研究課題/領域番号 |
22K11778
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
下野 隆一 香川大学, 医学部, 准教授 (60404521)
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研究分担者 |
田中 彩 (西村彩) 香川大学, 医学部附属病院, 講師 (30459200)
形見 祐人 香川大学, 医学部, 助教 (50791224)
藤井 喬之 香川大学, 医学部, 助教 (00746696)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 水溶性食物繊維(PHGG) / 壊死性腸炎(NEC) / 腸管不全関連肝障害(IFALD) / 短腸症候群 / 水溶性食物繊維 / 腸内細菌叢 / 短鎖脂肪酸 / PHGG(Guar Gum) |
研究開始時の研究の概要 |
壊死性腸炎(necrotizing enterocolitis:NEC)はその約90%が低出生体重児(早産児)に発症する重篤な疾患であるが、有効な発症予防や治療手段が存在しない。 一方、水溶性食物繊維は、NECに有効であったという報告はない。 我々はこれまでに水溶性食物繊維の一つであるPHGGが短腸モデルにおいて腸管粘膜障害に改善作用のあることを突き止めている。 そこで、水溶性食物繊維をNECに対する新たな予防や治療に応用できないかと考え、本研究ではラットNECモデルに対する水溶性食物繊維の作用を解析し、NECの予防・治療に有効であることを検証する。
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研究実績の概要 |
研究の背景:壊死性腸炎(necrotizing enterocolitis:NEC)はその約90%が低出生体重児(早産児)に発症する重篤な疾患である。一方、水溶性食物繊維は、腸内細菌叢改善作用を有することが示唆されているが、その生理的作用メカニズムについてはまだ不明であり、NECに有効であったという報告はない。また、NEC症例はIFALD(腸管不全関連肝障害)を生じやすく、その予防・治療も重要である。 研究目的:IFALD対する水溶性食物繊維の作用を解析し、NEC関連の合併症に対する予防・治療への効果を検証する予定とした。 研究方法: 6週齢のC57BL/6マウスをコントロール、parental nutrition (PN)群(PN製剤を経口投与して肝障害を誘発)、PN/PHGG群(PN製剤に5%のPHGGを添加)に分け(各n=6)、17日目にサクリファイスした。肝障害を病理組織学的に評価するためoil red O染色と抗TNF-α抗体による免疫染色を行った。腸内細菌叢の変化を評価するため、実験開始前の便と、17日目の回腸内容物を採取して16S ribosomal RNAメタゲノム解析、PCoA分析を解析した。またLEfSe解析を行い特定の菌種の増減を調べ、腸内細菌の多様性はShannon index、Simpson indexを用いて評価した。 結果と考察: PN群はコントロール群に比べて有意に肝臓の脂肪蓄積を認めが、PN/PHGG群はPN群より有意に脂肪蓄積が減少していた。PN群では偽胆管の増生が見られ、コントロール群に比べて有意にTNF-α陽性細胞の増加を認めた。腸内細菌のPCoA分析ではPHGG投与群は他の2群に比べて大きく変化しており、Shannon index、Simpson indexはともにPHGGの投与で低下していた。LEfSe解析ではPHGGの投与で回腸の Parabacteroides とEnterobacteriaceaeが有意に増加していた。PHGGはマウス肝障害モデルにおいて肝保護作用を示した。Parabacteroidesには抗炎症効果、抗腫瘍効果が知られており、肝障害の軽減に寄与した可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究ではまず、NECモデル作成に着手した。しかし、途中で死亡脱落する。生存したものは十分な負荷がかかっていないなど、モデル作成に難渋した。NECでは栄養障害のため腸管不全関連肝障害(IFALD)になることが知られているが、当研究室にて飼育中のラットに高栄養付加をかけたモデルを作成したところ、IFALD様肝障害モデルを作成できるに至った。2023年度はIFALDとPHGG/腸内細菌叢との関連について研究を進めたため。
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今後の研究の推進方策 |
肝障害モデルを用いてPHGGの腸管粘膜に与える影響を総合的に解析する。具体的には絨毛高の増大、陰窩の深さといった形態学的評価に加え、組織スコアを用いて小腸上皮の変性を評価する。また、CD45による免疫染色を行い炎症性細胞浸潤の程度を評価する。さらに腸管内洗浄液を採集して分泌型IgAを測定する(ELISA 法)予定である。また、本来の目的でNECの予防・治療の実験についても並行して行っていく予定である。
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