研究課題/領域番号 |
22K11910
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60010:情報学基礎論関連
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
照山 順一 兵庫県立大学, 情報科学研究科, 助教 (40709862)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
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キーワード | 充足可能性問題 / 分岐プログラム / k-CNF / k-Sub-SAT / 計算量理論 / 厳密アルゴリズム |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,論理回路と関連の深い計算モデルである分岐プログラムを入力とする充足可能性問題を扱う.自明な解法である全探索よりも十分に高速なアルゴリズムの構築を目指し,さらにはアルゴリズムの構築法を計算下界証明へ応用する研究を行う.本研究の大きな目標は,P vs. NP 問題解決に向けた一歩として未解決となっているクラスNC1 とNQP を分離することである.
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研究実績の概要 |
分岐プログラムの充足可能性問題とは,与えられた分岐プログラムが値1を出力するような変数入力(0/1割当)が存在するかどうかを判定する問題である.本研究では,未解決問題である計算量クラスNEXPとNC1の分離を導くため,幅限定分岐プログラムに焦点をあて自明な解法である全探索アルゴリズムよりも高速な充足可能性判定アルゴリズムの開発を目標としている. 本年度は,k-Sub-SAT問題に対する非自明なアルゴリズムを設計することにより,幅2分岐プログラムのサイズが2乗に近い場合まで非自明な計算時間を達成する多項式領域決定性アルゴリズムの設計に成功した.これまで線形サイズの幅2分岐プログラムに対する充足可能性判定アルゴリズムが得られていたが,対応可能なサイズが更新されたことになる. k-Sub-SAT問題とは,入力としてk-CNF論理式(節の大きさが高々kであるCNF論理式)と2を法とする連立線形方程式が与えられ,その両方を満たす変数割り当てが存在するかを判定する問題である.この問題はk-SATを含む問題あり,kが3以上の場合はNP完全であることは明らかであるが,k=2においてもNP完全であることが知られている.既存研究では,k-Sub-SAT問題に対して全割当よりも高速な充足可能性判定アルゴリズムとして,指数領域決定性アルゴリズムや多項式領域乱択アルゴリズムが知られている.本研究では,k-Sub-SAT問題に対する多項式領域決定性アルゴリズムの開発に成功し,既存の多項式領域乱択アルゴリズムの計算時間とほぼ同等の性能を達成した.このアルゴリズムをサブルーチンとして用いることにより,幅2分岐プログラムの充足可能性問題に対する多項式領域決定性アルゴリズムを開発している. 現在,本研究成果に関して論文投稿準備中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
非自明な充足可能性判定アルゴリズムを持つ幅2分岐プログラムのサイズは,これまで線形サイズであったが,本研究によりほぼ2乗まで改善された.しかし,本研究では多項式サイズまで扱うことを目標としており,達成には依然としてほど遠い状況であり,さらなる改良が必要となっている.
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今後の研究の推進方策 |
本年度得られた研究成果について,共同研究者と綿密な打ち合わせを行い,国際会議投稿および学術雑誌投稿に向けて準備を進める予定である. また,多項式サイズの幅2分岐プログラムに対する充足可能性判定アルゴリズムに関する研究に加えて,線形サイズの幅3分岐プログラムに対する充足可能性判定アルゴリズムの設計にも取り組む.
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