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高次元極値統計学におけるリスク予測モデリングの開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K11935
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分60030:統計科学関連
研究機関鹿児島大学

研究代表者

吉田 拓真  鹿児島大学, 理工学域理学系, 准教授 (80707141)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
キーワード極値統計学 / 加法モデル / 変化係数モデル / 高次元データ / ノンパラメトリック回帰
研究開始時の研究の概要

高次元データの極値解析モデルを開発することが目的である。特に、(1)加法モデル (2)変動係数モデル (3) 次元削減モデル (4)スパースモデルを極値統計学に発展させる。(1)--(4)のモデルはこれまでは平均や中央値の推測には十分に開発されてきたが、最大値、最小値予測モデルに応用された例は多くない。
上記の4モデルは分析目的やデータの構造を見て使い分けるものである。よって、本研究目的の達成は、極値統計学を用いたリスク分析に新たに4つの視点をもたらすこととなる。本研究は多様性の観点から極値統計学の発展に貢献するものである。

研究実績の概要

加法モデルを極値統計分布に組み込んだモデルはExtreme value generalized additive models (EVGAM)と呼ばれ、広く知られている。2023年度は特にこのEVGAMの漸近理論の構築に着手した。EVGAMでは形状パラメータ、尺度パラメータと推定すべきパラメータが2つあり、これらの同時推定を行う必要があることが他の統計モデルと異なる部分である。この2つのパラメータの推定量は互いに従属関係にあり、その従属構造を見出すときに、形状パラメータの一意性の問題が発生する。この研究では、形状パラメータが一意に存在するための条件を導出した。その条件は比較的緩く、実データ解析を行う際に致命的なものではないことも示した。漸近理論としては、推定量の一様収束レートを導出した。極値統計学の一様収束に関する結果は簡単なモデルで2000年に、尺度パラメータ固定の下で形状パラメータに対する結果が2015年に解明されているが、2つのパラメータの同時推定の下でそれぞれの一様収束レートを示したのは本研究が初である。EVGAMはこれまで理論研究が行われていないもののアプリケーションではよく用いられている。本研究はその有用性を理論面から保証されるものである。本研究は論文にまとめ、現在、国際ジャーナルに登校中である。
他に変化係数モデルを用いた極値分布論に関する研究を2022年から継続した。本研究の詳細は2022年度の実績を参照するが、今年度、本研究をまとめた論文が統計学関連の国際ジャーナルに採択された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究課題は4つの統計モデルを極値統計学に発展させることであるが、その内2つのモデルである加法モデル、変化係数モデルについて結果を論文にまとめることができた。これらの研究は国際会議や国内会議でも発表し、専門家からもコメントを得ている。どちらのモデルも応用する上では重要なモデルで、研究の方向性も間違ってはいない確信を得ている。変化係数モデルについては最近、応用先として経済データにマッチすることを知ったため、その専門家と議論し、さらに研究を深めていける可能性を感じている。
残りの研究期間2年で2つのモデル:single-indexモデル, スパースモデルの導入を目指す。まず、single-indexモデルについてはすでに数値解析は完成しており、漸近理論構築を残すのみである。理論面においてもこのモデルは極値以外の分布では広く研究され、先行研究は十分にある。極値分布ならではのバイアス導出が難点となるが、道具は揃っていると考えてよい。スパースモデルについてもすでに気象データへの適用を試みている。厳密な精度評価は今後行うが、感触は良好であり、少なくとも方針変更の必要はないと考えている。理論的性質の解明は今後の課題であるが、こちらも先行研究は豊富に存在する。ひとつ気がかりがあるとすれば、スパースモデルのパラメータ推定の計算コストを要する点である。計算機のスペックも依存してくるが研究成果を挙げる段階では効率化を極めたものを発表したい。本研究は完成にはまだ時間を要するが、研究の骨格は出来上がっていると判断できる。今後の進捗で上記の問題点を解決したい。

