研究課題/領域番号 |
22K12005
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60060:情報ネットワーク関連
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研究機関 | 国立研究開発法人情報通信研究機構 |
研究代表者 |
宮澤 高也 国立研究開発法人情報通信研究機構, ネットワーク研究所, 研究マネージャー (10826366)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 計算リソース制御 / ネットワーク機能 / 機械学習 / データ分析 / 回帰分析 / AI間連携 / ネットワーク / 仮想化 |
研究開始時の研究の概要 |
Beyond 5G 時代では、複数のベンダ技術や実装が混在した大規模な通信ネットワーク基盤において、様々な要件や特徴を持つ多種多様なアプリケーションサービスを、限られたリソースで迅速に提供していく必要がある。 本研究では、マルチベンダネットワークにおいて、サーバワークロードの時変動や障害検知等のネットワークの状況変化に応じて、AI/機械学習を最大限活用し、ネットワーク機能に割り当てる計算リソース(CPU、メモリ、ストレージ等)をエンド・ツー・エンドで適応的かつ高速に調整可能とする複数AI間自動連携技術を提案及び実装し、データ分析や検証実験等を通じて提案技術の有効性を示す。
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研究実績の概要 |
2023年度は、(1)各ベンダ網内の網機能(NF)のCPU利用分析、及び(2)複数のベンダ網AIエンジン間連携に着目し、各々、主に下記の研究成果をあげた。 (1) 非線形回帰分析とクラスタリングと重回帰分析の3種類の機械学習アルゴリズムをカスケード接続して逐次的分析処理を行う Intelligent Model Pipelining (IMP) 技術を、ローカル検証用の仮想化基盤上で実装した。本技術は、特定期間における秒毎のCPU利用率とピーク利用の双方の予測を自動実行できるといったデータ分析高度化に寄与し、さらに仮想NF及びコンテナNFのデータ分析における学習過程を秒単位で自動実行可能とする。研究成果を国際標準化機関の1つである国際電気通信連合(ITU-T)のジャーナル誌(The ITU Journal on Future and Evolving Technologies (ITU J-FET))に掲載した。 (2) 情報通信研究機構(NICT)が運用する研究開発用ネットワークテストベッド(JGN)上に、大手町・堂島・名古屋の3拠点を跨いだ大規模仮想ネットワーク実験環境を構築した。当該環境にて、情報指向ネットワークのオープンソースソフトウェアであるCeforeのルータ機能及びキャッシュ機能を仮想NFとして組み込み、複数のサブネットのAIエンジン間で連携できる仕組みを設計・実装、及び実験・評価を行い、CPU利用変動の予測誤差を約50%低減可能であることを示した。本技術により、サブネット毎にCPU利用変動をAI分析した結果をサブネット間で共有することで、サブネット毎/VNF毎にAIのアルゴリズムを自律的に更新可能となる。 以上の2つの成果は、NFの計算リソース利用状況が時々刻々と変動しても、変化に追従した計算リソース動的調整を可能とし、ユーザへのサービス品質の維持向上に貢献する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、複数のベンダ実装環境及びサーバ仮想化環境を含むマルチベンダネットワークにおいて、サーバ仮想化環境の状況に適した計算リソース制御最適化に向けたAI間自動連携モデル、特に重回帰分析モデルの提案を行い、シミュレーションや実データ分析(数値解析)等により提案方式の有効性を示すものである。 そのため、下記の研究計画をもとに、ステップ・バイ・ステップで取り組んでいる。 「初年度」:各ベンダネットワークの構成や状況、性能要件等に適したAIモデルを創出し、シミュレーションや既製品ソフトウェアによる数値解析により、リソース利用効率や処理性能等での提案方式の有効性を明らかにする。 「次年度」: 初年度の成果を踏まえ、複数種類のサーバ仮想化環境のAI間連携モデルを創出し、既製品ソフトウェアを用いた原理確認のための実データ計測/分析を行い、リソース利用効率や処理性能等での提案方式の有効性を明らかにする。 「最終年度」: AI間自動連携モデルについて、既製品ソフトウェア、さらには様々なアプリケーションを用いて 実データ計測及び分析を実施することにより、総合的な評価を行う。 2023年度は、本研究開発の2年度目であり、上記の「次年度」に記載の内容を対象とし、計画通り、複数種類のサーバ仮想化環境のAI間連携モデルを設計・実装、及びNICTのテストベッド(JGN)を使った実験及び評価を行い、その有効性を立証した。従って、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に対象とした各ベンダネットワーク内のAIモデルと、2023年度に対象とした複数のベンダ網AIエンジン間連携モデルを統合し、NICTが運用する研究開発用ネットワークテストベッド(JGN等)もフル活用した検証実験環境の構築、実験及び総合評価を行う。
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