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亜鉛シグナルはどのようにして骨格筋の構造と機能を制御しているのか?

研究課題

研究課題/領域番号 22K11871
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分59040:栄養学および健康科学関連
研究機関徳島文理大学

研究代表者

吉開 会美  徳島文理大学, 薬学部, 特別研究員 (00546723)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
キーワード骨格筋 / 筋サテライト細胞 / 微量元素 / 亜鉛シグナル / 亜鉛トランスポーター
研究開始時の研究の概要

骨格筋は亜鉛の主な貯蔵組織であるが、骨格筋の形成と機能における亜鉛シグナルの意義は十分に解明されていない。本課題は、骨格筋における亜鉛シグナルの役割と筋疾患との関連を解明する。
細胞内における亜鉛の恒常性維持は、膜輸送タンパク質である亜鉛トランスポーターによって制御されている。亜鉛トランスポーターによって輸送される亜鉛は、亜鉛シグナルとして標的分子に作用し、種々の生理機能や疾患に作用する。「骨格筋をはじめとする運動器の量的または質的な変化に、亜鉛トランスポーターを介する亜鉛の恒常性システムが関与しているのではないか」と推測した。

研究実績の概要

骨格筋は、ヒトにおける亜鉛の貯蔵組織として最大の組織である。しかしながら、骨格筋における亜鉛の役割は十分に解析されていない。近年では老化に伴う亜鉛の減少が骨格筋の機能低下に関連することが示唆されており、骨格筋における亜鉛恒常性のメカニズムの理解が重要であると考える。本研究は、骨格筋における亜鉛シグナルの役割と筋疾患との関連を解明することを目的として、骨格筋の恒常性における亜鉛と亜鉛の制御メカニズムの意義を究明するものである。
本年度は、筋形成および筋再生の中心的な役割を担う筋幹細胞(筋サテライト細胞とも呼ばれる)に着目し、独自に開発したZIP13の発現をGFPで可視化するZip13-GFPノックイン(KI)マウスとZip13-遺伝子欠損(KO)マウスを用いて、ZIP13が制御する筋サテライト細胞の骨格筋形成や再生に関わるメカニズムを解析した。筋サテライト細胞におけるZIP13の発現について詳細に解析するために、筋サテライト細胞の休止期及び活性期に着目して、ZIP13の発現様式を、片側のアレルのみにGFP遺伝子配列を有するGFPヘテロノックインマウスを用いてFACSにより解析した。興味深いことに、GFPの発現は、活性期 (Integrinα7陽性及びCD34陰性)と、休止期 (Integrinα7陽性及びCD34陽性) のサテライト細胞で異なることが示唆された。引き続き、亜鉛が制御する骨格筋の新たな分子メカニズム解明に向けて研究計画に沿って検討を進める予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ZIP13は筋サテライト細胞および筋繊維に発現し、骨格筋の分化や維持、さらにその回復過程に重要な役割を有していることを見出している。特に、ZIP13の発現様式がサテライト細胞の性状において異なることは、ZIP13がサテライト細胞の役割を制御する重要な分子であることを示唆するものと考えられる。従って、今後は筋サテライト細胞の性状を制御するZIP13の亜鉛シグナルに焦点を当てて、発展的に研究を展開する予定である。

今後の研究の推進方策

骨格筋の再生におけるZIP13の個体レベルの役割を精査するために、筋損傷モデルを用いて検討を実施する。具体的にはWTとZip13-KOマウスの腓腹筋に塩化バリウムを投与し、筋損傷および、筋損傷後の回復の過程について、凍結切片を作成しヘマトキシリン・エオジン(HE)染色を用いて、損傷の程度を形態学的に観察する。Zip13-KOマウスにおける筋損傷部位のHE染色データを画像解析することによって、損傷あるいは回復の程度を定量化してデータを精査する。さらにこれらの結果を基にして、損傷部位における筋サテライト細胞の性状についても解析する。具体的には、FACS解析を用いて幹細胞マーカーCD34やサテライト細胞に発現するIntegrinα7を評価する。さらに、サテライト細胞を分取して、転写因子Pax7、筋分化のマスターレギュレーターであるMRF、MyoDなどの遺伝子発現量を定量PCR法によって解析することによって、ZIP13が筋再生においてどのように関わるのかを検討する。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (20件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (14件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Possible involvement of zinc transporter ZIP13 in myogenic differentiation2024

