研究課題/領域番号 |
22K12036
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60070:情報セキュリティ関連
|
研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
木下 宏揚 神奈川大学, 工学部, 教授 (70202041)
|
研究分担者 |
森住 哲也 神奈川大学, 工学部, 非常勤講師 (70537422)
宮田 純子 芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (90633909)
細野 海人 神奈川大学, 工学部, 助教 (40955548)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2026年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
|
キーワード | 知覚ハッシュ / 電子透かし / CNN / 電子著作権管理 / メッセージダイジェスト / モデル圧縮 / ディジタル著作権管理 |
研究開始時の研究の概要 |
画像の著作権管理では流通過程で原画像が加工編集されても、原画像との見た目の同一性を確認できる必要がある。このような用途には画像の見た目の特徴を反映した画像の指紋とも言える知覚ハッシュが適している。本研究では機械学習の学習過程で得られる情報に基づいた知覚ハッシュ生成法を構成することで、既存の手法では得られない性能を実現させる。またこれを電子透かしなどの著作権管理に応用する手法を開発する。
|
研究実績の概要 |
a)CNNノードのレスポンスを活用した知覚ハッシュ: ImageNetで訓練されたCNNモデル(VGG-16) のレスポンス(中間層や全結合層・出力層)を活用し,知覚ハッシュの生成を行った.レスポンスの選択が精度や計算コスト(ファイルサイズ,ファイルの生成時間)に与える影響を明らかにし,そのバランスが最も良いとされるレスポンスを特定した.また,別の機械学習モデルで画像の生成などに用いられるVAE(変分オートエンコーダ)において画像の本質的な情報が含まれている潜在変数のレスポンスに基づく知覚ハッシュの生成法を提案した. b)CNNモデルの係数に基づく知覚ハッシュ: CNN モデルのモデル圧縮手法の中で,枝刈りと蒸留に焦点を当て,共有データサイズの削減を行いつつ,知覚ハッシュの識別精度と圧縮率の関係について評価を行った.また,別のアプローチとして,転移学習を基いることにより,知覚ハッシュの生成者と検証者の共有情報量を削減する手法の提案を行い,精度を保ったまま情報量の削減が可能であることを示した.また様々なCNNモデルについて,モデルのサイズ,識別精度の観点から比較検討をおこい,どのモデルが知覚ハッシュ生成に適しているか検討を行った.さらに,画像に対するCNNモデルの係数に基づく知覚ハッシュを音声情報に応用した. c)知覚ハッシュを応用した電子すかし: 埋め込み可能な透かし情報を増加させ,透かし情報の復元の精度について検証を行い有用性を確認した.また,画像生成AIサービスのStable Diffusionを用いた加工について耐性を検証した。 d)電子透かしへのテンソルの応用: 知覚ハッシュを応用した電子透かしとの性能を評価するために既存の電子透かしの構成法の検討として,画像の特徴量ごとの重要性を解析するT-SVD法やテンソル分解、カオスマップなどを用いた手法を提案した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CNNの構造と状態に基づいた新しい知覚ハッシュの構成法については、CNNを用いた知覚ハッシュには対象画像を受理するように学習したCNNモデルの重み係数に基づく方法と一般の画像のクラス分類のためのCNNモデルに対象画像を入力した際のモデル中のノードのレスポンスに基づく方法がある。前者については、課題となっていたモデルサイズの削減について蒸留を用いた方法について初歩的な実装を行った。また異なるアプローチとして転移学習を用いた共有情報の削減法を提案しモデルサイズと同等の効果を確認できた。後者については、VGG16などのCNN以外のモデルとしてVAEなどのオートエンコーダを用いた手法を提案することができた。画像のグループを受理する知覚ハッシュについては、具体的なアプリケーションへの適応を検討しているが、準備段階にとどまっている。知覚ハッシュ技術の電子透かしへの応用については、従来問題となっていた埋め込み情報量を実用的なレベルまで向上させることができた。また、他の電子透かしとの比較検討を一定程度行うことができた。ブロックチェーンを用いた電子透かしの管理については、ブロックチェーン場への実装方法の検討にとどまった。CNNモデルへの電子透かし埋め込みについては、方式の検討にとどまった。以上のように予定された項目について、進捗状況に差はあるものの2年目としては概ね進捗状況は順調に進んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
(1)画像などのコンテンツを識別するための固有の情報の知覚ハッシュに基づく著作権管理システム CNNのノードのレスポンスを用いた方式と,CNNモデルの重み係数を用いた方式について,性能の改善や民俗学で扱われている実際の資料への適用など応用分野について検討を行う.加工編集に対する耐性を向上させるため生成AIを用いたオーグメンテーションの手法について検討する。また機械学習のモデルについてのVAEなど他の方式について検討を行う.さらに画像に対する知覚ハッシュを応用して、動画に対する知覚ハッシュや音声情報に対する知覚ハッシュ構成法を検討する。また学習済みのCNNモデルに対するメッセージダイジェスト構成法について検討する。レスポンスベースの方式の閾値の設定法について最適な手法を検討する。 (2)画像に様々な情報を埋め込む電子透かしやステガノグラフィにおいて画質と耐性を両立した手法の構築 知覚ハッシュによる電子透かしについて、埋め込み情報量の向上と攻撃に対する耐性の検証を行う。テンソルによる電子透かしについて性能の向上やボケ変換の応用など新しいアルゴリズムの適用について検討を行う.動画像の電子透かしについては静止画に比較して加工編集が多義にわたるため,これへの対応も検討する.
|