研究課題/領域番号 |
22K11784
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 城西大学 |
研究代表者 |
中谷 祥恵 城西大学, 薬学部, 准教授 (20453425)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 間葉系幹細胞 / 造血幹細胞 / 脂肪細胞 / 骨芽細胞 / 破骨細胞 / 骨髄中微細環境 / ペプチド / 低分子ペプチド / 体性幹細胞 / トリプトン / 骨粗鬆症 / 肥満 |
研究開始時の研究の概要 |
中年期に体に脂肪がつきやすいのに対し、骨密度は減りやすい現象の原因は、間葉系幹細胞が脂肪になる力は維持しているのに対し、骨の細胞になる力が先に衰えることが原因の可能性があると考え、そのメカニズムや予防法を明らかにするための研究を行います。 本研究は間葉系幹細胞を標的とした生理活性ペプチドを用いて、骨粗鬆症と肥満を同時に予防する方法を開発するための基盤研究となります。
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研究実績の概要 |
加齢や生活習慣病に伴いTNF-αなどの血中サイトカインの濃度が上昇することが報告されている。TNF-αなど一部のサイトカインは、骨代謝を担う骨芽細胞および破骨細胞の分化を調節することがin vitroの研究で報告されている。本研究では、マウスにlipopolysaccharide (LPS)を投与し、サイトカインを分泌させ、加齢や生活習慣病に伴う慢性炎症の状況を作出した。 雄性Kwl:ICRマウスにLPSを腹腔内投与後、血液、肝臓、骨を採取した。LPS投与後3時間、24時間の時点で肝臓のLPS Binding ProteinのmRNAは有意に増加した。また、血中の23種のサイトカイン濃度を測定した結果、TNF-αおよびIL-6など18種のサイトカインの値が上昇していた。 次に、ICRマウスにLPS 5.0 mg/kgまたは生理食塩水を腹腔内投与後、骨髄液を採取し、造血幹細胞(HSC)と間葉系幹細胞(MSC)を採取・初代培養を行った。MSCから骨芽細胞への分化の評価は、MSCを骨分化誘導剤存在化で培養後、細胞増殖能をWST-8法、石灰化能をAlizarin Red S染色で評価した。HSCから多核破骨細胞への分化は、酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ(TRAP)染色を用いて評価した。 LPSを投与したマウスから採取した骨髄由来MSCは投与していないMSCと比較して骨分化を有意に抑制した。また、LPS投与群由来のHSCは非投与群由来のHSCと比較して破骨細胞への分化が有意に増加した。現在、LPS投与後の骨髄由来MSCの脂肪細胞分化能を評価し、加齢に伴う骨密度減少と脂肪細胞増加の再現を試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
慢性炎症に伴う肥満と骨質低下を再現するための実験系の確立に取り組んだ。LPSのメーカー、産生菌株およびロットによって実験結果が異なり、モデル系確立に時間がかかった。今後は上記モデルも用いて骨髄中の微細環境の変化が老化に寄与する可能性を検討する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度、エタノールの添加はMSCから骨芽細胞への分化を抑制することを明らかにした。そのメカニズムとして、GREM1、GREM2のmRNA発現レベルがエタノールで誘導された結果、MSCは脂肪細胞への分化に傾き、骨芽細胞への分化を抑制させる可能性が示唆された。今後は、GREM1のノックダウンなどを行うことで、エタノールが骨芽細胞への分化を抑制するメカニズムの詳細を検討する予定である。 また、LPSによるサイトカインの分泌は、骨髄微細環境に存在する体性幹細胞の分化に影響を与える可能性を見出した。今後はエタノールおよびLPSによる骨髄中の体性幹細胞の分化異常を抑制できる成分を検討する予定である。
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