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肥満のない2型糖尿病の発症と進展機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K11806
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分59040:栄養学および健康科学関連
研究機関宮崎大学

研究代表者

秋枝 さやか  宮崎大学, フロンティア科学総合研究センター, 准教授 (20549076)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
キーワード2型糖尿病 / 糖代謝 / 骨格筋 / 筋萎縮 / 食習慣 / 肥満 / 生活習慣病
研究開始時の研究の概要

申請者はこれまでに、肥満を基盤に発症すると考えられてきた生活習慣病に関し、過食や運動不足ではなく摂取する食物の性状に着目した研究を遂行してきた。興味深いことに、普通食に水を加え軟らかい性状にした食餌をラットに与えたところ、肥満を示さないが糖尿病や脂肪肝といった生活習慣病を呈することが明らかになった。本研究は、軟食を摂取したラットの慢性炎症を基盤とした糖尿病発症機構の解明および合併症への進展を分子レベルで解明し、日本人を含むアジア人の生活習慣病の特徴である肥満のない2型糖尿病発症メカニズムの解明を目指す。

研究実績の概要

飽食の時代と言われる現代の日本では、過食や運動不足による肥満症の増加が年齢を問わず大きな問題となっている。申請者はこれまでに、肥満を基盤に発症すると考えられてきた生活習慣病に関し、過食や運動不足ではなく摂取する食物の性状に着目した研究を遂行してきた。申請者は普通食に水を加えた軟食をラットに与えるだけで、肥満を伴わない2型糖尿病モデルを作出できることを報告している。本研究では、軟食の摂取がどのように糖尿病を引き起こすのか、そのメカニズムを明らかにすることを目的とした。7週齢の雄性Wistarラットを用いて、1日3時間制限給餌(10:00-13:00)で餌を与え、軟食摂取開始4週、9週、14週、24週で空腹時血糖値、空腹時インスリン値、HOMA-IRを検討したところ、固形食群に比べ軟食群では、軟食摂取開始4週から空腹時インスリン値が有意に増加し、軟食摂取9週からHOMA―I Rが有意に増加した。また軟食摂取24週で骨格筋(ヒラメ筋・腓腹筋)を形態的に観察したところ、筋繊維の萎縮が認められた。タンパク質分解経路としてユビキチン・プロテアソーム系およびオートファジーリソソーム経路の2つの経路が考えられるが、軟食群ではヒラメ筋・腓腹筋いずれもユビキチン・プロテアソーム系の酵素の発現が上昇していた。さらに、これらの経路のトリガーとなる炎症性サイトカインの発現を調べたところ、軟食群ではIL-6が有意に高かった。また、IL-6の下流の経路を検討したところ、軟食群ではpSTAT3のリン酸化やSOCS3の発現が上昇していた。これらの結果から、軟食摂取ラットでは、IL-6-STAT3-SOCS3およびユビキチン・プロテアソーム経路を介して骨格筋のタンパク質分解が起こっていることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

肥満を伴わない2型糖尿病の特徴について、軟食ラットをモデルとして解析を行った。軟らかい食物を早食いするという食習慣では、早い時期からインスリン抵抗性が現れることが明らかになった。この結果は、食習慣により肥満が引き起こされ、代謝臓器における慢性炎症が増長することでインスリン抵抗性が惹起されるという従来のシナリオとは異なる糖尿病発症機序があることを示唆するものであり、肥満を伴わないアジア人型2型糖尿病の発症要因を考える上で、重要な知見である。また、軟食を24週間与えたラットでは、骨格筋の筋萎縮が認められることが明らかとなった。糖尿病患者は高齢になると筋肉が減少しやすいことが知られており、高齢者が増加する我が国では、大きな健康問題の一つとなっているサルコペニアを予防する上でも本研究を遂行することは重要である。以上の成果から、本研究は、おおむね順調に進展していると考えられ、今後は軟食摂取により糖尿病を示したラットが固形食に切り替えることにより、改善効果が認められるかどうかを検討したい。

