研究課題/領域番号 |
22K11805
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
坂根 千春 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医歯薬学総合研究系), 助教 (40792578)
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研究分担者 |
小守 壽文 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 特命教授 (00252677)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | Galnt3 / Runx2 / Fgf23 / エンハンサー / 血中リン濃度制御 |
研究開始時の研究の概要 |
この研究では、血中のリン濃度を調節しているホルモンFGF23(遺伝子名Fgf23)と、その活性を維持している酵素 GalNAc-T3(遺伝子名Galnt3)の発現が、どのように制御されているかを調べる。FGF23は主に骨から産生され、骨形成に必須の転写因子Runx2を介して発現調節されている可能性がある。そこで、Runx2の結合領域を目印にGalnt3とFgf23の生理的発現に必要なエンハンサーを同定し、血中リン恒常性維持のための両遺伝子の転写レベルの制御機構を問う。その研究成果は、血中リン濃度の制御機構の解明に大きく貢献する。
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研究実績の概要 |
血中のリン濃度は主に FGF23 によって調節される。FGF23 は、主に骨から産生されるホルモンで、腎臓の近位尿細管細胞膜の2a型と2c型ナトリウムーリン共輸送体(NTP2a/2c)の発現を低下させることによりリン再吸収を抑制する。またFGF23 は、活性型ビタミンDの産生量を抑制、小腸でのカルシウム、リン吸収を抑制する。したがって、尿細管でのリン再吸収抑制と合わせ、血中リン濃度を低下させる。Galnt3 は、ムチン型糖鎖形成の第一ステップを担う酵素である。FGF23 にムチン型糖鎖を付加し、FGF23 のプロセッシングを阻害して活性を維持する作用が明らかにされている。ヒトでの Galnt3 異常は、FGF23 のプロセッシングが促進され、FGF23 の活性が低下、家族性高リン血症性腫瘍状石灰沈着症を引き起こす。Runx2 は骨芽細胞分化および軟骨細胞後期分化に必須な転写因子である。 3週齢マウスの大腿骨組織で Runx2、 Galnt3、Fgf23 の発現を免疫組織染色にて検討したところ、Runx2 と Galnt3 は骨芽細胞および幼若骨細胞に、Fgf23 は骨芽細胞および骨細胞全般に発現を認めた。初代培養骨芽細胞にRunx2 を過剰発現させると、Galnt3 と Fgf23 発現の上昇が認められた。また、Runx2 に対する siRNA を導入したところ、Galnt3 と Fgf23 発現は低下した。これらのことから Runx2 が Galnt3 と Fgf23 の発現に関与していることが示唆された。しかし、Galnt3 と Fgf23 遺伝子の発現制御機構は未だ解明されていない。Runx2 は主にエンハンサーを介して標的遺伝子の発現制御を行っている。本研究では、Runx2 の結合領域を目印に Galnt3 と Fgf23 のエンハンサーを同定することを目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初代培養骨芽細胞を用いた Runx2 抗体による ChIP シークエンス(ChIP-seq)を行った。Runx2 ChIP-seq では、Galnt3 のプロモーター領域において、Runx2 のピークを検出した。この領域は、Sp7 陽性の初代培養骨芽細胞を用いた assay for transposase-accessible chromatin シークエンス(ATAC-seq、オープンクロマチン領域を検出)でもピークを示した。しかしながら、Fgf23 では、離れた場所に Runx2 ChIP-seq と ATAC-seq のピークがいくつかあったが、Fgf23 のプロモーター領域における ATAC-seq のピークは低かった。このとき、広範囲でピークを調べたために、解析が遅れた。 そこで、Runx2 ChIP-seq でピークを検出した Galnt3 のプロモーター領域に着目し、その領域をカバーする DNA 断片を用いてレポーターアッセイを行った。
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今後の研究の推進方策 |
最小プロモーターを含む GFP 発現ベクターに、Galnt3 のエンハンサー候補を挿入後、B6C3HF1 マウスの受精卵に注入、トランスジェニックマウスを作製する。3週齢で大腿骨の凍結切片を作成、蛍光顕微鏡および共焦点蛍光顕微鏡で発現細胞を特定する。 骨芽細胞画分と骨細胞画分を用いたリアルタイム RT-PCR では、Runx2 と Galnt3 は、骨細胞画分の方が骨芽細胞画分よりも発現が高く、Fgf23 の発現は骨細胞画分の方が骨芽細胞画分よりも極めて高かった。そこで、骨細胞を用いた Runx2 ChIP-seq を検討し、Fgf23 の発現誘導に関与する Runx2 結合領域の同定を試みる。
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