研究課題/領域番号 |
22K11880
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
齊藤 桂子 岩手医科大学, 歯学部, 助教 (70788744)
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研究分担者 |
熊谷 美保 岩手医科大学, 歯学部, 准教授 (20398481)
黒瀬 雅之 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (40397162)
森川 和政 岩手医科大学, 歯学部, 教授 (70514686)
佐藤 大祐 新潟大学, 研究推進機構, 助教 (70778703)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 嚥下 / とろみ / 食支援 / 咀嚼 / レオロジー / レオメータ / 嚥下障害 / 触圧感覚 |
研究開始時の研究の概要 |
誤嚥のリスクを軽減するためのとろみ付けが介護現場で行われるが、とろみの評価は定性的評価に依存している。よって、嚥下調整食の基準は、認識の共有が容易ではなく、シームレスな介入の障壁となっている。これらの背景から、定量的な評価法の確立を目指し、攪拌時のモーメントを6軸センサから検出する技術を熟成させ、今までにない、在宅での使用を念頭に置いた小型且つ安価な「とろみ計測器」の開発に着手してきた。本研究では、ボトルネックである小型化、そして非ニュートン流体での「とろみ度」の計測を実現するため、技術を活用した原理試作を行い、理想的な計測原理を検討し定性的評価から定量的評価へと置換する土台を構築したい。
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研究実績の概要 |
急速な高齢化と地域包括ケアの推進により、嚥下障害者のケアは在宅に移行し、多職種で構成される支援チームがその中心を担っている。ケアを継続するためには、チーム内での個々の嚥下障害患者を取り巻く情報の共有が不可欠である。その中で、内視鏡や造影検査など機能評価技術は飛躍的に進歩したが、訓練方法の定量化は進んでおらず、主役たる嚥下調整食は、その名称が施設・担当者毎によって異なるな課題となっている。摂食嚥下障害者はスプーン一杯の水で溺れるという言葉が示すように、障害レベルに応じたとろみ付けが頻繁に行われているが、その程度はケチャップ状やポタージュ状などの定性的評価に依存しており、安定した食提供を実現するための定量的な評価には高額かつ大型機器が必要となる。そこで、“安心して安定した食提供を実現出来る”社会の実現を目指し、在宅での使用を念頭においた小型且つ安価な粘度計の開発に着手してきた。 小型多軸触覚センサにて感圧ヘッドにかかる三次元の力を流体の粘度として算出するシステム開発を行い、ニュートン流体(グリセリン)だけでなく一部の非ニュートン流体(市販されている嚥下補助食品を混和した水溶液)において、既存の高精度な粘度計からの出力値と高い相関を持つ出力値を得ることが出来た。これにより、従来までの粘度計の原理である流動抵抗によりバネに生じたねじれをトルクセンサーで検出する手法ではなく、小型の触圧センサを活用することで、困難であったダウンサイジングが可能になるだけではく、屋外での使用も可能となり、スラリー調製などに活用出来る事が期待される。本研究を遂行することで有効性が明らかとなったコアとなる要素技術は、2022年度中に特許出願に至っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
コア技術となる、流動抵抗を攪拌棒に設置した小型多軸力覚センサ(9×9×5mm)よりモーメントとして検出する概念は、一定以上の精度で粘度検出が可能であった。対象としたのは、ニュートン流体と一部の非ニュートン流体である。研究計画では、在宅での粘度計の導入を視野に研究計画を立案してきたが、在宅での使用を念頭におくと、様々な物性の食品をユーザーが粘度計を用いて計測することが想定されるため、ダイラタント流体だけでなく様々な物性の流体を対象に検証を行う必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
要素技術として開発を行った技術は、油やグリセリンなどのニュートン流体では非常に高い精度での粘度検出を実現した。また、非ニュートン流体(市販されている嚥下補助食品を混和した水溶液)においても高精度粘度計と遜色のないレベルでの検出を実現してきた。今後は、要素技術の将来性と限界を知ることも目的に、様々な物性の流体を対象に粘度計測を行いたい。 要素技術の核となる感圧ヘッド部は、その形状を容易に変更することが可能である。よって、3Dプリンタを活用して様々な形状の感圧ヘッドの作成・検証、さらにはストロークの力や幅などを可変させながら、様々な物性の流体を対象に検討を行う。
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