研究課題/領域番号 |
22K11938
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60030:統計科学関連
|
研究機関 | 成蹊大学 |
研究代表者 |
小森 理 成蹊大学, 理工学部, 教授 (60586379)
|
研究分担者 |
江口 真透 統計数理研究所, 医療健康データ科学研究センター, 特任教授 (10168776)
久保田 康裕 琉球大学, 理学部, 教授 (50295234)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2026年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2025年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
|
キーワード | 生物多様性予測 / 計算効率 / 生物多様性解析 / Maxent / 生物多様性保全 |
研究開始時の研究の概要 |
人間による長年の利益重視の経済活動の結果,生態系の環境が破壊され多くの貴重な生物が絶滅の危機に瀕しているのが現実である.そのためには①過去,現在,未来の生物多様性の変遷を客観的に捉え,その結果を将来の生物多様性保全のために用いる必要がある.また小学校から大学の教育でも注目されているSDGsの13(気候変動に具体的な対策を), 14(海の豊かさを守ろう), 15(陸の豊かさを守ろう)の目標に象徴されるように,②生物多様性の重要性は子供の時からしっかりと認識しておく必要がある.そこで本研究では①と②を同時並行に達成することを目指す.
|
研究実績の概要 |
地球規模のデータで生物多様性予測を効率よく行うためのアルゴリズムの開発に従事した.これによりMaxentやPoisson point processによる生物多様性予測の飛躍的な効率化を実現し,Dynamic Maxent, Dynamic β-Maxentなどの時空間を考慮した生物多様性予測の計算効率の基盤技術の確立に大きく貢献した.具体的にはMaxentの規格化項の計算,またはPoisson point processの強度の数値積分の計算を,観測地点のbackgroundデータに関するcumulant近似を行うことにより,地球規模のデータにおいても1次と2次のcumulantの計算をアルゴリズムの実行前に計算することで,計算効率の飛躍的な向上を達成した.また様々な実データセットや数値シミュレーション実験によりその計算効率を評価し,生物多様性の予測の精度も従来法と比較し同等レベルを達成することを確認した. またこれらの成果は国内での学会,国外での学会,国外での研究でそれぞれ発表を行った.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
進捗状況は以下のようにまとめることができる. 1.大規模データを用いた生物多様性予測で課題となっていた計算効率の問題に対し,効率的なアルゴリズムの開発を行うことができた.2.アプリケーション開発において,上記のcumulantを用いた計算効率を向上させたMaxent, Poisson point processの実装をRを用いて着手した.3.Japanese Journal of Statistics and Datascienceの特集号を企画し,国内外の最新の生物多様性予測の研究の取りまとめを行った.4.いくつかの成果を学会発表,論文執筆を通して公表した.5.生物多様性データは様々な時点で断続的に観測されているため,空間的時間的に多くの欠損値を含んでる.そのため将来予測を精度よく行うためにはまずはこの欠損値をどのように扱うかを慎重に検討する必要が出てきた.6.この問題を解決するために時系列データにおける欠損値の扱いに造詣が深い,University of Central FloridaのHsin-Hsiung Huang教授との議論を本格的に開始した.
|
今後の研究の推進方策 |
以下の手順で研究を進める. 1.生物多様性予測に用いるデータに多くの欠損値を含むため,まずはこの欠損値の問題に着手する.具体的にはHsin-Hsiung Huang教授の専門であるGaussian process modelを検討し,今回の生物多様性予測にも効果的であるかを検討する.2.生物多様性予測は複数の種の交互作用を考慮する必要があり,複数の種を用いたintegrated Maxent, Poisson point processのモデルも検討する.3.上記の複数種のデータをうまく使い,それぞれのデータの欠損値を補完するアルゴリズムの開発に着手する.4.上記の3つの課題を解決し,Dynamic-Maxent,Dynamic β-Maxentの本格的な開発に取り組む.5.その際本年度で開発した計算速度向上のアルゴリズムを援用し,計算効率がよくまた予測精度も高い手法に改良する.6.その後国内外の学会発表,論文執筆を通し研究成果を広く公表するとともに,アプリケーション開発により教育現場にその研究成果を広く普及させる.
|