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自発的分散到着を促すシステム設計のための待ち行列ゲーム解析

研究課題

研究課題/領域番号 22K11927
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分60020:数理情報学関連
研究機関防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群)

研究代表者

佐久間 大  防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), 電気情報学群, 准教授 (00434027)

研究分担者 福田 恵美子  東京工業大学, 工学院, 准教授 (50546059)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
キーワード待ち行列理論 / ゲーム理論 / エージェントベースモデル / シミュレーション / 実験室実験 / 限定合理性
研究開始時の研究の概要

本研究の目的は「混雑低減だけでなく自発的分散到着を実現するシステムとは?」に対する知見および解を得ることである。近年の情報技術の発展により、利用者はシステム状態を部分的に観測し、意思決定(ex. システムへ到着)することが可能である。本研究では、利用者がシステム情報を部分的に得ている状況で、自身の目的関数を最適化するように意思決定する様子を、待ち行列ゲームによりモデル化および解析を行うことにより、前述の問いに対する答えを導く。ここでは、自発的分散到着させるために実社会で採用されている代表的2手法(時間帯予約制、時間帯依存の受付料金)について考え、その有効性を検証する。

研究実績の概要

今年度は,到着客が待ち行列に加入するか否かを決める待ち行列ゲームについて理論解析を行った。特にここでは,サービス時間分布が相型分布に従うと仮定することで,待ち行列モデルをレベル依存型の推移構造をもつ準出生死滅過程により定式化し,その定常分布を陽表現により得ることができた。さらに,客の加入非加入の戦略をゲーム理論の観点から導くことに成功した。その結果,対称混合戦略の範囲において,均衡が必ずしも唯一では無いことを示すことができた。
昨年度までの計算機実験において,客が学習に用いる情報の種類により混雑が緩和され得ることが示唆されたため,客に提示する情報を操作することで混雑低減ができるかどうかを実験室実験により検証した。80名程度の研究協力者を募り実験を行った結果,いくつかの理論結果を支持する結果が得られたが,提示情報の違いによる明確な混雑解消は見られなかった。また,定数到着モデルにおける混雑緩和についての研究も進め,従来の混合戦略ナッシュ均衡ではなく相関均衡を用いることで混雑が緩和することを数値計算等で明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

到着客が待ち行列に加入するか否かを決める待ち行列ゲームについて,理論解析を行えただけでなく,昨年度提案した,エージェントベースモデルとの数値比較実験も良好な結果が得られた。また,新型コロナウィルス感染症の影響を受けて実施できなかった実験室実験も再開できたため,これまでに得た理論結果や計算機実験の結果から考えられる混雑緩和策について,現実における有効性を確認していけることが期待できる。

今後の研究の推進方策

基本的な待ち行列ゲームについては,その理論解析だけでなく,ゲームの解が得られるための客の行動について,知見を得ることができた。ここで用いた理論解析の手法(行列解析法)の利点は,先行研究の解析手法よりも平易であるばかりでなく,その適用範囲も広いことが示唆されている。そのため,今後はより一般的な仮定の下での待ち行列ゲームの解析を行い,研究をさらに推進する予定である。
また,今年度の実験結果も踏まえ,どのような情報を提示することで混雑が低減されるか,理論・実験(実験室実験および計算機実験)の両面から明らかにしていく。また,定数到着モデルにおいては,これまでの分析例では客が相関均衡を実現できれば混雑緩和が可能であることが示せた。今後はより一般的な状況においてこの性質を明らかにしていきたい。具体的には,大きな規模での相関均衡を計算できるようアルゴリズムを改良することや,近似的に導出する学習過程についての分析を進めることが,今後の課題である。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (13件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 学会発表 (12件) 図書 (1件)

  • [学会発表] Strategic arrivals of customers in a discrete-time queue with initial workload2024

    • 著者名/発表者名
      Yutaka Sakuma, Emiko Fukuda, Hiroyuki Ichihara, Hiroyuki Masuyama
    • 学会等名
      第40回(2023年度)待ち行列シンポジウム「確率モデルとその応用」
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Mn/PH/1 待ち行列における戦略的な到着客の加入・非加入に関する一考察2024

    • 著者名/発表者名
      ヤン リン アウン,佐久間大
    • 学会等名
      第40回(2023年度)待ち行列シンポジウム「確率モデルとその応用」
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 待ち行列ゲームにおける学習過程分析2024

    • 著者名/発表者名
      横田隆太郎, 福田恵美子,佐久間大
    • 学会等名
      第40回(2023年度)待ち行列シンポジウム「確率モデルとその応用」
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 相関均衡を用いた待ち行列ゲームの社会的厚生改善に関する研究2024

    • 著者名/発表者名
      松川恭之, 福田恵美子,佐久間大
    • 学会等名
      第40回(2023年度)待ち行列シンポジウム「確率モデルとその応用」
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 受付期間がある待ち行列ゲームにおける均衡の唯一性2024

    • 著者名/発表者名
      佐久間大,増山博之
    • 学会等名
      日本オペレーションズ・リサーチ学会2024年春季研究発表会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 待ち行列ゲームとエージェント・ベース・モデル2023

    • 著者名/発表者名
      佐久間大
    • 学会等名
      第311回 待ち行列研究部会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Strategic behaviour of reserved customers in a queueing model with multiple reservation zones2023

    • 著者名/発表者名
      Yutaka Sakuma, Emiko Fukuda, Hiroyuki Ichihara, Hiroyuki Masuyama
    • 学会等名
      ICIAM2023(10th International Congress on Industrial and Applied Mathematics)
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Mn/PH/1待ち行列における客の行動の待ち行列ゲーム解析2023

    • 著者名/発表者名
      ヤン リン アウン,佐久間大
    • 学会等名
      日本オペレーションズ・リサーチ学会2023年度秋季研究発表会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Naorモデルにおける閾値戦略を再現するエージェント・ベース・モデル2023

    • 著者名/発表者名
      ヤン・リン・アウン,佐久間大
    • 学会等名
      2022年度待ち行列シンポジウム
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] M/M/1待ち行列を基にした待ち行列ゲームにおける閾値戦略を再現するエージェント・ベース・モデル2023

    • 著者名/発表者名
      ヤン・リン・アウン,佐久間大
    • 学会等名
      日本オペレーションズ・リサーチ学会2023年春季研究発表会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 損失が財配分に与える影響 ‐ 経済実験による検証2022

    • 著者名/発表者名
      井上幸大, 竹内あい, 福田恵美子
    • 学会等名
      日本オペレーションズ・リサーチ学会2022年秋季研究発表会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 損失が税の再分配に与える影響2022

    • 著者名/発表者名
      井上幸大, 竹内あい, 福田恵美子
    • 学会等名
      日本行動経済学会第16回大会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [図書] 選挙・投票・公共選択の数理2022

    • 著者名/発表者名
      日本応用数理学会 監修・ 大山 達雄 編
    • 総ページ数
      325
    • 出版者
      共立出版
    • ISBN
      9784320019560
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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