研究課題/領域番号 |
22K11894
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分59040:栄養学および健康科学関連
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研究機関 | 広島国際大学 |
研究代表者 |
木村 留美 広島国際大学, 健康科学部, 准教授 (20368773)
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研究分担者 |
長嶺 憲太郎 広島国際大学, 健康科学部, 教授 (80412352)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ミュータンス菌 / LAMP法 / 幼少期 / 幼少期の食習慣 / う蝕 |
研究開始時の研究の概要 |
う蝕(虫歯)の原因菌の中でもcnm遺伝子およびpa遺伝子を発現しているミュータンス菌(cnm+/pa+ミュータンス菌)は、微小脳血管出血の発症や非アルコール性脂肪肝炎 (NASH) のような重篤な疾患に罹患するリスクが高まるとの報告がある。今回、cnm+/pa+ミュータンス菌に焦点を絞り、簡便な遺伝子検査法を確立して、幼少期からの環境および食習慣とcnm+/pa+ ミュータンス菌の保菌者の関連性を把握することを目的とする。これにより、幼少期からの栄養指導により口腔内ミュータンス菌の減少に繋げられ、虫歯の悪化およびNASHのような生活習慣病を防ぐことができると考えている。
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研究実績の概要 |
う蝕(虫歯)の原因菌であるミュータンス連鎖球菌の中でも、cnm遺伝子およびpa遺伝子を発現しているcnm+/pa+ミュータンス菌を保菌していると、微小脳血管出血の発症や非アルコール性脂肪肝炎(NASH)のような重篤な疾患に罹患するリスクが高まるとの報告がある。また、一般的に虫歯の罹患率は、栄養状態が良い国や地域において高いとされるが、cnm+/pa+ミュータンス菌と食環境に関する詳細な検討はなされていない。 ミュータンス菌の有無はPCRを用いた遺伝子検査が行われているが、検出までの操作が煩雑なためPCRによる遺伝子検査は臨床現場において汎用的に導入されていない。本研究では、タブレット型培地とLAMP法を組み合わせた、唾液中のミュータンス菌を効率よく検出できる多検体での調査により、cnm+/pa+ミュータンス菌の保菌の有無を確認した。合わせてアンケートを実施することにより、幼少期における不規則な食生活や食事のとり方との関連性を見出すことを目的とした。 説明と同意が得られた大学生402名を対象として唾液を採取し、LAMP法を用いてcnm+/pa+陽性者を確認した。アンケート項目は、幼少期の環境、食事状況、食品や料理の喫食状況等とし、陽性者と陰性者との間で比較した。調査した大学生は402名であり、平均年齢は19.2±1.3歳であった。男女比は女性79.4%、男性20.6%であった。本法を用いた結果、cnm+ミュータンス菌が23.4%(94名)、cnm-ミュータンス菌が76.6%(308名)であった。cnm+/pa+ミュータンス菌の保菌者は9.5%(38名)であり、cnm+ミュータンス菌の保菌者のうち40.4%であった。タブレット型培地とLAMP法を組み合わせることによって、多検体を用いてのcnm+/pa+ミュータンス菌の保菌の有無を簡便に調べることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
健常人ボランティアとして、説明と同意が得られた大学生402名を対象とし、LAMP法を用いたミュータンス菌の多検体検出法でcnm+ミュータンス菌およびpa+ミュータンス菌の保菌者を確認した。また、食環境とミュータンス菌感染との関連性を把握することを目的として、幼少期の環境や食習慣に関するアンケートを402名に実施し、pa+ミュータンス菌保菌の陽性者と陰性者との間で比較、検討した。 アンケートの対象は、女性79.1%、男性20.6%、年齢は19.2±1.35歳であった。大学生402名においてpa+ミュータンス菌陽性者は9.5%(38名)、陰性者は90.5%(364名)であり、先行研究で予測された7.5%と同程度であった。pa+ミュータンス菌保菌の陽性者と陰性者で、性別、出身地に差はなく、cnm+ミュータンス菌保菌者と同様の結果であった。幼少期の同居家族で「弟妹がいる人」が陽性者で有意に多かった。兄姉がいるとミュータンス菌の伝播に影響があるとの報告があるが、継続して検討する必要がある。保育園等の利用の開始年齢では、ミュータンス菌が感染しやすいとされる「0~2歳から利用した人」は陰性者で多く、他者との関りを持つ保育園等利用の開始年齢は、「3~5歳から利用した人」で陽性者が有意に多かった。pa+ミュータンス菌陽性者には、幼少期の他者との関りが影響していることが考えられた。今後、cnm+/pa+ミュータンス菌の保菌者での解析には、現状でcnm+/pa+ミュータンス菌の保菌者が9.5%(38名)であることから、さらなる検体数の確保が継続して必要と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
健常人ボランティアとして大学生を対象とした唾液採取による、LAMP法でのミュータンス菌の多検体検出結果及びアンケート調査607名分で解析を行う。 継続して、アンケート結果から、ミネラルやビタミンを多く含む食品とcnm+ミュータンス菌の保菌の関連性の検討を行う。また、歯科医院での予防歯科(栄養教育)での情報提供を検討する。
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