研究課題/領域番号 |
22K11988
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60050:ソフトウェア関連
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研究機関 | 株式会社SRA(先端技術研究室) |
研究代表者 |
熊澤 努 株式会社SRA(先端技術研究室), 先端技術研究室, 研究員 (90847906)
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研究分担者 |
滝本 宗宏 東京理科大学, 創域理工学部情報計算科学科, 教授 (00318205)
児玉 靖司 法政大学, 経営学部, 教授 (30266910)
神林 靖 山陽小野田市立山口東京理科大学, 工学部, 教授 (40269527)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | モデル検査 / 粒子群最適化法 / 網羅性 / ベンチマーク生成 / 問題分割 / 目的関数 / 群知能 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,ソフトウェアシステムを形式的に検証する技術の一手法であるモデル検査の高性能化と,検査結果の理解可能性の向上を目標として,複数の群れを用いた粒子群最適化法を用いた検査技法を開発する.複数の群れを効果的に活用するため,個々の群れが解く問題を小規模化する問題分割法を開発して実装する.次に,経験的知識を活用した検査の高性能化,軽量化技法を組込む.ベンチマークを使用して実装した検査技法を総合的に評価することで,その有効な検査問題と性質を明らかにする.
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研究実績の概要 |
2023年度は,2022年度の研究で取り組んだ課題である検査の網羅性と新たに考案した反復検査法について引き続き研究を進めた.今年度は網羅性の尺度と反復検査法を実装して,計算機による性能評価を行った. 検査網羅度は2種類の尺度から構成されている.第一はソフトウェアの異なる機能や実行パターンを広く網羅したかを表す多様化尺度であり,第二はソフトウェアの同一機能の近い挙動を徹底的に調べたかを表す集中化尺度である.多様化と集中化は,群知能に代表されるメタ戦略アプローチにおける基本的な考え方であり,両者のバランスを取りながら検査を行うことが望まれる.一方,反復検査法は,複数の群れを用いた粒子群最適化法による検査を繰り返し実行することで,増進的に検査網羅度を高めていく方法である.繰り返しの各ステップでは,各群れが同一の分割済み問題を解く可能性を低減するように,繰り返しの履歴を基に検査パラメータを自動的に調整してから検査を行う.並行システムの検証問題を用いた評価実験の結果,繰り返しを行う毎に多様化と集中化のいずれの点においても向上することを確認することができた.この結果は,複数の群れを用いた粒子群最適化法により,同一の問題を繰り返し解くことなく,検査の網羅性を高めることができることを意味している.これらの研究成果を査読付き国際会議論文にまとめて発表した. 2022年度に掲げたもう一方の課題であるベンチマーク生成に関しては,先行研究の調査を進めた. さらに,先行研究で提案されている方法を改良して,並行システム向けの問題を生成する方法を考案した.ベンチマーク生成法の実装と,生成したベンチマークを使った検査アルゴリズムの評価を最終年度に取り組む見込みである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は,1) 複数の群れによる粒子群最適化法と使用する目的関数の考案とプロトタイプの実装,2)収集したベンチマークによる検査法の性能評価,の2点の課題を遂行予定であった. 課題1)については,2022年度に先行してプロトタイプを実装することができており,2024年度に予定している検査アルゴリズムの性能改善に取り組む準備ができている.当初の予定通り引き続き性能向上の研究を進める予定である.また,検査網羅度の向上のための反復検査技法の開発まで進めており,計画時の想定よりも実践的な検査法が実現しつつあると考えている. 課題2)についても,先行研究において評価用問題としてしばしば扱われる並行システムの検査問題を用いてプロトタイプ実装の性能評価を行い,その成果を国際会議で発表している.ただし,昨年度明らかになった特定の問題に依存することのない汎用性の評価のためのベンチマークの生成と,生成したベンチマークを用いた評価については今後も研究を進めていく必要がある. 課題2)のベンチマークの生成とそれらの評価に時間を要する見込みではあるものの,課題1)の研究が順調にほぼ予定通り進んでいることから,おおむね順調に進展していると評価した.
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今後の研究の推進方策 |
ベンチマーク生成に関しては,考案した生成法を自動化し,現在実装している検査プログラムに組込む.また,これまで開発してきた検査アルゴリズムを改良して更なる性能向上を目指す.現在開発している複数の群れを用いた粒子群最適化法は,検査のための探索に無駄が多くあり,同一解を数多く生成する可能性があることが分かってきた.そのため,性能を更に高めるためには,この無駄を省く技法を考案する必要がある.粒子群最適化法に適した無駄を省く方法を考案して実装し,計算機を用いた性能評価実験を行う予定である.2024年度は本研究の最終年度であり,従来の研究でよく使われている並行システムの検査問題に適用するだけでなく,新たに生成するベンチマークにも適用することで,開発した検査アルゴリズムの汎用性を最終的に評価したいと考えている.
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