研究課題/領域番号 |
22K11831
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 北海道科学大学 |
研究代表者 |
平山 早苗 (村岡早苗) 北海道科学大学, 薬学部, 准教授 (20347793)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 脂肪細胞 / 脂肪の蓄積 / カタラーゼ / カタラーゼ阻害剤 / 抗酸化能 |
研究開始時の研究の概要 |
肥満は、脂肪の過度な蓄積によって特徴づけられ、生活習慣病など様々な疾患を誘発する。効果的な肥満の予防や治療は社会的にも重要な課題であるが、有効な治療薬はいまだ開発されていない。そこで、脂肪の蓄積へ影響を与えるメカニズムを解明することが重要である。これまでに、脂肪細胞と抗酸化能が相関している可能性を示した。このことより、脂肪細胞内の抗酸化酵素であるカタラーゼが脂肪蓄積量の調節に関与している可能性に着目し、脂肪細胞のカタラーゼ活性を阻害することで、脂肪細胞に蓄積した脂肪量の変化を検証し、その詳細な機構を明らかにする。これらの結果は、肥満の予防や治療の標的の探索への基礎データを提示する。
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研究実績の概要 |
肥満は、脂肪組織における脂肪の過度な蓄積によって特徴づけられ、生活習慣病をはじめとする様々な疾患を誘発する因子である。昨今の医療費圧迫の面からも、効果的な肥満の予防や治療は社会的にも重要な課題であるが、有効な治療薬はいまだ開発されていない。そのため、脂肪の蓄積へ影響を与えるメカニズムを解明することが肥満の予防や治療薬の開発に必要である。申請者は、脂肪細胞における脂肪の蓄積とともに抗酸化酵素である細胞内カタラーゼ活性が上昇することを実証し、脂肪細胞内のカタラーゼが本来の抗酸化酵素としての役割ではなく、脂肪蓄積量の調節に関与している可能性に着目した。 2022年度の研究結果では、脂肪が蓄積した脂肪細胞において、カタラーゼ阻害剤は脂肪の蓄積に顕著な影響を及ぼさなかったことから、2023年度は脂肪を蓄積する初期におけるカタラーゼ阻害剤の影響を検証した。その結果、脂肪細胞への分化誘導初期に細胞をカタラーゼ阻害剤で処理した場合、カタラーゼ阻害剤は脂肪の蓄積を抑制することが明らかとなった。この結果から、カタラーゼの脂肪蓄積に対する調整は、脂肪を蓄積する初期の過程において影響を及ぼすことが示唆された。次に脂肪細胞への分化誘導初期におけるカタラーゼ阻害剤による脂質合成転写因子に及ぼす影響を検討した。その結果、カタラーゼ阻害剤は一部の脂質合成転写因子の発現量を減少させる傾向が観察された。以上の結果から、カタラーゼは蓄積した脂肪量を維持または増加させるために必要である可能性が示唆された。 カタラーゼの脂肪蓄積に対する調節機構を明らかにすることは、脂肪蓄積に影響を与える新たな標的の発見となる。脂肪の蓄積に影響を与える化合物の探索も、脂肪の蓄積量だけではなく、脂肪細胞の抗酸化能の変化に着目したスクリーニングをすることで、生活習慣病の予防に関わる機能性食品や新たな医薬品の開発につながることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度の研究成果から、カタラーゼ阻害剤の時間的影響は脂肪細胞への分化初期過において、顕著であることが明らかとなった。そこで、カタラーゼ阻害剤は分化誘導初期および中期に細胞へ添加することとした。2022年度以降の研究実施計画に記載したように、今年度はタラーゼ阻害剤である3-amino-1,2,4-triazole (3-AT)およびNOドナー薬によるカタラーゼおよび脂肪の蓄積に関わる発現タンパク質と遺伝子発現への影響を検証した。NOドナー薬は、細胞内で化学的にNOを発生させる試薬であるNOC-18を用いた。NOC-18の細胞毒性を確認し、添加濃度を決定した。3-ATおよびNOC-18は分化誘導初期に細胞に添加することにより、濃度依存的に脂肪蓄積量を減少させた。 次に、ウエスタンブロット法により脂質合成転写因子であるPPARγとC/EBPαのたんぱく質発現量に対する3-ATおよびNOC-18の影響を検証した。その結果、NOおよび3-ATはPPARγの発現量に対する影響に有意な変化は認められなかったが、NOおよび3-ATは、C/EBPαの発現量を低下させた。また、RT-qPCR法を用いてPPARγおよびC/EBPαの転写因子発現量の変化について検証した。その結果、カタラーゼ阻害剤によるPPARγ発現量は有意差が見られなかった。一方で、分化誘導初期および中期にカタラーゼ阻害剤で処理した場合、未処理細胞と比較してC/EBPα発現量は減少した。現状、データ数が少ないため、統計解析が出来ていない。実験回数を増やし、統計解析をする必要がある。これらの結果の一部は、学会で発表することができた。
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今後の研究の推進方策 |
2022および2023年度の研究結果から、蓄積した脂肪よりも蓄積する過程においてカタラーゼ活性が必要であることが明らかとなった。カタラーゼ阻害剤である3-ATおよびNOドナー薬による脂肪蓄積に関わる発現タンパク質と遺伝子発現への影響について、データ数を増やすことと、対象因子を広げて検証する。また研究実施計画に記載したように、脂肪細胞内の細胞小器官の動態変化を検討する。検討方法は、ミトコンドリアやペルオキシソームの特異的プローブおよび免疫学的染色法によりフローサイトメトリーによる測定と解析を検討する。2024年度は最終年度となるため、これらの実験結果をまとめて、関係学会への発表と国際雑誌への論文投稿を進める。
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