研究課題/領域番号 |
22K11823
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 立教大学 (2023) 東京医科歯科大学 (2022) |
研究代表者 |
服部 淳彦 立教大学, スポーツウエルネス学部, 特任教授 (70183910)
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研究分担者 |
渡辺 数基 東京医科歯科大学, 教養部, 非常勤講師 (10908073)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | AMK / メラトニン / 海馬 / 加齢 / 記憶 / LC/MS/MS / RNA-seq / AFMK / 2OH-メラトニン / 記憶力改善 / マウス / 機能性食品 / AMK |
研究開始時の研究の概要 |
認知症は、本邦において2025年には65歳以上の5人に1人が罹患すると推察されており、医学的にも社会的にも極めて重要な疾患である。そのため治療や予防効果を持つ機能性食品の開発が待たれている。我々は記憶力が低下した老齢マウスに、松果体ホルモンであるメラトニンの脳内代謝産物であるAMKを投与すると、記憶力が有意に改善されることを見出した(米国特許、国内特許取得)。本研究では、AMKの学習・記憶力改善効果のメカニズムを記憶関連遺伝子の網羅的解析を行うことにより明らかにするとともに、メラトニンやAMKを豊富に含む食材から効率よくAMKを抽出する方法を検討し、機能性食品への展開を目指す。
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研究実績の概要 |
アルツハイマー型認知症をはじめとする認知症は、本邦において2025年には65歳以上の5人に1人が罹患すると推察されており、社会的に極めて重要な疾患である。しかし治療薬の開発は、アミロイドb抗体薬をはじめ一部は上市されているものの困難な壁にあたりいまだ進んでおらず、そのため新たな治療薬や予防薬のシーズとなる研究が待たれている。 我々は松果体ホルモンであるメラトニンの脳内代謝産物であるAMKを、記憶力が低下した老齢マウスに投与すると、長期記憶が誘導されることを見出し(J Pineal Res, 2021)、AMKを新たな治療薬や予防薬のシーズとして示した。本年度は、加齢による記憶障害の原因の一つとしてAMKの低下があるのか、また記憶形成にかかわるどのような遺伝子が加齢にともなって低下する(障害を受ける)のかを明らかにした。 老齢マウスにおける海馬のAMK産生量とAMKが学習・記憶能力に与えるメカニズムを解明するために、メラトニンを産生する系統であるC3H/He マウスを用いて、加齢に伴い松果体、血液、海馬におけるメラトニン、AFMKおよびAMK量をLC/MS/MSを用いて定量し、松果体から分泌されたメラトニンが海馬に取り込まれた後、AFMK・AMKに変換されること、また老齢マウスの海馬ではAMK量が若齢の1/20以下に激減することを明らかにした。さらに、加齢に伴い記憶力が低下したC3H/Heマウスを用いて、採取した海馬組織からRNAを抽出し、RNA-seq解析を行い、発現変動遺伝子をKEGG pathway解析、Gene Set Enrichment Analysisにて評価し、記憶形成関連遺伝子群のネットワーク解析の結果、加齢にともなって低下する(障害を受ける)記憶形成遺伝子群を明らかにした。これらの結果とAMKの変化と合わせてJ Pineal Res (2024)に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度はメラトニンを産生する系統であるC3H/He マウスを用いて、加齢に伴い松果体、血液、海馬におけるメラトニン、AFMKおよびAMK量をLC/MS/MSを用いて定量し、AMKの合成経路(合成場所)を明らかにするとともに、海馬におけるAMK量は老齢になると若齢の1/20以下になることを見出した。また海馬組織からRNAを抽出し、加齢に伴い記憶力が低下したC3H/Heマウスを用いて、採取した海馬におけるRNA-seq解析を行い、発現変動遺伝子をKEGG pathway解析、Gene Set Enrichment Analysisにて評価し、記憶形成関連遺伝子群のネットワーク解析を行った結果、加齢にともなって低下する(障害を受ける)記憶形成遺伝子群を明らかにした。また、海馬におけるAMKの変化量と記憶形成関連遺伝子群の結果を合わせて論文にまとめた(J Pineal Res, 2024)。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、AMKが学習・記憶能力に与えるメカニズムを解明するために、AMK投与後の海馬における各種記憶形成遺伝子の変化をウエスタンブロッティング法や定量的PCR法などを用いて明らかにする。またin vivoだけでなく、AMKの作用メカニズム解明のために、in vitroの系を用いた実験も行う。すなわちニューロン系の代表としてSH-SY5Y細胞をアストロサイト系の代表としてU-251細胞を用いた検討を行う。さらに、海馬におけるAMKの合成にはどのようなメカニズムが関わっているのか、これまで言われている候補遺伝子だけではなく、新たな合成系に関しても検討する。
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