研究課題/領域番号 |
22K11765
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
石田 康行 中部大学, 応用生物学部, 教授 (70273266)
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研究分担者 |
堤内 要 中部大学, 応用生物学部, 教授 (50329851)
宮澤 大介 金城学院大学, 薬学部, 教授 (70434553)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 脂肪酸プロファイル / 血液 / 反応熱脱着GC / 多価不飽和脂肪酸 / 有機アルカリ / 発生ガス-MS分析 / 反応熱脱着 / DHA / 反応熱分解 / 組成解析 |
研究開始時の研究の概要 |
体内脂肪酸の種類、濃度と存在状態の網羅的情報(脂肪酸プロファイル)は心疾患、糖尿病を含む生活習慣病、および各種のアレルギー性疾患などの多様な疾病の発症に関係している。従って、数マイクロリットルの血液を使って、体内の脂肪酸プロファイルを迅速分析できれば、身体的負担をかけずに将来の様々な疾病リスクを一度に診断できる。そこで本研究では、各種メチル化試薬との連続的な反応を採り入れた「2段階反応熱脱着法」の考案により、数マイクロリットルの血液を採取後そのまま検査に使用して、わずか30分以内で脂肪酸の種類、濃度と存在状態が分かる、究極の簡便分析法の実現を試みる。
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研究実績の概要 |
昨年度、ミクロ反応炉と質量分析装置(MS)間をトランスファーラインにより直結した発生ガス-MS装置を用いて、血液を含浸させたろ紙試料(ろ紙血液検体)の反応挙動の解析を行った。しかし、そこでは大きな問題点として、ろ紙血液検体を凍結粉砕して得られた粉末試料を使用して実験を行っており、実際の測定試料を模した小片状の試料を用いた挙動解析を実施していなかった。そこで、本年度は、まず小片状のろ紙血液検体を対象として、発生ガス-MSによる反応挙動の解明を行った。具体的には、ろ紙血液検体のモデル試料からパンチャーを用いてくり抜いて得られた小片(直径3 mm)を、反応試薬である四級アンモニウム塩(トリフルオロメチルフェニル基を含む強有機アルカリ)共存下での発生ガス-MS測定に供した。その結果、粉末状の試料と比べて、小片状の試料ではろ紙に由来する熱分解生成物の発生をかなりの程度抑制できることが分かった。さらに、反応熱分解生成物の導入率の算出結果を基にして、PUFA成分の選択的な検出に最適である反応温度および反応時間の決定を試みた。その結果、温度および時間をそれぞれ300℃および30秒に設定したときに、ろ紙の熱分解生成物の発生量を最小限に抑制しつつ、PUFA類を最も効率よく選択検出できることが分かった。これらの条件下での反応熱脱着GCにより、ろ紙血液検体からPUFA成分を選択的かつ高感度に分析することに成功した。さらに、それらのピーク強度を基にして、n-6/n-3比などの脂肪酸プロファイルを迅速に解析することも可能にした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していた2段階式の反応熱脱着法の検討を今年度行うことはできなかった。この理由として、初年度に実施した発生ガス-MSによる反応挙動解析において、試料形態に関する問題点が残されていたことが挙げられる。そのため、今年度は実際の試料形態を模した小片状の試料を用いて、改めて反応挙動解明の実験を行うこととなった。一方で、この検討を通して、最適な反応熱脱着条件を詳細に決定することもできた。ここで決定した条件下での反応熱脱着GCにより、本研究の主たる目的の一つである脂肪酸プロファイルの迅速解析を当初の予定通りに達成することができた。以上の進展を総合して、上記(3)の自己評価を行った。
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今後の研究の推進方策 |
今年度開発した、反応熱脱着GCに対して、新たに2段階での化学反応を加味した多段階での反応システムを構築することを試みる。ここでは異なる2種の試薬を連続的に作用させる「2段階反応熱脱着」を考案する。構想としては、血液検体と試薬をミクロ反応炉内に導入した後、まず遊離型脂肪酸(Step 1)、次いでエステル結合型脂肪酸(Step 2)の順でメチル化/気化を行える反応系を構築する。具体的な試薬の種類として、Step 2のエステル型の反応では今年度も使用した四級アンモニウムの水酸化物を使用する。一方で、Step 1の遊離型の反応ではその酢酸塩を選択する。それらの試薬の反応性の評価や、反応効率向上のための条件適正化を進めながら、2段階反応熱脱着法の完成を目指す。
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