今後の研究の推進方策

軟らかい食事を好む、あるいは早食いをするといった生活習慣を改善することが、糖代謝異常などの生活習慣病の改善にどの程度効果があるのかを検討するため、軟食摂取により糖尿病を発症したラットの食餌を固形食に切り替え、経時的に採血し、血糖値やインスリン値が改善するかどうかを判定する。また、固形食に切り替えることで骨格筋の筋萎縮が改善するかどうかを検討する予定である。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (15件)

すべて 2024 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (12件) (うち招待講演 2件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] Mechanism of muscle atrophy in a normal-weight rat model of type 2 diabetes established by using a soft-pellet diet.2024

    • 著者名/発表者名
      Akieda-Asai S, Ma H, Han W, Nagata J, Yamaguchi F, Date Y.
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 14 号: 1 ページ: 7670-7670

    • DOI

      10.1038/s41598-024-57727-2

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 軟らかい食餌が招く2型糖尿病の病態解析2023

    • 著者名/発表者名
      伊達紫, 山口史剛, 秋枝さやか
    • 学会等名
      第66回日本糖尿病学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 軟食摂取による肥満のない2型糖尿病の病態メカニズムの解明2023

    • 著者名/発表者名
      秋枝さやか, 馬浩, 山口史剛, 伊達紫
    • 学会等名
      第96回日本内分泌学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 過食・肥満を伴わない 2型糖尿病モデルの病態生理学的研究2023

    • 著者名/発表者名
      山口史剛, 秋枝さやか, 伊達紫
    • 学会等名
      第96回日本内分泌学会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 過食・肥満を伴わない2型糖尿病モデルの病態生理学的研究2023

    • 著者名/発表者名
      山口史剛, 中村恵理子, 秋枝さやか, 山下篤, 澤田浩武, 伊達紫
    • 学会等名
      第7回黒潮カンファレンス
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 軟らかい食餌に起因する非肥満型2型糖尿病モデルラットの筋萎縮のメカニズム2023

    • 著者名/発表者名
      秋枝さやか, 山口史剛, 馬浩, 伊達紫
    • 学会等名
      第44回日本肥満学会・第41回日本肥満症治療学会学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 軟らかい食餌が招く2型糖尿病モデルラットの肝臓における脂肪蓄積2023

    • 著者名/発表者名
      山口史剛, 秋枝さやか, 伊達紫
    • 学会等名
      第44回日本肥満学会・第41回日本肥満症治療学会学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 軟食摂取による2型糖尿病の病態解析2023

    • 著者名/発表者名
      秋枝さやか, 山口史剛, 伊達紫
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 軟食食餌による骨格筋のインスリン抵抗性および筋分解への影響2022

    • 著者名/発表者名
      秋枝さやか, 馬浩, 伊達紫
    • 学会等名
      第95回日本内分泌学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 食物の性状により引き起こされる2型糖尿病モデル動物の解析2022

    • 著者名/発表者名
      伊達紫, 秋枝さやか
    • 学会等名
      第95回日本内分泌学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 軟食摂取がエネルギー代謝調節におよぼす影響2022

    • 著者名/発表者名
      伊達紫, Wanxin Han, 山口史剛, 秋枝さやか
    • 学会等名
      第48回日本神経内分泌学会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] グアニリン・グアニル酸シクラーゼC発現マクロファージ由来のIL-15は脂肪の蓄積を抑制する2022

    • 著者名/発表者名
      秋枝さやか, 山口史剛, 伊達紫
    • 学会等名
      ,第45回日本分子生物学会,
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 軟食摂取がもたらす脂肪蓄積および2型糖尿病発症までの病態生理学的研究2022

    • 著者名/発表者名
      山口史剛, 秋枝さやか, 伊達紫
    • 学会等名
      第43回日本肥満学会第40回日本肥満症治療学会合同
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [備考] 宮崎大学フロンティア科学総合研究センター生理活性物質機能解析分野

    • URL

      http://www.med.miyazaki-u.ac.jp/home/bioactive-peptides/

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [備考] 研究室ホームページ

    • URL

      http://www.med.miyazaki-u.ac.jp/home/bioactive-peptides/

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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