研究課題/領域番号 |
22K11830
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 神奈川県立保健福祉大学 |
研究代表者 |
向井 友花 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 教授 (60331211)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 植物ポリフェノール / 吸収動態 / 生体試料 / HPLC / 慢性炎症 / 腸管組織 / 腸内細菌叢 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、経口的に摂取された食事由来植物ポリフェノール(PP)が、腸内細菌への作用を介して腸管組織の慢性炎症を軽減するという仮説を検証する。 このために、[1]植物PPの吸収動態 [2]植物PPによる腸管組織の慢性炎症の改善作用と腸内細菌叢の変化 [3]植物PPの腸上皮細胞への直接的作用 を調べる。 植物PPによる慢性炎症改善の分子機構を解明し、腸内細菌をターゲットとした新しい炎症性腸疾患の早期予防法の提案を視野に研究を展開する。
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研究実績の概要 |
近年患者数が急増している炎症性腸疾患は、典型的な「慢性炎症」性疾患であり、その対策は急務である。また、腸内細菌が慢性炎症に関わるとの知見が蓄積しつつある。これまで申請者らは、植物ポリフェノール(植物PP)は、その一部が腸管で吸収され、肝臓や末梢組織において慢性炎症を抑制する可能性を見いだしてきた。しかし、大部分の「吸収されなかった植物PP」の生理的役割はよく分かっていない。本研究は、この「吸収されなかった植物PP」が、腸内細菌への作用を介して腸管組織の慢性炎症を軽減するという仮説を検証することを目的としている。本研究の成果から、植物PPによる慢性炎症改善の分子機構を解明し、腸内細菌をターゲットとした新しい炎症性腸疾患の早期予防法が提案できると考えている。 本年度は、「課題① 経口的に摂取された植物PPの吸収動態の解析」に着手した。吸収されない植物PPが腸管内でどのように作用するかを解明するためには、まずはその吸収動態を明らかにする必要がある。植物PPは一部が代謝され抱合体となって腸管上皮を経由して吸収されると言われている。そこで課題①では、植物PPが経口的に摂取された場合の、その血中への移行(すなわち被吸収)、および腸管を通過(すなわち非被吸収)する割合について、生体試料中のPP濃度をHPLCにより測定する。 本年度は、HPLC条件、および生体試料(血漿、母乳、腸管内容物)の前処理条件を検討し、添加回収試験により生体試料中のPPが精度よく測定可能であることを確認した。次に、生体試料(血漿、母乳、腸管内容物)を得るため、交配・出産し授乳中の雌性ラットに植物PPの一種であるd-カテキンを飲水として投与する実験を継続中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は「課題① 経口的に摂取された植物PPの吸収動態の解析」に着手し、本課題において重要となる生体試料からの抱合化・非抱合化PP検出のためのHPLC条件を確定することができた。また、授乳期の雌性ラットへの植物PPの投与を実施中であり、吸収動態を解析するための生体試料が採取できる見込みである。一定の研究成果が得られたため、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
前年度から継続している「課題① 経口的に摂取された植物PPの吸収動態の解析」のラットの飼育および投与を引き続き行い、採血および解剖して生体試料(血漿・母乳・腸管内容物)を採取する。各試料について前処理後HPLCによりカテキン濃度の解析を行い、植物PPの吸収・非吸収および吸収後の母乳への分泌の程度を評価する。これらの結果から、経口的に摂取されたPPの吸収動態を検討する。
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