    • 著者名/発表者名
      Shoji Masaki、Ohashi Takuto、Nagase Saki、Yuri Haato、Ichihashi Kenta、Takagishi Teruhisa、Nagata Yuji、Nomura Yuki、Fukunaka Ayako、Kenjou Sae、Miyake Hatsuna、Hara Takafumi、Yoshigai Emi、Fujitani Yoshio、Sakurai Hidetoshi、dos Santos Helo?sa G.、Fukada Toshiyuki、Kuzuhara Takashi
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: 14 号: 1 ページ: 8052-8052

    • DOI

      10.1038/s41598-024-56912-7

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Zinc in Cardiovascular Functions and Diseases: Epidemiology and Molecular Mechanisms for Therapeutic Development2023

    • 著者名/発表者名
      Hara Takafumi、Yoshigai Emi、Ohashi Takuto、Fukada Toshiyuki
    • 雑誌名

      International Journal of Molecular Sciences

      巻: 24 号: 8 ページ: 7152-7152

    • DOI

      10.3390/ijms24087152

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Role of Scl39a13/ZIP13 in cardiovascular homeostasis2022

    • 著者名/発表者名
      Hara Takafumi、Yamada Ikuko、Ohashi Takuto、Tamura Masaru、Hijikata Atsushi、Watanabe Takashi、Gao Minghao、Ito Kana、Kawamata Saeko、Azuma Shiori、Yoshigai Emi、Sumiyoshi Yukiko、Yasuhiro Natsumi、Ohara Osamu、Santos Heloisa G. dos、Fukada Toshiyuki
    • 雑誌名

      PLOS ONE

      巻: 17 号: 10 ページ: e0276452-e0276452

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0276452

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Zinc transporters as potential therapeutic targets: An updated review2022

    • 著者名/発表者名
      Takafumi Hara, Emi Yoshigai, Takuto Ohashi, Toshiyuki Fukada
    • 雑誌名

      Journal of pharmacological sciences.

      巻: 148 号: 2 ページ: 221-228

    • DOI

      10.1016/j.jphs.2021.11.007

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 金属トランスポーターZIP14を介する亜鉛シグナルに関する研究2024

    • 著者名/発表者名
      中山雄太、原貴史、野口綾香、中井靖乃、吉開会美、大橋拓人、Mitchell D. Knutson、深田俊幸
    • 学会等名
      第144回日本薬学会年会(横浜)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 筋サテライト細胞に発現する亜鉛トランスポーターZIP13の意義に関する研究2024

    • 著者名/発表者名
      橋本匡生、吉開会美、都築秀尚、大橋拓人、原貴史、深田俊幸
    • 学会等名
      第144回日本薬学会年会(横浜)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 亜鉛トランスポーターZIP13のゴルジ体ストレス応答制御における役割2024

    • 著者名/発表者名
      外山莉聖、原貴史、東志織、吉開会美、大橋拓人、深田俊幸
    • 学会等名
      第144回日本薬学会年会(横浜) 口頭発表
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 骨格筋分化における亜鉛輸送体ZIP13の関与の可能性: 脊椎手掌異形成型エーラス・ダンロス症 候群患者のiPS細胞を用いた検討2024

    • 著者名/発表者名
      長瀬早咲、庄司正樹、由利優心、大橋拓人、原貴史、吉開会美、福中彩子、藤谷与士夫、櫻井英俊、HGD Santos、深田俊幸、葛原隆
    • 学会等名
      第144回日本薬学会年会(横浜)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ゴルジ体の制御における亜鉛トランスポーターZIP13の意義-EDSSPD3の筋力低下メカニズム解明に向けた検討-2023

