研究課題/領域番号 |
22K11906
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60010:情報学基礎論関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
縫田 光司 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 教授 (20435762)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 暗号理論 / 安全性証明 |
研究開始時の研究の概要 |
現代の暗号分野では、暗号技術の安全性を(何らかの仮定に基づいて)数学的に証明することが主流である。しかし、既存の安全性証明の中に、暗号分野の専門家が「当たり前」と考えているが厳密には検証されていない議論が用いられ、結果として誤った結論が導かれている事例があることが先行研究で指摘されている。本研究ではそうした暗号分野における「当たり前」を厳密に検証し、誤りがあればそれを修正することで、より信頼性の高い安全性証明を普及することを目指す。
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研究実績の概要 |
本年度の研究では、まず、暗号学的擬似乱数を用いた暗号技術の実装の安全性に関する研究代表者の既存研究において、暗号学的疑似乱数の利用によって秘密計算プロトコルの実装の安全性が損なわれる具体例が知られていたことを鑑みて、真の乱数を暗号学的疑似乱数に置き換えても安全性が保たれる充分条件を見出した(査読付国際会議IWSEC 2022にて発表済)。 また、準同型暗号(暗号化状態のままでデータの演算が可能な暗号化技術)の一種である鍵付き準同型暗号の安全性について、暗号文に対する複数回の演算を一括して行う際に共通する操作を集約して効率化する実装を行った際に安全性定義を満たさない場合があることを発見し、またそうした安全性定義上の問題を回避する充分条件を見出した(論文投稿中)。 他にも、秘密計算技術の一種である関数秘密分散(function secret sharing, FSS)の安全性定義の別表現を見出し、それを利用して関数秘密分散の効率性限界の理論的評価を行った(査読付国際会議ACNS 2023に採録決定済)ほか、耐量子計算機暗号の一種である同種写像暗号の安全性評価と関連する数論アルゴリズムの改良の研究を行った(査読付国際論文誌IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciencesに採録決定済(2件))。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度の研究実施計画に挙げていた、暗号学的擬似乱数を用いた暗号技術の実装の安全性、および公開鍵暗号技術における安全性定義という2点について、研究成果を得て論文発表もしくは論文投稿を行うことができた。またそれに加えて、次年度以降の研究の実施に資する予備的な研究成果もいくつか得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
元々の研究実施計画と同様に、今後は本年度の研究成果をさらに発展させるとともに、本年度に対象とした以外の種類の安全性概念についても研究の対象を拡大する方針である。
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