研究課題/領域番号 |
22K11809
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 大阪公立大学 |
研究代表者 |
叶内 宏明 大阪公立大学, 大学院生活科学研究科, 教授 (10351884)
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研究分担者 |
窪薗 琢郎 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 講師 (00598013)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | フレイル / 栄養疫学 / 認知症 / ビタミンB6 / ピリドキサール5’-リン酸 / ホモシステイン / ピリドキサールリン酸 / 横断研究 |
研究開始時の研究の概要 |
日本人高齢者のフレイル状態と血中PLP(活性型ビタミンB6)濃度・ビタミンB6摂取量の関係を、高齢者3,200名を対象にした疫学研究に参加して実施する。高齢者の健康状態と血中ビタミンB6濃度およびビタミンB6摂取量の関係が明らかになる。高齢者が健康を維持するために必要ビタミンB6摂取量を検討する際の根拠データとなる。 老化に伴い血中PLP濃度が低下する原因の探究 老化に伴う血中PLP濃度変化の原因は明らかにされていない。本研究では老化促進マウスを用いて老化に伴うビタミンB6吸収率および排泄率の変化、およびPLP代謝に関わる酵素の発現量を検討する。
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研究実績の概要 |
ビタミンB6の活性型であるピリドキサール5’-リン酸(PLP)はアミノ酸代謝に関わる酵素の補酵素である。PLPの血中濃度が高齢者で低下すること、認知症患者の血中PLP濃度が低いことが海外の研究で報告されている。一方、日本人高齢者を対象にした血中PLP濃度のデータは少ない。本研究では日本人高齢者の血中PLP濃度および認知機能と血中PLP濃度の関係を明らかにすることを目的とした。 2019年12月までに国立長寿医療研究センター(NCGG)を受診した年齢65~85歳、バーセルインデックス80点以上、ビタミンB製剤非服用者を解析に用いた。対象は、認知症(DM)95名、軽度認知障害(MCI)87名、認知機能正常(CN)84名の計266名とし、血清はNCGGバイオバンクより提供を受けた。血清中PLP濃度はHPLCで定量した。連続変数はSteel-Dwass検定を、度数はχ2検定を用いた。また、PLP濃度を四分位(Q1-Q4)に分けてMCIまたはDM該当を従属変数としたロジスティック回帰分析を行った。 CN群は73±5歳、BMIは22±3kg/m2、PLP濃度は136±142(中央値80)nMであり、欠乏状態である30 nM未満の健常者は1名(1%)だった。PLP濃度と血清アルブミン、ビタミンB1、ビタミンB12、葉酸、総ホモシステイン濃度の間には有意な相関があった。DM、MCI、CNの3群で年齢、教育年数、フレイル該当数、ApoE4アレル有無、葉酸、CRPに有意な差があった。MCI以上の認知機能障害と血中PLP濃度四分位の関係ではQ4(PLP 平均値 280 nM)を基準とした場合、1(PLP 平均値 37 nM)のオッズ比(性別、年齢、教育年数、フレイル評価該当数、ApoE4アレル有無、血清アルブミン、ビタミンB1、ビタミンB12、葉酸、総Hcy濃度で調整)は2.54(95%CI: 0.94~7.11、p=0.067)であった。 健康な日本人高齢者の血中PLP濃度は欧米で報告されている濃度と同程度であった。血中PLP濃度が最も高い集団に対して最も低い集団はMCI以上の認知機能障害と関係がある可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予定していた垂水研究から分譲された血液サンプルの測定が、機器の不具合等で遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
垂水研究から分譲された血液サンプルの測定は順調に進んでおり、予定通り2023年度中にフレイルとPLP濃度の重回帰分析は終了予定である。ビタミンB6吸収をin vitroで評価するためのCaco-2細胞は入手済みであり、腸管様形態に分化する条件を検討中である。
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