研究課題/領域番号 |
22K11801
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
稲垣 瑞穂 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (50626356)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 腸内細菌叢 / プロ・プレバイオティクス / 短鎖脂肪酸 / 抗生物質 / ストレス培養 / 腸内細菌 / プレバイオティクス / 評価モデル / Dysbiosis |
研究開始時の研究の概要 |
腸内環境を健全に導く方法がわかれば効率の良い健康管理につながる。しかしながら、現時点では腸内細菌・腸内環境の評価・管理する具体的な方法がない。腸内細菌の評価・管理が困難である理由は、腸内細菌は個人の食事内容、体質や生活習慣などに応じ「個人ごとに異なる腸内細菌叢」が形成される点にある。そのため「それぞれの腸内細菌叢に対する評価および改善(=個別化対応)」が必要となる。本研究では、個人の腸内細菌叢を意図的に撹乱したモデル(撹乱モデル)の作出を目指す。通常モデルと撹乱モデルを比較することで、プロ・プレバイオティクス素材の適切な評価(個別化対応を実現する評価)の基盤とする。
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研究実績の概要 |
[抗生物質を用いた重度の撹乱を用いた食素材評価]前年度では培養6時間での抗生物質投与に対する菌叢・短鎖脂肪酸産生量の有意な変化を観察した。今年度は、培養20時間において抗生物質投与(撹乱)、抗生物質と素材Aを加えた条件(評価)、いずれも加えない条件(対照)を用意し、素材Aが抗生物質による撹乱を軽減できるか否かを検証した(n=6)。抗生物質投与により酢酸産生量は有意に減少したが、プロピオン酸と酪酸については3群間で有意な変化は見られなかった。抗生物質は菌叢構成に影響を与えるだけでなく菌叢による代謝を減弱させた。今回の検証では、菌叢の多様性の改善が期待できる素材Aを用いたが、抗生物質の作用が強く撹乱の軽減化を評価することができなかった。プレバイオティクスには腸内細菌叢による代謝を受けて活性化される場合もあると予想されることから、腸内環境に重度なダメージを与えるものは評価系には適さない(難しい)ことが示された。 [培養条件の調整による軽度撹乱の作出]培養液pHは菌叢代謝の指標となることから、pH遷移が遅延する条件を探索した。(高温培養)培養温度を41℃, 39℃, 37℃(対照)に設定し培養液pHを比較したところ、高温になるにつれ培養中盤のpH遷移が遅延し、41℃ではpH遷移カーブそのものが変形した。41℃培養では腸内細菌叢の代謝が遅延するだけでなく代謝調整がかかっているように思われた。(低温培養)培養温度27℃から37℃(対照)の温度帯で検証した。低温になるにつれて培養10時間以降の培養液pHが遅延した。低温培養の24時間後の培養液には短鎖脂肪酸の中間体であるコハク酸や乳酸が残留する様子が観察された。このようなpH変化の遅延やコハク酸・乳酸の残留の程度にも個人差が見られた。一方、培養温度の制御は菌叢構成に大きな影響を与えないことを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
検討2より、培養温度を変えることで代謝のペースを調整できること、また代謝の遅延は短鎖脂肪酸の前駆成分(コハク酸・乳酸)の蓄積を引き起こすことを見出すことができた。抗生物質による撹乱とは異なり、低温培養は菌叢を維持したまま代謝のみを遅延することができる。体調不良時のような培養条件を作出できたように思われる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は食素材が腸内細菌叢に与える影響を培養温度の制御による代謝遅延を指標として評価できるか否かを検証する。温度変化に対する代謝の感受性は個人差があるようにみられたことから、菌叢による代謝が安定する(ばらつきが小さい)時間帯も調査していきたい。
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