研究課題/領域番号 |
22K11886
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
松本 綾子 順天堂大学, 大学院スポーツ健康科学研究科, 特任助教 (20833825)
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研究分担者 |
松本 顕 順天堂大学, 医学部, 教授 (40229539)
伊藤 太一 九州大学, 基幹教育院, 准教授 (20769765)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 老化 / 寿命 / 性差 / ショウジョウバエ / 寿命の性差 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒトを含めた多くの生物でメスはオスよりも長寿である。本研究では、寿命の性差の原因遺伝子を同定する。実験には、寿命が短く、短期間で結果が得られるショウジョウバエを用いる。まず、老齢群および若齢群の脳での遺伝子発現を、雌雄で網羅的に比較する。加齢により性特異的に発現変化する遺伝子群を対象に、バイオインフォ解析で、それらの調節領域内のコンセンサス配列を探索し、その配列に結合する調節因子を同定する。これらメス長寿化マスターキー遺伝子候補について、生体内での機能解析を行い、加齢の進行や寿命への影響を検証する。
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研究実績の概要 |
ヒトを含む多くの生物でメスはオスより長寿である。本研究では、モデル生物であるショウジョウバエを用い、寿命の性差に関わる遺伝子を同定することで、最終的にはメス長寿化の原因遺伝子(マスターキー遺伝子)の同定を目指している。 初年度である昨年度は、メスの脳をサンプリングして、次世代シークエンスによる遺伝子発現プロファイルの網羅的な解析を行った。2年目となる本年度は、すでに取得済みのオスの脳の発現プロファイルとの比較を行った。老化への関与が報告されている遺伝子を中心に、雌雄で老化に伴う遺伝子発現に違いの見られる遺伝子の探索を行った。また、雌雄のどちらかのみで、老化によって発現量に変化が見られる遺伝子に関して、Gene ontology (GO)解析やPathway解析、上流解析などのバイオインフォ解析を行うことで、候補遺伝子の絞り込みを行った。ショウジョウバエの遺伝子データーベースを活用し、推定される遺伝子機能や今後の解析に活用可能な変異体の有無を勘案して最終的な候補遺伝子を絞り込んだ。これら候補遺伝子の変異体や形質転換系統は、一部を新たにストックセンターから取り寄せ解析する予定であり、そのための追加の組換えDNA実験の申請を行った。 また、本年度は、次世代シークエンスで得られた発現プロファイルについて、定量的PCRでの確認を行うため、メスとオスの両方で脳のサンプリングを行った。サンプリングは、メスは羽化後1、10、13週齢、オスは1、10週齢で、昨年度同様、概日時計の遺伝子発現への影響を考慮して、明暗サイクル下で4時間ごと(1日6サンプル)に3日分とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題の2年となる本年度は、初年度に行った次世代シークエンスの結果得られたメスの遺伝子発現プロファイルと、それ以前に取得済みのオスの発現プロファイルを比較・検討し、解析候補遺伝子の絞り込みを行った。まずは、雌雄での発現量の統計的有意差を判断するための解析フォーマットを自作することで、老化による発現量変化が雌雄で異なる遺伝子の探索を行った。明暗サイクル下で4時間ごとにサンプリングした羽化後1週、10週および13週のメスの脳と、羽化後1週と10週のオスの脳で遺伝子発現を比較したところ、加齢に伴う発現変化に雌雄差が見られる遺伝子が約1,300 個見つかった。そこで、それら遺伝子を、雌雄ごとに老化で発現が増加、または減少する遺伝子に分類し、Gene ontology (GO)解析やPathway解析などバイオインフォ解析を行い、ショウジョウバエの遺伝子データーベース(Flybase)を活用し、推定される遺伝子機能(例えば転写因子かどうかなど)や変異体の有無を考慮して最終的な候補遺伝子を絞り込んだ。これら候補遺伝子の変異体や形質転換系統については、新たにストックセンターからの入手を予定しており、そのための追加の組換えDNA実験の申請を行った。 また、本年度は、定量的PCRで、次世代シークエンスで得られた発現プロファイルの確認を行う予定であったが、メスと同時にオスの脳のサンプリングを行ったことで、予想以上に手間と時間を要することとなった。結果、サンプリングは終えたものの、定量的PCRまで行うことができなかった。 以上の状況を踏まえ、今年度の進捗状況を「やや遅れている」と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の最終年度となる来年度は、雌雄で老化に伴う遺伝子発現に違いの見られる解析候補遺伝子について個別に寿命への影響を調べる予定である。 まずは、ストックセンターから候補遺伝子の変異体や形質転換系統を入手する。次に、それら系統の遺伝的バックグランドを揃えるため、6~8代にわたってwhite系統(形質転換系統の元親系統)との戻し交配を行う。ショウジョウバエでは、独自の実験手法であるGal4-UASシステムを利用することで、時期・組織特異的に目的遺伝子の過剰発現やRNAiによるノックダウンが可能である。Gal4-UASシステムを用いて、脳の神経細胞のみで、あるいはグリア細胞のみで候補遺伝子の発現を増加、または減少させて寿命への影響を調べる。さらに、加齢の進行状態についても、例えば、運動能力は概日歩行リズムの測定で、生殖能力は交尾行動や産卵数で、ストレス抵抗性は高温処理後の致死率など複数のパラメーターによってモニターすることで、寿命だけでなくより多角的な視点から候補遺伝子の老化への影響を精査する予定である。 また、当初の予定では、2年度目には、次世代シークエンスで得られた雌雄の発現プロファイルの確認を定量的PCRで行う予定であったが、雌雄同時の脳のサンプリングに時間を要し、結果的に定量的PCRまで解析が進まなかった。来年度は、寿命への影響を考慮してさらに候補遺伝子を絞り込んだうえで、それら遺伝子の雌雄での発現を定量的PCRで比較検討する予定である。
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