    • 著者名/発表者名
      大橋 拓人、兼松 沙也香、岸路 清楓、権丈 紗愛、福中 彩子、島田 正晴、原 貴史、吉開 会美、藤谷 与士夫、深田 俊幸
    • 学会等名
      第143回 日本薬学会年会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 骨格筋における亜鉛トランスポーターZIP13の役割-Zip13遺伝子欠損マウスを用いた解析-2023

    • 著者名/発表者名
      岸路 清楓、大橋 拓人、福中 彩子、兼松 沙也香、島田 正晴、吉開 会美、原 貴史、藤谷 与士夫、深田 俊幸
    • 学会等名
      第143回 日本薬学会年会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] Zip10発現細胞の時空間的変化に関するZip10-EGFP-KIマウスを用いた解析2023

    • 著者名/発表者名
      菊池 美里、原 貴史、中野 明瑳、吉開 会美、大橋 拓人、深田 俊幸
    • 学会等名
      第143回 日本薬学会年会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] がん悪液質に対する新たな治療戦略の構築を目指した亜鉛トランスポーターZIP14の機能解析2023

    • 著者名/発表者名
      野口 綾香、原 貴史、中井 靖乃、中野 史穂、中山 雄太、吉開 会美、大橋 拓人、Knutson Mitchell、深田 俊幸
    • 学会等名
      第143回 日本薬学会年会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 筋サテライト細胞における亜鉛トランスポーターZIP13の発現と特徴に関する解析2023

    • 著者名/発表者名
      吉開会美, 黒嵜大志, 橋本匡生, 都築秀尚, 大橋拓人, 原貴史, 深田俊幸
    • 学会等名
      第25回日本亜鉛栄養治療研究会学術集会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] ZIP13はゴルジ体ストレス応答の制御に関与する2023

    • 著者名/発表者名
      岸路 清楓、大橋 拓人、福中 彩子、兼松 沙也香、権丈紗愛、吉開会美、原 貴史、藤谷 与士夫、深田 俊幸
    • 学会等名
      第25回日本亜鉛栄養治療研究会学術集会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 亜鉛トランスポーターZIP14の機能の解析に向けた検討 -がん悪液質に対する新たな治療戦略の構築を目指して-2022

    • 著者名/発表者名
      野口綾香, 原貴史, 裏加紗季, 本山歩優, 吉開会美, 高岸照久, 深田俊幸
    • 学会等名
      第33回 日本微量元素学会学術集会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 亜鉛トランスポーターZIP10の機能解析: ZIP10-GFP-ノックインマウスの解析-2022

    • 著者名/発表者名
      原貴史, 裏加紗季, 本山歩優, 吉開会美, 高岸照久, 深田俊幸
    • 学会等名
      第33回 日本微量元素学会学術集会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] Zip10-EGFP-KIマウスを用いたZIP10発現細胞の時空間的解析―皮膚疾患の再生治療法の構築を目指して―2022

    • 著者名/発表者名
      菊池美里, 原貴史, 中野明瑳, 吉開会美, 大橋拓人, 深田俊幸
    • 学会等名
      第24回日本亜鉛栄養治療研究会学術集会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 毛包幹細胞に発現する亜鉛トランスポーターZIP10の機能解明に向けた検討:Zip10-EGFP-KIマウスの開発と実用2022

    • 著者名/発表者名
      菊池美里, 原貴史, 中野明瑳, 吉開会美, 大橋拓人, 深田俊幸
    • 学会等名
      第16回トランスポーター研究会年会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] 薬局、The Journal of Practical Pharmacy.2024

    • 著者名/発表者名
      原貴史、吉開会美、深田俊幸
    • 総ページ数
      3
    • 出版者
      南山堂
    • ISBN
      9784525940027
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [図書] 臨床栄養 141 (2)2022

    • 著者名/発表者名
      吉開会美, 原貴史, 大橋拓人, 深田俊幸
    • 総ページ数
      9
    • 出版者
      医歯薬出版
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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