研究課題/領域番号 |
22K11912
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60010:情報学基礎論関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
高島 克幸 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (70723964)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 同種写像暗号 / 耐量子計算機暗号 / 超楕円曲線 / Richelot同種写像 / 高機能暗号 / 関数型暗号 / 楕円曲線 / 属性ベース暗号 |
研究開始時の研究の概要 |
楕円曲線上の同種写像は,量子計算機でも破れない耐量子計算機暗号以外にも,多種多様な暗号を設計するうえで有用であることが認識されてきている。本研究では,安全性基盤となる同種写像問題の計算困難性を調べると共に,研究代表者により既に提案済みである同種ペアリング群(IPG)という新規暗号設計フレームワーク上で既存のペアリング暗号を再構成することで,その安全性向上を図っていく。更に,IPG上で,IDベース暗号や属性ベース暗号等を,同種写像の逐次計算特性を利用したタイムリリース機能付き高機能暗号へ発展させることも研究する。また,楕円曲線のみならず高種数の代数曲線に関しても,上記の研究を進める。
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研究実績の概要 |
同種写像を用いた暗号技術は,量子計算機に対しても安全な暗号として広く研究が進められている.その安全性を見積もるために,そこで使われている同種写像グラフの数学的な特性を明らかにする研究の重要性が増している. 2023年度は,2022年度に引き続き,同種写像グラフの数理を明らかにする研究を継続した.これまでは,種数2曲線Richelot同種写像の像が種数1楕円曲線の積に分解する特別な部分グラフの構造に関する解析を行ったが,2023年度は種数が3以上の代数曲線の場合のRichelot同種写像グラフについて,超楕円曲線およびHowe曲線という特殊な曲線に着目して分解部分グラフの構造を明らかにする研究を行った.本研究は,Costello-Smithの同種写像問題攻撃法において重要な位置づけを有している.2023年夏の応用数理国際会議 ICIAM 2023 にて,その成果発表を行った.さらに本課題の研究代表者は,ICIAM 2023 で超特異曲線・超特別曲線に関するミニシンポジウムをオーガナイズして,暗号理論と代数曲線理論の学際分野である同種写像暗号の研究を推進する活動も行った, また,電子情報通信学会ISEC研究会の招待講演「代数曲線計算に基づく暗号研究」において,代数曲線上の自己準同型写像を用いた高次元空間ペアリング暗号構成法の概略について述べることで,研究代表者が推進してきた関数型暗号構成法と同種写像の特殊形である自己準同型写像の計算法の関連性について明らかにした.この関連性は,同種写像やペアリング演算といった代数曲線上の種々の演算が暗号応用に対して持つ興味深い性質を示しているので,上記の招待講演は,本研究課題が目指す方向性に沿った研究成果発表となっている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は,一般種数の代数曲線間の同種写像がもつ数理的な性質を一部明らかにすることと,そのような同種写像と高機能暗号との関連性を示す研究を実施することができた.従って,あまり大きな軌道修正をすることなく研究を進めていくことで問題なく,進捗状況はおおむね順調に進んでいる.今後も.同種写像がもつ数理的性質を明らかにするとともに,高機能暗号への応用を目指す研究も進めていく予定である.同種写像暗号分野では,本研究課題の開始当初には予想していなかったようなさまざまな方向への進展が起きており,今後も,そのような研究動向を注視しながら,数理的側面と高機能暗号的側面の両面からの研究を進めていく予定である.
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今後の研究の推進方策 |
今後も,高種数代数曲線の場合の同種写像グラフの解析について研究を進めていく予定である.また,これらの結果とも関連して,従来の同種写像暗号構成の再検討を進めると共に,新しい方式設計につながる暗号解析を深めていくことを目指す.特に,高機能暗号への応用に関して,群作用暗号という枠組みでの研究が進んでおり,安全性の解析とともに,その新しい応用先の探求も進めていく予定である.
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