研究課題/領域番号 |
22K11915
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60010:情報学基礎論関連
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研究機関 | 九州産業大学 |
研究代表者 |
朝廣 雄一 九州産業大学, 理工学部, 教授 (40304761)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2026年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | 組合せ最適化 / アルゴリズム / 計算複雑さ / 組合せ最適化問題 / 層状ネットワーク |
研究開始時の研究の概要 |
層状ネットワークで発生する最適化問題を,単体ではなく段階的に接続するという観点から研究を進める.具体的には次の通りである. 1. 層内あるいは層間の単独で解決したい最適化問題(単独問題)を定式化した上で,段階的な最適化問題(段階的問題)としての定式化を行う. 2. 単独問題に対する既知のアルゴリズムについて調査し,解の接続性について検討するとともに新しいアルゴリズムを開発する. 3. 単独問題に対する既知のアルゴリズムの組み合わせにより得られる段階的最適化問題としての解の評価を行う. 4. 段階的問題の計算困難さについて考察するとともに高性能なアルゴリズムを開発する.
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研究実績の概要 |
本研究では,層状のネットワーク上における組合せ最適化問題に取り組むことを目的としている. 例えば,文字列で表されるデータ(例えばユーザの行動に関する時系列データや発見したDNAの列など)が2台のデバイスからサーバに送られて,サーバ側では,それらの共通部分を求めたいことがある.このように複数の文字列データから共通部分を求める場合には,何をもって共通な部分であると捉えるかによって,様々な問題設定がある.例えば,共通な部分文字列のうち最長なものだったり,さらに最長な共通部分文字列に出現する文字数を制限したい場合もあったりなどする.今年度は,それらのうち,2つの文字列から出現文字数が制限された最長な共通部分文字列を探す問題,2つの文字列のうち片方の文字列にいくつかの文字を追加することで他方の文字列との共通部分列をできるだけ長くする問題,2つの文字列から共通な部分文字列を探したいが,そのときその共通部分列に含まれる文字を事前に指定された文字集合とできるだけ重複させたい問題,などの問題について考察した.得られた結果としては,これらの問題は厳密には異なる問題であるが,多項式時間をかけて問題間の変形操作を行うことで,ある一つの指数時間アルゴリズムですべての問題を解決できることを示した.またその指数時間アルゴリズムとして,既知のものよりも,高速なアルゴリズムを開発した. 以上のような研究成果を,査読付き国際会議 Annual Symposium on Combinatorial Pattern Matching ならびに国内研究集会 電気・情報関係学会九州支部連合大会において公表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究業績の概要欄に記載の通り,査読付き国際会議での研究成果の公表を行うことができたので,成果としては十分なものが得られたと考えている. 新型コロナウィルスの感染拡大が収まらなかったために,前の数年度と同様に,研究活動において様々な制限を受けた.例えば,出張を制限されていたために,共同研究者との議論はオンラインミーティングに頼らざるを得ず,対面での議論よりも不便さを感じた.また,学会や研究会については対面で開催されるものへは出張が制限され,また,オンラインで参加することを理由に授業を休講にはしにくいため,特に時差の存在する国際的な研究集会への参加は難しかった.このため最新の研究動向を理解し,それを踏まえた研究活動を行うという点,ならびに初期の研究成果を当該分野の研究者に公表し意見を聴取することで,研究の進展を図るという点が若干不十分であったと考えている. 以上のように,査読付き国際会議での研究成果の公表は順調に行えたが,新型コロナウィルスの感染拡大に伴う研究環境の変化にうまく対応できなかったと考えている.
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今後の研究の推進方策 |
本書類の執筆時点では,新型コロナウィルスの5類移行が計画されており,社会全体としてウィズコロナ生活へ進んでいるようである.これに伴い,所属研究機関でも出張が可能となった.そのため,この数年間で見合わせてきた,研究集会への参加を再開し,特に研究成果の対面での公表を行っていきたい.ただし,オンライン上でも様々な活動が可能なことが分かってきたので,オンラインでの活動も組み合わせて,成果を挙げられるよう工夫したい. 新型コロナウィルスとは別に,研究の内容としては,マスコミに取り上げられるようなインパクトがありセンセーショナルな研究成果を目指すのではなく,研究活動に真摯に取り組み,学術の発展に微力ながら貢献するという意識でいることを心掛けたい.最終的には国際会議や国際学術雑誌で公表できるような質の高い研究成果をあげることが目標ではある.しかしながら,そう一足飛びにはいかないので,その前段階として国内の研究発表の場での,本研究課題の初期段階の成果の公表を心掛けたい.それにより他者からの意見や評価を取り入れることが出来ると思われるので,それらを踏まえて研究内容の質の向上を図りたい.具体的には,LAシンポジウム,情報処理学会アルゴリズム研究会,電子情報通信学会コンピューテーション研究会などを対象として,研究成果の公表を行いたい.
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