研究課題
基盤研究(C)
多くのカチオン性分子がGタンパク共役型受容体MRGPRX2(マウスではMrgprb2)に作用して結合組織型マスト細胞を活性化(脱顆粒)させる。生体外リガンド(薬剤など)は偽アレルギーを誘導し、生体内リガンドは炎症に関与する。従って、皮膚・粘膜から吸収される分子(動食物成分など)は直接的・間接的にMRGPRX2に作用して偽アレルギーや炎症を誘導する可能性がある。本研究の目的は、新たに作製したMRGPRX2ノックインマウスを利用してMRGPRX2リガンドの生体内スクリーニング系を確立し、皮膚・粘膜から吸収される分子が引き起こす偽アレルギーや炎症の病態を解明することである。
本研究の目的は、新たに作製したMRGPRX2ノックインマウスを利用してMRGPRX2リガンドの生体内スクリーニング系を確立し、皮膚・粘膜から吸収される分子が引き起こす偽アレルギーや炎症の病態を解明することである。野生型マウス、Mrgprb2-KOマウス、MRGPRX2-KIマウスから骨髄由来マスト細胞(BMMC)と腹腔マスト細胞を誘導した。Mrgprb2/MRGPRX2リガンドであるコンパウンド48/80を添加すると、いずれのBMMCも脱顆粒しなかった。一方、野生型とMRGPRX2-KI腹腔マスト細胞はコンパウンド48/80に反応して脱顆粒したが、Mrgprb2-KO腹腔マスト細胞は脱顆粒しなかった。また、MRGPRX2-KI腹腔マスト細胞は野生型腹腔マスト細胞より強く脱顆粒した。次に、これらのマウスの耳介にコンパウンド48/80を皮下注射してから色素を静脈注射したところ、野生型とMRGPRX2-KIマウスの耳介には色素漏出が認められた。一方、Mrgprb2-KOマウスの耳介には色素漏出が認められなかった。また、in vitro実験の結果と一致して、野生型マウスよりMRGPRX2-KIマウスの耳介における色素漏出量は多かった。これらの結果は、MRGPRX2に対して示すEC50がMrgprb2の場合と比べて低い事実と一致する。このように、MRGPRX2/Mrgprb2リガンドの生体内スクリーニング系が確立したので、種々の分子のスクリーニングを開始している。
2: おおむね順調に進展している
野生型・MRGPRX2-KI・Mrgprb2-KOマウスを利用するMrgprb2/MRGPRX2リガンドのスクリーニング系がin vitro及びin vivoで確立されたたので、おおむね順調に進展していると考えられる。
今後、野生型・MRGPRX2-KI・Mrgprb2-KOマウスを利用するMrgprb2/MRGPRX2リガンドのスクリーニング系を活用する。種々の薬剤・食物などをスクリーニングして、Mrgprb2/MRGPRX2リガンド分子を同定する予定である。さらに、皮膚・粘膜から吸収される分子が偽アレルギーや炎症を誘導する新規病態機序の解明を目指す。
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https://research-center.juntendo.ac.jp/atopy_center/research/g1/