研究課題/領域番号 |
22K11841
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
丸茂 幹雄 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (40333950)
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研究分担者 |
若林 一郎 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (70220829)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 血小板 / 血栓症 / 容量依存性カルシウム流入 / TRPチャネル / ポリフェノール類 |
研究開始時の研究の概要 |
赤ワインに含まれるレスベラトロールは虚血性心疾患の発症を抑えることが知られており、その抗酸化作用のみならず血栓予防の効果が期待されている。また、飲酒により虚血性心疾患が抑制されることも疫学的に示され、適正飲酒での抗血栓効果に注目が集まっている。我々はポリフェノール類やエタノールが血小板の主要なCa2+流入経路であるTRP(transient receptor potential)チャネルを抑制することを報告した。これらを踏まえて、今回我々は未だ明らかではないポリフェノール類及びエタノールによるTRPチャネルへの作用点の差異、及びそれらの相乗効果を血小板凝集、細胞内Ca2+流入等にて検討する。
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研究実績の概要 |
赤ワイン消費量が多いフランスでは脂肪摂取量が多いにもかかわらず虚血性心疾患の死亡率が低いという、いわゆるフレンチパラドックスが報告されて以来、赤ワインに含まれるポリフェノール類の一種であるresveratrolの抗血栓効果について注目されている。一方、疫学研究では適正量の飲酒習慣によりむしろ虚血性心疾患発症率が低くなることが報告され、resveratrolのみならずアルコールそのものも抗血栓作用を有することが示された。本研究では、血小板凝集能に対するresveratrolとethanolの同時投与による効果を明らかにするとともに、両者による血小板活性化経路における作用点を検討した。 健常人の血液から洗浄血小板浮遊液を作成し、resveratrol (3.125 μM)およびethanol (0.5%)存在下での血小板内Ca2+濃度 ([Ca2+]i)、血小板凝集能およびthromboxane B2 (TXB2)濃度を、それぞれ蛍光光度法、比濁法、ELISAを用いて測定した。また、全血検体を用いた血小板凝集能をScreen Filtration Pressure (SFP)法により測定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
thrombin惹起血小板凝集は6.25 μM以上のresveratrolおよび0.5%以上のethanolでそれぞれ濃度依存的に抑制された。thrombin、collagenおよびarachidonic acid (AA) (0.25 mM)刺激による血小板凝集において、resveratrolおよびethanolの同時投与によってethanolの血小板凝集抑制作用が増強された。Ca2+非存在下でのAA (0.75 mM)惹起血小板凝集では、resveratrolとethanolの単独および同時投与のいずれによっても抑制効果は認められなかった。全血検体を用いたthrombin惹起血小板凝集においてもresveratrolおよびethanolの単独投与による抑制効果が認められ、resveratrolとethanolの同時投与によって抑制効果の増強が認められた。thrombin刺激血小板における [Ca2+]iの上昇はresveratrolにより影響を受けなかった。thrombinおよびAA (0.75 mM)刺激血小板におけるTXB2生成量は、resveratrolにより抑制されたが、ethanolとの同時投与により抑制作用がさらに増強された。 thrombin刺激血小板において、単独では血小板凝集を抑制しない低濃度のresveratrolがethanolの血小板凝集抑制作用を増強する一方、resveratrolおよびethanolにより [Ca2+]iは影響を受けなかった。また、血小板外Ca2+非存在下では、AA刺激による血小板凝集はresveratrolおよびethanolによる影響を受けなかった。
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今後の研究の推進方策 |
resveratrolとethanolによる血小板凝集抑制は [Ca2+]i上昇への作用を介さず、血小板内収縮蛋白のCa2+感受性低下を介する可能性が示唆された。さらにAA刺激時のTXB2生成がresveratrolおよびethanolの同時投与によって抑制されたことから、resveratrolおよびethanolの相乗的な血小板凝集抑制効果はcyclooxygenase-1 (COX-1) 活性の低下を介する可能性が示唆された。 しかしながら、このresveratrolの血小板凝集抑制効果が抗酸化作用を介したものであるかはいまだ不明のままである。そこで今後我々は細胞内酸化ストレス環境を惹起させる条件でresveratrolの抗酸化作用が血小板凝集に及ぼす影響を検討する。血小板凝集に関しては従来の比濁法を用いるほか、全血検体を用いたScreen Filtration Pressure (SFP)法により血小板凝集能を測定し、またずり応力血小板凝集惹起の効果を検証するために血流下血栓形成能解析システム (total thrombus-formation analysis system: T-TAS)での測定も検討する。
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