研究課題/領域番号 |
22K11745
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
森 真弓 京都大学, 医学研究科, 特定講師 (70710060)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ビタミンD / 免疫老化 / DNAメチル化 / 免疫 / 老化 / エピジェネティクス |
研究開始時の研究の概要 |
免疫老化とは加齢に伴って起こる免疫系の変化であるが、生活中で受ける抗原刺激による活性化の重積結果としても捉えられる。本研究では免疫老化の結果として増えるとされる自己免疫疾患において、異常な免疫活性に対するビタミンDによる抑制作用に着目し、加齢で減少してしまうビタミンDのホルモンとしての働きが免疫老化の制御にも役立つのではないかと考えた。老化モデルマウスを用いた免疫学的解析からビタミンDによる制御を受ける老化因子を同定し、DNAメチル化シーケンシングデータのメタ解析と合わせて、ビタミンDによる免疫老化のエピジェネティック制御がどのようなものであるかを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、「T細胞の免疫老化において、ビタミンDによるDNAメチル化・脱メチル化を介したエピジェネティック制御機構を解明すること」である。 まずはビタミンDによるT細胞の老化への影響を確認するため、OT-I TCRをCD8T細胞に発現するトランスジェニックマウスからそのCD8T細胞を単離して、特異抗原やサイトカインを含む培地で培養し、活性化中にビタミンDを加えて老化マーカーや老化に関わる遺伝子発現を、それぞれフローサイトメトリーやQPCRによって調べた。その結果、たしかに老化マーカーの表面発現や、細胞周期調節因子などの遺伝子発現プロファイルがビタミンDを加えることで変化することが確認された。一方、本研究の着想時に注目した文献では、ラットの自己免疫疾患モデルにおいてビタミンDがmiRNAのプロモーター領域でDNA脱メチル化を介してその発現を増加させ、下流のサイトカイン遺伝子などの発現を抑制するとのことであった。しかしながら、本研究の実験で用いたOT-I CD8T細胞においてはmiRNAやサイトカインの発現は同様には見られなかった。これは、文献中で用いられたラットCD4T細胞と、本実験で用いたOT-IトランスジェニックマウスCD8T細胞の差異であると考えられる。 以上から、その後の実験計画を根本的に考え直し、本研究でビタミンDによる免疫老化への影響が確認されているOT-I CD8T細胞へ引き続き着目して、この細胞からDNAを単離し、全ゲノムのメチル化シーケンシング解析を行うことにした。現在、シーケンシング自体は完了しており、一次解析とクオリティチェックを遂行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実際には研究計画の変更や産休・育休などによる実験中断期間が生じたが、新たな計画によりその中断期間中にシーケンシング解析を行うこととなったため、タイムロスは最小限となった。また、AMED BINDSの支援コンサルティングによって、全ゲノムのメチル化シーケンシングだけでなくRNAseqによる遺伝子発現のマス解析も同時に行うことができている。これらのシーケンシングの二次解析は現在進行中あるいは次年度に進行予定であり、その結果によっては本研究の進捗が再び変わる可能性もあるが、今のところは大量の新しいデータが得られることに期待している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究経過により大幅に変更した部分は、「文献を参照した全ゲノムメチル化シーケンシングデータのメタ解析を実行する代わりに、自ら実験で用いた細胞の全ゲノムメチル化シーケンシングを直接解析する」ということである。このため、シーケンシングの一時解析のための時間はかかるが、得られるデータは必要以上に膨大であり、新たな発見と方針転換も見込まれる。また、その後予定していた「老化マウスモデルなどを用いた、ビタミンDの標的DNA配列のメチル化解析」については、パイロシーケンサーは現在使用できないが、代替手法はいくつか考えらるため、研究機関の共通機器などを用いて遂行可能である。まずはその「標的DNA配列」を同定するために、現在新たに得られているメチル化ゲノムシーケンシングデータの解析を早期に遂行し、マウスモデルの実験に着手することを目指す。
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