない無意識下の視覚的食刺激で生じる脳活動が関与するという仮説を立て、脳磁図解析や日常の食行動に関する質問紙調査を用いて検証し、意識・無意識双方の脳活動の関係性を踏まえた新規の生活習慣病対策の立案を目指している。 これまで本研究で問題となってきたこととして、海外専門誌の査読者から刺激画像で使用された食品の特性(たこ焼きやおはぎなど)が海外の読者には分からないという指摘を受けている。この点はどの国にあっても自国の食生活になじんだ実験参加者を対象に研究を行う上で避けて通れない問題であり、研究用の食品画像セットの国際的標準化が日本を含め諸外国で試みられている。令和5年度は、こういった点も加味しながら、本研究でも利用できるような、無意識下の視覚刺激にも適した食品画像セットを新規に確立していく準備を行ってきた。いくつか作成を行う中で問題となってきたのが、海外の読者にも通じる適切な食品の選択は可能であったが、流通しているものではないオリジナルの食品写真の撮影にあたって、おいしそうにみえる調理や盛り付け、機材の技術面などで問題点が生じて思うように撮影が進まず、現在も未完成である。こういった画像セットを整備していく試みのほか、これまで使用してきたバックワードマスキング法とは異なる、別の手法での無意識的な視覚刺激曝露法(連続フラッシュ抑制)を確立して実験を行ってきた。この実験では、上記の食品画像の構築が進んでいないことから、挑戦的試みとして、食品と同様に情動の変化を起こす可能性のある題材として美術画を用い、それらを無意識的に視覚提示することによる脳活動の変化について調べ、興味深い結果が得られた。こちらは、脳科学の海外専門誌に投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでの検討結果から、日本食をも含めた、エネルギー量、栄養素などを明確化し、意識にのぼらない(無意識下の)刺激にも適した脳磁図研究用の食品画像セットを構築するための予備実験を行うことが必要であった。令和5年度は、その準備として種々の食品写真をカメラなどで撮影し画像サンプルを集めてきたが、調理や盛り付け、機材の技術面などで問題点が生じて、思うように撮影が進まず、現在も未完成である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の中心テーマである、個人の食欲・食行動における意識にのぼる(意識的に行動を選択する)情報処理過程と、意識にのぼらない(食の外部刺激に対して無意識に何気なく行動を起こしてしまう)情報処理過程の相互関係を研究する上で、視覚刺激に用いる各食品に対するなじみの度合いや、エネルギー量、栄養素といった成分をより正確に把握したうえで実験を行うことが必須である。従って、令和5年度に進めてきた、無意識下の視覚刺激にも適した脳磁図研究用の食品画像セットの構築に関しては、今後も他の方法を含めて模索していく。また、令和5年度の試みた新たな無意識的な視覚刺激曝露手法(連続フラッシュ抑制)についても食品画像を対象に利用できないかを模索する。 さらに、実験プロトコールをさらに整備したうえで、生活習慣病の発症に拍車をかける肥満、運動不足、疲労、ストレス等の健康リスクが無意識下の食行動関連脳活動に与える影響を調べる実験の準備を始めたい。具体的には、個人の普段の健康リスクに関して専用の質問票を用いて調査し、無意識下の視覚的食刺激で生じる脳活動との関連を検討する。また、我々が以前に用いてきた、スピーチと暗算課題を用いた精神的ストレス負荷法(Nakamura C, , et al. PLOS ONE, 2020; 15(1): e0228039)を用いて、各種負荷時における無意識下の食行動関連脳活動を分析する予定である。
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