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食品機能性の日常食適用をめざすフラボノイドの調理・保存変化と生体内炎症指標の検討

研究課題

研究課題/領域番号 22K11856
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分59040:栄養学および健康科学関連
研究機関静岡県立大学

研究代表者

市川 陽子  静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (50269495)

研究分担者 下位 香代子  静岡県立大学, 食品栄養科学部, 名誉教授 (10162728)
合田 敏尚  静岡県立大学, 食品栄養科学部, 名誉教授 (70195923)
大槻 尚子  静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (20825004)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
キーワードフラボノイド / ポリフェノール / 調理変化 / 抗炎症 / ヒト試験 / 吸収動態
研究開始時の研究の概要

代表的なポリフェノールであるフラボノイドは多様な機能性を有し、習慣的な摂取により疾病発症リスクを軽減すると考えられ、保健機能食品等の開発が進んできた。一方、長期間、高濃度摂取での安全性等についての知見は十分でなく、「食事の質」の観点からも日常食からの摂取の有効性を検証する必要がある。
本研究では、食品機能性を日常食に適用した健康的な食事の提案・推奨をめざし、調理方法、保存時間によるフラボノイド含有量、総ポリフェノール量、抗酸化活性の変化の整理と、高フラボノイド食継続摂取後の生体内炎症指標に基づく疾病リスク低減効果の評価を、小規模ヒト介入試験により行う。

研究実績の概要

本研究では、フラボノイドの有する多様な機能性に着目し、慢性代謝疾患を予防する食品機能性を日常食に適用した健康的な食事を提案・推奨するための科学的根拠の蓄積を目的に、開発した高フラボノイド食を用いたヒト介入試験により、短期継続摂取後の炎症性サイトカイン遺伝子発現を指標とした疾病リスク低減効果の検討を行う。令和5年度は、(1)ヒトを対象に豆腐の単体摂取時のフラボノイド吸収動態に調理方法が及ぼす影響、(2)高フラボノイド食継続摂取における生体内抗炎症効果について検討した。
(1)の検討では、豆腐に生、炒め、煮、電子レンジ調理を加えたものを試験食とした。試験は、2日間のウォッシュアウト後、3日目の朝食に調理した豆腐を摂取した。採血は、3日目の朝食摂取前、摂取後1、2、4、6、8時間に肘正中皮静脈より行った。さらに、朝食摂取前から24時間蓄尿を行った。血中フラボノイド濃度は、血漿を酵素加水分解処理し、酢酸エチルにて抽出後、LC/MSを用いてフラボノイドアグリコンとして測定した。尿中フラボノイド濃度は、尿に酵素加水分解後、Sep-Pakにて抽出後、LC/MSを用いて測定した。
(2)では、4名(22-64歳、BMI:24.3~29.9 kg / m2)を被験者とし、2日間のウォッシュアウト後、高フラボノイド食またはフラボノイド低減食(対照)を7日間摂取させた。試験はクロスオーバーにて実施した。ウォッシュアウト後および7日間の継続摂取後に採血を行った結果、高フラボノイド食摂取前により血中フラボノイド濃度の有意な上昇がみられた。また、BMI≧25 kg / m2の被験者2名は、高フラボノイド食摂取時の炎症性サイトカイン遺伝子の発現量が介入前後で有意に低下した。この結果より、生体内で慢性的な炎症が起きている可能性の高い肥満者において、高フラボノイド食が抗炎症効果を示したと考えられた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

令和4年度は、豆腐を用いたヒト介入試験を実施する予定であったが、COVID -19の感染拡大による影響で被験者の募集が難しく、試験開始が年度末の2月にずれ込んでしまった。令和5年度は(1)調理法の異なる豆腐試料を用いたフラボノイドの吸収動態試験、(2)開発した高フラボノイド食の継続摂取と生体内炎症マーカーの関連についての介入試験の、2つのヒト介入試験を実施することができた。そのため、本研究における当初の計画にあったヒト介入試験は順調に進められている。
令和6年度は、食材別・調理法別のフラボノイド量、総ポリフェノール量、抗酸化活性のデータの収集をさらに進め、高フラボノイド食の設計に活用できるよう整理する。さらに、これまでの研究成果を学術論文や学会発表で公表する予定である。
以上のことから、本研究はおおむね順調に進展しているといえる。

今後の研究の推進方策

令和4,5年度にヒト介入試験を実施し、調理法の異なる試料におけるフラボノイドの吸収動態、高フラボノイド食継続摂取後の抗炎症作用の検証を行うことができた。今後は、高フラボノイド食の設計に活用できるよう食材別・調理法別のフラボノイド量、総ポリフェノール量、抗酸化活性の検データの収集を進めていく。さらに今年度は、これまでに得られたデータを論文や学会発表にて報告していく。
また、ヒト介入試験のために開発された高フラボノイド食を、中食の製品(健康な食事、ヘルシーメニュー等)への付加価値として商品化することを目的に、(1)中食での販売に即した新たなメニューの立案、(2)立案した高フラボノイド食のマーケティング戦略の検討を行っていく。
(1)のメニュー立案の際には、①「健康な食事・食環境(スマートミール)」の【しっかり】の基準を満たし、②中食として提供するのにふさわしい形式で、③報告者らのこれまでの研究で明らかとなったフラボノイド含有量の多い食材・調理法を選択的に取り入れることとする。立案した高フラボノイド食は、フラボノイド含有量、総ポリフェノール含有量、抗酸化活性を測定し、高フラボノイド食としての妥当性を確認する。
(2)について、中食での商品化の実現には、消費者の中食の利用状況やニーズ、食事で健康になることへの考え方の把握が必要となる。そこで、全国に住む20~50歳代の男女を対象にインターネットを用いたマーケティングリサーチを実施する。その結果を元に、高フラボノイドの中食でのマーケティング戦略について検討していく。
これらの研究を通して、「スマートミール」のようなヘルシーメニューに、フラボノイドのもつ高い機能性を付与した高フラボノイド食を応用することで、中食を活用したさらなる食環境整備の実現を目指す。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (4件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件) 図書 (1件)

  • [学会発表] 豆腐摂取後のフラボノイドの吸収動態に 調理方法が及ぼす影響2023

    • 著者名/発表者名
      青木夢那、萬年遼、大槻尚子、合田敏尚、下位香代子、市川陽子
    • 学会等名
      第77回日本栄養・食糧学会大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 豆腐摂取後のフラボノイドの吸収動態に調理方法が及ぼす影響2023

    • 著者名/発表者名
      青木夢那、萬年遼、大槻尚子、合田敏尚、下位香代子、市川陽子
    • 学会等名
      第77回日本栄養・食糧学会大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] The effects of cooking methods and times course for functional component in foodstuffs after cooking2022

    • 著者名/発表者名
      Ryo Mannen, Momoka Kawasaki, Naoko Otsuki, Kayoko Shimoi, Yoko Ichikawa
    • 学会等名
      The 8th Asian Congress of Dietetics (ACD 2022)
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [図書] ポリフェノールの科学ー基礎化学から健康機能までー2023

    • 著者名/発表者名
      寺尾 純二・下位 香代子(監修)/越阪部 奈緒美・榊原 啓之・中村 宜督・三好 規之・室田 佳恵子(編)/市川 陽子(19.1 執筆)
    • 総ページ数
      224
    • 出版者
      朝倉書店
    • ISBN
      9784254103038
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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