研究課題/領域番号 |
22K11812
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
梅邑 晃 岩手医科大学, 医学部, 准教授 (10749675)
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研究分担者 |
佐々木 章 岩手医科大学, 医学部, 教授 (40275540)
柿坂 啓介 岩手医科大学, 医学部, 講師 (40583563)
石垣 泰 岩手医科大学, 医学部, 教授 (50375002)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 高度肥満症 / 減量・代謝改善手術 / 非アルコール性脂肪性肝炎 / 脂質代謝 / オミックス解析 / 腸内細菌叢 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、非アルコール性脂肪性肝炎を伴った高度肥満症に対して減量・代謝改善手術を行った患者の口腔内・腸内細菌叢の変化を確認し、同時に血液や手術中に非アルコール性脂肪性肝炎の診断のために採取した肝生検標本を用いて減量・代謝改善手術によって起こる生体内の代謝変化を詳細に確認しながら、肝線維化の進展・改善のメカニズムについて検討を行うものである。代謝変化は、ブドウ糖負荷試験、肝機能などの血液検査所見、マルチオミックス解析による網羅的なタンパク同定、細菌叢のメタゲノム解析、肝生検標本の線維化に関連するシグナル伝達因子に対する免疫組織染色などを併用して行い、統計学的解析を行い総合的に検討する。
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研究実績の概要 |
初年度にオミックス解析のうち脂質解析による研究成果を論文発表した。高度肥満症患者の術前・術後6か月時の脂質解析による遊離脂肪酸(FFA)の変化と体重減少および代謝改善指標との間に相関があることを証明した。特に、リン脂質は腹腔鏡下スリーブ状胃切除術(LSG)後に増加する傾向があり、アラキドン酸を含むPC(18:1e_20:4)は非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)合併群においてのみ有意に増加した。高度肥満症に対するLSGは、アラキドン酸カスケードの進行を抑制する可能性があり、肝細胞内での持続的な炎症を消退させる可能性がある。また、PC(18:1e_20:4)はNASH群でのみ術後に有意な増加を認めたことから、NASHの診断や治療効果判定のためのサロゲートマーカーとして使用できる可能性があると結論付けた(Takahashi N, Sasaki A, Umemura A, et al. Biomedicines. 2023)。具体的な結果は、以下に記載する通りである。NASH群において、術後6か月で肝組織の脂肪化割合、NASH activity score (NAS)の脂肪化スコア、NASの炎症スコアは有意に改善した。脂質解析により全患者で共通して検出された189種のFFAのうち、肝組織から検出された53種のリン脂質と相同性が見られ、術後に3種のリン脂質の有意増加が見られた。PC(18:1e_20:4)はオレイン酸とアラキドン酸が結合した脂肪酸で、NASHの陽性診断とのROC曲線において,AUCは0.707,カットオフ値は20711.3 μg/mL,NASHの陽性診断率は81.6%と高値であることを示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の報告として、英文論文を1編発表した。今年度も引き続き研究を進捗させており、英文論文として研究成果を複数発表予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究に引き続き、肝線維化の進展に寄与するTGF-β経路の活性化に関する検討を患者血漿と肝生検標本を使用したプロテオーム解析、ELISA法によるTGF-β関連シグナルの定量と肝組織における同シグナルの発現についての免疫染色の研究を発表予定である。また、それに付随したヘパトカインや臨床成績に関する研究も報告を予定している。
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