研究課題/領域番号 |
22K12051
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分60090:高性能計算関連
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研究機関 | 拓殖大学 |
研究代表者 |
藤堂 英樹 拓殖大学, 工学部, 准教授 (30576517)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | アート表現 / 微分幾何 / ストローク / ノンフォトリアリスティックレンダリング / コンピュータグラフィクス |
研究開始時の研究の概要 |
筆致(絵筆によるストローク描写)を取り入れた動画映像制作のコストを効果的に低減することを目的として,アーティストが描いたお手本表現を計算機が自動で任意の三次元曲面形状物体に転写,アニメーション合成できる作画支援手法を開発する.作画では,キャンバス上に立体物を描写する過程で道具や対象物の幾何特性が深く関わっており,曲面上の幾何に関する厳格な数理的枠組みを提供する微分幾何の考慮が必要となる.微分幾何とアーティスティックな制御の融合により,アーティストによる表現の自由度を担保した上で,破綻のない自然な筆致表現の合成を実現する.
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研究実績の概要 |
本研究では,アーティストのストローク描写の合成を題材に,「アーティスティックな制御と微分幾何による表現の融合」を実現する技術の研究開発を行っている. 2022年度は,油彩画表現を対象として三次元形状にストロークを転写合成する技術の開発を行った.特に,三次元曲面上で合成されるストロークを時間連続に動かす根幹部分で微分幾何の枠組みが重要となり,三次元曲面上のベクトル場でストローク表現を定式化する際に数学者との議論が大いに役立った.提案した数理構造に基づき,アーティストが参照画像の上に描いたお手本の油彩画表現を三次元シーンのアニメーションに転写合成するシステムに落とし込んでおり,CG分野のトップカンファレンスである国際会議SIGGRAPH Technical Papers (Conference Paper採択)での技術発表,国内会議VCシンポジウムでの招待講演の研究成果につながっている. また,より一般的な描画対象(煙や雲のような関与媒質),描画方式(半透明の塗り重ねを含む水彩描画)に拡張していく上での基礎実験にも着手した.具体例として,関与媒質への応用では,内部構造を持つ三次元ボリューム表現に対して微分幾何による定式化を行う必要があり,ベクトル場表現の基礎となる照明成分や曲率,法線などの計算・可視化を行った.三次元曲面,油彩画から合成の自由度を上げることで,微分幾何や数理構造と関連した挑戦的な研究課題の方向性が見えてきている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績での概要に述べたように,油彩画を対象としたストローク転写合成の研究がトップカンファレンスの国際会議に採択されており,一定の成果が得られている.この技術は研究計画で述べた課題1「微分幾何を考慮したアート表現の定式化」,課題2「アート表現の数理構造の解析と抽出」,課題3「抽出した数理構造に基づくアート表現の生成」の枠組みに基づくものであり,順調に進展している. また,研究技術を「(1) 三次元ボリューム表現への合成が必要となる関与媒質への応用」,「(2) ストローク描画の混色が起こる水彩画への拡張」の形で発展させるための基礎実験にも着手を開始しており,順調に進展している.
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今後の研究の推進方策 |
2022年度実施した油彩画表現を対象したストローク転写合成の研究において,本研究が提案する「アーティスティックな制御と微分幾何に基づく表現との融合」が有効であることが示されたが,ストローク転写をより一般的な描写対象,描画方式に拡張する上では微分幾何や数理構造と関連した挑戦的な課題が残っており,2023年度はこれらを研究対象とする. (1) 三次元ボリューム表現への合成が必要となる関与媒質への応用 今年度の研究では三次元曲面への合成を仮定しており,内部構造を持つ煙や雲などの関与媒質を扱うためには,三次元ボリューム表現上で微分幾何を扱う必要がある. (2) ストローク描画の混色が起こる水彩画への拡張 油彩画から水彩画に描画方式を拡張するには,半透明な塗り重ねによる混色効果を扱う必要があり,既に描画されたストロークとの関係性も含めて最適化の枠組みを見直す必要がある. 本研究課題の推進には,数学者との密な議論が重要となるため,2022年度の協働体制を継続して研究を実施する.
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