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サルコペニアおよび神経筋疾患の新規治療法開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K11845
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分59040:栄養学および健康科学関連
研究機関九州大学

研究代表者

上住 円 (池本円)  九州大学, 生体防御医学研究所, 助教 (70435866)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
キーワード老化 / 骨格筋 / 神経筋疾患 / 神経筋接合部
研究開始時の研究の概要

NMJの変性は、神経・筋疾患において、病態の進行に寄与する重要なファクターである。しかし、NMJ変性のメカニズムはよく分かっておらず、それに対する治療法もないのが現状である。本研究では、NMJにおけるMFG-E8の異常蓄積をターゲットとし、神経・筋疾患に対する新たな治療法開発を行う。サルコペニア及び筋ジストロフィーを対象とし、MFG-E8の異常蓄積の抑制に取り組み、その治療効果を検証し、これまでにない治療法の確立を目指す。また、MFG-E8の異常蓄積がどのように疾患の発症につながるのか、その過程の細胞・分子レベルの変化を解析し、発症を導くメカニズムを明らかにする。

研究実績の概要

神経筋接合部 (NMJ) は正常な神経・筋活動に必須のシナプスであるが、様々な神経・筋疾患ではNMJの変性が生じる。中でも、老化による筋の衰弱(サルコペニア)において、NMJの変性は病態に寄与する重要なファクターと考えられている。我々は、これまでの研究から、MFG-E8 (Milk Fat Globule Epidermal Growth Factor 8) が、加齢によりNMJで異常蓄積することを見出しており、その異常蓄積が加齢による運動神経の脱落原因となることを明らかにしている (Aging Cell. 21(1):e13536, 2022)。また、筋ジストロフィーにおけるNMJ変性の際にもMFG-E8の異常蓄積が生じることを認めている。よって、MFG-E8は神経・筋疾患病態に寄与する新たな因子と考えられ、本研究では、サルコペニア及び筋ジストロフィーを対象に、MFG-E8の異常蓄積の抑制に取り組み、その治療効果を検証する。まず、治療開始時期を検討するため、マウスの老化過程、および、筋ジストロフィーマウスの発症過程において、NMJにおけるMFG-E8の発現を経時的に調べ、MFG-E8の蓄積が始まる正確な時期を決定した。また、MFG-E8の異常蓄積がどのように疾患の発症につながるのかを調べた。MFG-E8は、アポトーシスに重要な分子であることが知られているため、NMJにおいて、アポトーシスのマーカーである活性化型カスパーゼ3の検出を行った。しかし、NMJに局在するいずれの細胞においてもシグナルは認められず、アポトーシスが疾患の発症に関わっているわけではないと考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では、サルコペニア(老化マウス)、および、筋ジストロフィーモデルマウスを用いて、MFG-E8の異常蓄積の抑制に取り組み、その治療効果を検証する。そのために、マウスの老化過程、および、筋ジストロフィーマウスの発症過程において、NMJにおけるMFG-E8の蓄積開始時期を特定し、次年度以降に実施するMFG-E8阻害抗体投与による治療効果の検証につなげることができている。また、MFG-E8の異常蓄積が疾患の発症を導くメカニズムを明らかにするが、一つの可能性としてのアポトーシスの関与を調べ、アポトーシスが疾患の発症に関わっているわけではないという結論を導き出すことができた。また、今年度実施予定であった、MFG-E8ノックアウト筋ジストロフィーモデルマウスにおけるNMJ変性抑制効果の検討においては、研究代表者の研究機関移動により、一旦、実験を中断する必要があったため少し進捗が遅れているが、この点を鑑みても概ね順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

本研究では、サルコペニア及び筋ジストロフィーを対象に、MFG-E8の異常蓄積の抑制に取り組み、その治療効果を検証する。また、MFG-E8の異常蓄積がどのように疾患の発症につながるのか、その過程の細胞・分子レベルの変化を解析し、発症を導くメカニズムを明らかにする。そのために今後は、サルコペニア(老化マウス)、および、筋ジストロフィーモデルマウスを用いて、以下の解析を行う。
1. MFG-E8の阻害抗体投与によって、MFG-E8の異常蓄積を抑制できるか、また、NMJの変性を抑制できるか、について検討する。
2. MFG-E8ノックアウトマウスと筋ジストロフィーモデルマウスを掛け合わせ、筋ジストロフィーで見られるNMJの変性を抑制できるか、について検討する。
3. MFG-E8はターミナルシュワン細胞 (tSC) に蓄積し、その機能を変化させ、NMJの変性を誘導すると考えられる。そこで、MFG-E8蓄積によるtSCの変化を精査することで、MFG-E8蓄積からNMJの変性に至るメカニズムを明らかにする。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Transcriptome analysis of mesenchymal stromal cells of the large and small intestinal smooth muscle layers reveals a unique gastrointestinal stromal signature2023

    • 著者名/発表者名
      Chaen Takashi、Kurosawa Tamaki、Kishi Kazuhisa、Kaji Noriyuki、Ikemoto-Uezumi Madoka、Uezumi Akiyoshi、Hori Masatoshi
    • 雑誌名

      Biochemistry and Biophysics Reports

      巻: 34 ページ: 101478-101478

    • DOI

      10.1016/j.bbrep.2023.101478

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Analyses of Mesenchymal Progenitors in Skeletal Muscle by Fluorescence-Activated Cell Sorting and Tissue Clearing2023

    • 著者名/発表者名
      Ikemoto-Uezumi M, Kurosawa T, Minato K, Uezumi A
    • 雑誌名

      Methods Mol Biol

      巻: 2640 ページ: 117-127

    • DOI

      10.1007/978-1-0716-3036-5_9

    • ISBN
      9781071630358, 9781071630365
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Whole-mount immunofluorescence staining of mesenchymal progenitors in murine plantaris muscle.2022

    • 著者名/発表者名
      Kurosawa T, Ikemoto-Uezumi M, Kaneshige A, Fukada S, Uezumi A
    • 雑誌名

      STAR Protocols

      巻: 3(3) 号: 3 ページ: 101593-101593

    • DOI

      10.1016/j.xpro.2022.101593

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] Increased MFG-E8 at neuromuscular junctions is an exacerbating factor for sarcopenia-associated denervation.2023

    • 著者名/発表者名
      Madoka Ikemoto-Uezumi
    • 学会等名
      1st Symposium on "Skeletal muscle cells in Growth and Disease"
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] ヒト筋管細胞を用いた筋肥大作用を有する天然由来生理活性物質の同定2023

    • 著者名/発表者名
      上住 円,黒澤 珠希,布川 朋也,二川 健,上住 聡芳
    • 学会等名
      第9回日本筋学会学術集会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 神経筋接合部におけるMFG-E8の蓄積は加齢性脱神経の増悪因子である2023

    • 著者名/発表者名
      上住 円
    • 学会等名
      第8回日本筋学会学術集会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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