研究課題/領域番号 |
22K11738
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
吉村 征浩 神戸学院大学, 栄養学部, 准教授 (60455566)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ショ糖 / アレルギー性接触皮膚炎 / 腸内細菌叢 / 短鎖脂肪酸 / 酢酸 / トリアセチン / アレルギー性皮膚炎 / フルクトース代謝 |
研究開始時の研究の概要 |
ショ糖過剰摂取は、肥満や二型糖尿病のような代謝性疾患だけでなく、妊娠に係わる問題やアレルギー性疾患など様々な健康上の問題を引き起こす。しかし、ショ糖過剰摂取がアレルギー性皮膚炎(AD)に与える影響を実験的に調べた研究は、現在までほとんど為されていない。本研究では、ショ糖過剰摂取がAD症状に与える影響を精査するのと同時に、ショ糖過剰摂取が腸内細菌叢構成を変化させ、ADを悪化させるという仮説を立証するため、腸内細菌叢の移植実験を行い、その背景にあるメカニズムを解明する。本研究の成果は、科学的根拠に基づいたショ糖過剰摂取の危険性の認識を広め、「健康のための適切な栄養成分の摂取」の啓蒙につながる。
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研究実績の概要 |
本研究では、ショ糖溶液の摂取によってAD症状が悪化するかどうか調査し、その機序を明らかにすることを目的としている。 2022年度にショ糖溶液の摂取が腸内細菌叢構成に影響を及ぼすことが明らかとなったため、どのような細菌種が増減しているのかを調査するため、次世代シーケンサーを用いた16S rRNAメタゲノム解析を実施した。ショ糖溶液を摂取したラットの糞便中には、コントロールラットと比較して、Alistipes indistinctus, Akkermansia muciniphila, Muribaculaceaeの一種など、短鎖脂肪酸を産生する細菌種が増加していることが分かった。腸管管腔で腸内細菌叢によって産生される短鎖脂肪酸は、宿主の免疫機能に大きく寄与することが知られているため、ショ糖溶液の摂取に伴う、DNFB誘発型ADの早期悪化に短鎖脂肪酸が関与していると考えられた。そこで、糞便、盲腸内容物、血清サンプル中の短鎖脂肪酸濃度をGC-MSにより測定したところ、糞便、盲腸内容物中の短鎖脂肪酸濃度は、ショ糖溶液摂取により若干上昇する傾向がみられた一方で、血清中では有意に低下していた。濃度の低下は酢酸が顕著であった。このことは、ショ糖溶液の摂取により、腸管からの短鎖脂肪酸の吸収が抑制されていることを示唆している。また、血清中の短鎖脂肪酸濃度が低下することがショ糖溶液摂取によるDNFB誘発型ADの早期悪化の原因である可能性が考えられた。そこで、ショ糖溶液摂取により低下する血清酢酸濃度を上昇させるため、摂取させるショ糖溶液に、リパーゼの作用により酢酸を遊離する短鎖トリグリセリドであるトリアセチンを混合し、ラットへ摂取させ、DNFB誘発型AD症状がどうなるかを検討した。現在、動物実験の結果を解析している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画では、腸内細菌叢構成の次世代シーケンサーにより解析までを予定していたが、腸内細菌種レベルでの解析結果から、各種サンプル中の短鎖脂肪酸を測定するに至り、さらにその結果から、トリアセチンを摂取させる動物実験を実施した。以上のように、当初の予定を大幅に上回り、進展がみられたため。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度に実施した動物実験の解析を進め、、ショ糖溶液の摂取によるアレルギー性接触皮膚炎症状の悪化が、血中短鎖脂肪酸濃度の低下を介して引き起こされることを明らかにする。
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