研究課題/領域番号 |
22K11917
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60020:数理情報学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
久野 誉人 筑波大学, システム情報系, 教授 (00205113)
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研究分担者 |
佐野 良夫 筑波大学, システム情報系, 准教授 (20650261)
吉瀬 章子 筑波大学, システム情報系, 教授 (50234472)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 数理最適化 / 非線形最適化 / 大域的最適化 / DM関数 / DC関数 / 単調最適化 |
研究開始時の研究の概要 |
2つのベクトルxとyの各成分がx_j ≦ y_jを満たすとき,f(x) ≦ f(y)の成り立つ関数fを増加関数とよぶが,2つの増加関数の差として表すことのできる関数がDM関数(Difference of Monotonic functions)である.そうしたDM関数を目的関数や制約条件に含む実用規模のDM最適化問題に対し,現実的な計算時間のうちに最適解を生成するアルゴリズムの開発が本研究の中心課題である.DM関数には一般に凸性も凹性も期待できないため,厳密な最適解への収束が保証される大域最適化アルゴリズムだけでなく,ヒューリスティクスも併せて構築し,計算実験と通してそれらの実用性を検証する.
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研究実績の概要 |
増加関数の差として表すことのできる関数(DM関数)を目的関数や制約条件に含むDM最適化の特殊ケースとして,凸関数の差で表すことのできる関数(DC関数)を目的関数とするDC最適化問題を大域的に解くための確定的アルゴリズムの研究を行った. 実行可能集合を凸多面体と仮定してDC関数を最小化するDC最適化の典型例に対し,その大域的最適解を求めるための確定的アルゴリズムを4種考案した.非線形・非凸性は目的関数にしか表れないが,この比較的単純な問題にも実行可能集合の端点以外に複数の局所最適解が想定され,多極値最適化問題の中でも特に困難なクラスに分類される. 考案したアルゴリズムは,複数の半空間を使って凸多面体の近似を繰り返す外部近似アルゴリズムと,凸多面体を複数の錐に細分し,それぞれに外部近似アルゴリズムを適用する錐的アルゴリズム,凸多面体を複数の単体に細分し,それぞれにおけるDC関数の下界値計算を行う単体的アルゴリズムであり,いずれもワークステーション上で簡単な実装を行なって予備的な比較実験を実施した.さらに,DC関数の減数項が1変数の和に分離可能な問題を解くための矩形的アルゴリズムも考案,実装して他の3つのアルゴリズムとの比較実験を行い,その結果をRAMP数理最適化シンポジウムで報告した. これら4種のアルゴリズムの比較実験では,分離可能性を利用する矩形的アルゴリズムの性能が突出して優れていたが,錐的アルゴリムも汎用性の面で今後の発展を期待できることが明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
6月に食道癌に罹患していることが発覚,7月から抗癌剤投与のために一週間ほどの入院を三度繰り返したのち,9月に食道の切除・再建手術を受け,現在まで月に一度の別種の抗癌剤治療を受け続けている.そのため,授業やゼミ,会議等にはオンラインで何とか対応できても,とても研究を推し進められる状態になく,11月に開催されたRAMP数理最適化シンポジウムのために依頼された講演録を病室のベッドで執筆することのほか満足な研究ができなかった.
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今後の研究の推進方策 |
11月のRAMP数理最適化シンポジウムでの講演の内容を論文としてまとめ,日本OR学会の機関誌「オペレーションズ・リサーチ」に投稿するほか,昨年度に実施予定であったDC関数の凸多面体上での大域的最適解を求めるためのアルゴリズムの精緻な実装を実現し,既存のアルゴリズムとの比較実験の結果を論文にまとめて適当な学術雑誌に投稿する予定である.またできれば,DC最適化のアルゴリズムをDM最適化へと拡張し,その収束性など理論的挙動を明らかにしたいと考えている.
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