研究課題/領域番号 |
22K12030
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60070:情報セキュリティ関連
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研究機関 | 公立はこだて未来大学 |
研究代表者 |
白勢 政明 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 教授 (70530757)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 暗号ハードウェア / 高位合成 / 楕円曲線 / 耐量子計算機暗号 / 実装 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、楕円曲線暗号、ペアリング暗号、同種写像暗号といった楕円曲線を用いる公開鍵暗号の高位合成によるハードウェア(FPGA)実装を研究する。高位合成とはC言語でハードウェアを記述する手法であり、高位合成を用いることでソフトウェア実装のための高速化手法がハードウェア実装にも適用できると考える。本研究の特徴は、複数メーカーのハイエンドからローエンドまでのFPGAを対象とすること、近年提案/改良された暗号アルゴリズムを反映させること、研究代表者が開発した多数ビット高性能演算器等の回路を採用することである。
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研究実績の概要 |
高位合成は,ハードウェア記述言語の代わりにC言語のようなプログラミング言語を用いてハードウェアを設計する手法である.本研究での高位合成によるハードウェア実装の対象とには,現在一般的に普及している楕円曲線暗号,近い将来必要となることが予想され耐量子計算機暗号の一つの同種写像暗号,研究代表者が考案した楕円曲線のMe演算を用いる暗号を考えている.最初の2つの共通点は,前方秘匿性を有した公開鍵暗号を構成できる点である.Me演算を用いて前方秘匿性を持つ公開鍵暗号を構成できるかどうかは,現時点では不明である.同種写像暗号は他の耐量子計算機暗号より鍵長が短いという長所と暗号処理が遅いという欠点を持つ. 研究代表者は,Me演算のn回の繰り返しの類似であるMeスカラー倍を改良し(第2Meスカラー倍と呼ぶ)スカラー値を正の有理数に拡張できることを示した.また従来のMeスカラー倍にはなかった第2Meスカラー倍の性質があることを証明した[1].また,[1]で提示した第2Meスカラー倍の性質を利用することで,暗号技術の一つである対話式ゼロ知識証明を構成できることを示した[2].これはMe演算による暗号プロトコルの開発の初の成功例である.更に[4]では.効率性は悪いもののMe演算を用いてディジタル署名が構成できそうなことを示した. 同種写像暗号の一種のCSIDHに対して,複数の多倍長整数演算ライブラリを用いて実装を行い,比較を行った[3].この成果は高位合成に活用することができる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度の研究成果は高位合成の前段階であるC言語実装と理論的な暗号の改良のみであるため,研究状況はやや遅れている.2023年度は本研究の主目的である高位合成に関する研究を遂行する予定である.
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今後の研究の推進方策 |
未発表であるが,暗号実装に不可欠な有限体上の逆元計算の改良と実装が終っており,高位合成のための準備が終っている.2023年度は各暗号に対して,使用するFPGAを一つに固定し,有限体計算法,拡大体の構成法,楕円曲線のタイプ,スカラー倍算計算法を色々と選択して暗号を実装し,どの選択が高位合成に最適かを調査する.FPGAの違いによる実装比較は来年度に行いたい.
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