以上の理由から、本研究はおおむね順調に進展していると判断する。

今後の研究の推進方策

2024年度はまずはsingle-indexモデルの極値分布への適用を重点的に研究する。single-indexモデルのパラメータ推定方法は様々なものが知られており、極値に合う方法を探す必要がある。複数の方法を比較し、ベストなものを見つけ、なぜその方法が極値に合うのかも理論的に考察を与えたい。また、single-indexモデルはパラメータと非線形関数が混在しているため、それぞれの漸近理論を構築するだけでなく、同時に組み合わさった状態での理論構築が望まれる。これらは先行研究は存在するものの、極値分布に適用したときに極値バイアスとどう関連してくるのかを調べる必要がある。必要な仮定を十分に吟味し、理論解明に取り組む。数値実験による手法の妥当性はすでに得られている。一方でこのモデルはモデリング後のデータ解釈が多少難しいため、実データへの応用を通じて、極値分析においてどのような利点があるのかをクリティカルにまとめたい。ある程度成果がまとまったら、国内会議で講演し、専門家からの助言を得たい。その後、この研究は2024年度内に成果を論文にまとめ、国際ジャーナルに投稿したい。
スパースモデルは本格的には2025年度に取り組むが、数値実験は本年度中には始めたい。スパース構造の入れ方として様々なものが考えられるが、先行研究で特に重要視される設定である「重要な変数と重要でない変数間の相関構造のパターン」に可能な限り実データの特徴を反映させたい。実データとしては気象データへの適用を視野に入れているが、経済データや医療データへの可能性も視野に入れている。様々なデータに適用できる汎用的な手法の開発を目指すべく、様々な実学の研究者らと議論を行いたい。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Hypothesis testing for varying coefficient models in tail index regression2024

    • 著者名/発表者名
      Koki Momoki Takuma Yoshida
    • 雑誌名

      Statistical Papers

      巻: 0

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Impact of cognitive decline on medical outcomes and nursing workload: A retrospective cohort study2024

    • 著者名/発表者名
      Takashi Iwaanakuchi, Takuma Yoshida, Yukari Fukuda, Yumiko Uto
    • 雑誌名

      Plos One

      巻: 0 号: 11 ページ: 0293755-0293755

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0293755

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Sample size calculation in clinical trials with two co-primary endpoints including overdispersed count and continuous outcomes.2024

    • 著者名/発表者名
      Gosuke Homma, Takuma Yoshida
    • 雑誌名

      Pharmaceutical Statistics

      巻: 23 号: 1 ページ: 46-59

    • DOI

      10.1002/pst.2337

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Verification of the relationship between the sequential organ failure assessment score and the length of intensive care unit and hospital stay in terms of medical resources input2024

    • 著者名/発表者名
      Hirofumi Kawasaki, Kazue Fudamoto, Mutsumi Yamamoto, Takashi Iwaanakuchi, Takuma Yoshida, Teruto Hashiguchi, Yumiko Uto
    • 雑誌名

      Medcine

      巻: 102 号: 35 ページ: 34632-34632

    • DOI

      10.1097/md.0000000000034632

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Asymptotic theory for extreme value generalized additive models2023

    • 著者名/発表者名
      Takuma Yoshida
    • 学会等名
      The 10th International Congress on Industrial and Applied Mathematics
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Asymptotic theory for extreme value generalized additive models2023

    • 著者名/発表者名
      Takuma Yoshida
    • 学会等名
      he 13th International Conference on Extreme Value Analysis
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会
  • [学会発表] Asymptotic properties of generalized additive models in extreme value theory2023

    • 著者名/発表者名
      吉田拓真
    • 学会等名
      日本数学会2023年度秋季総合分科会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] Asymptotic properties of extreme value generalized additive models2022

    • 著者名/発表者名
      吉田拓真
    • 学会等名
      2022年度共同研究集会「極値理論の工学への応用」
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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