研究課題/領域番号 |
22K11756
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
|
研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
西川 美宇 富山県立大学, 工学部, 助教 (90749805)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
|
キーワード | ビタミンD / NAFLD / マクロファージ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、従来不活型ビタミン D と考えられてきた 25-hydroxyvitamin D3 (25D3) の肝臓保護作用を明らかにすることで、代謝疾患における新たなビタミン D 栄養戦略の基盤を構築することを目的とする。 活性型である1,25D3は骨粗しょう症治療薬などに応用される一方, 骨疾患以外への応用には副作用リスクが懸念される。申請者はこれまでに、不活型の体内循環形態であると考えられてきた25D3の直接的な生理作用を報告している。本研究ではマクロファージを介した25D3の肝臓保護効果を検証することで、これまで見過ごされてきた25D3の新たな機能性を探究する。
|
研究実績の概要 |
本研究は, 活性型ビタミン D である 1,25-dihydroxyvitamin D3 (1,25D3) 依存的に機能性が説明されている現在のビタミン D 研究に関して, これまで不活化前駆体と考えられてきた 25-hydroxyvitamin D3 (25D3) の肝臓における生理機能を明らかにすることで代謝疾患における新たなビタミン D 栄養戦略の基盤を構築することを目的とする。 ラットVDRの270番目のアルギニンは1,25D3の1α位水酸基と、301番目のヒスチジンは1,25D3および25D3の25位水酸基との結合に重要な役割を果たす。VDR 依存的な 25D3 の生理作用は それぞれ変異型VDR導入ラットであるVDR(R270)LとVDR(R270L/H301Q) 間の表現型の差として現れると予想される。2022年度は両ラットの表現型比較解析により、VDR(R270L/H301Q) ラットの基底状態にて肝臓線維化リスクが上昇している可能性が示された。 2023年度は高脂肪食負荷によるNAFLD進展リスクを評価したが飼養条件の最適化に必要な個体数を得ることが出来ず、高脂肪食条件下での表現型の相違は見いだせていない。そこで代替試験としてCYP27B1-KOラットとVDR-KOラットの表現型比較により、25D3のVDR依存的作用が肝臓病態進展に及ぼす影響を検証した。その結果NAFLDの炎症進展との関連が報告されているCCL20をはじめとした複数のマーカーについて、VDR-KOでのみ著しい上昇が認められた。CYP27B1-KOとVDR-KOラット間ではVDR-KOのみがVDR依存的25D3作用を欠損することから、VDR-KOラット特異的な表現型の一部にVDR依存的な25D3シグナルが関与する可能性が示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
VDR(R270L/H301Q)導入ラットの繁殖効率が想定よりも悪く、高脂肪食負荷試験に係る十分な個体数の確保が遅れている。そのため代替試験として、1,25D3欠乏モデルであるCYP27B1-KOラットと、VDR依存的な1,25D3および25D3シグナル欠損モデルであるVDR-KOラットの表現型比較により、25D3のVDR依存的作用が肝臓病態進展に及ぼす影響を検証した。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き高脂肪食負荷試験を実施し、VDR依存的な25D3シグナルの欠損が代謝性肝疾患の進展に及ぼす影響を検証する。一方でin vivo高脂肪食負荷試験は使用系統の繁殖成績に大きく依存するため、培養肝細胞および肝マクロファージを用いたin vitro脂肪負荷試験も並行して進める予定である。
|