研究課題/領域番号 |
22K12070
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61010:知覚情報処理関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
山口 雅浩 東京工業大学, 工学院, 教授 (10220279)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | ホログラフィー / 3Dディスプレイ / 計算機合成ホログラム / 効率的計算手法 / 映像圧縮 |
研究開始時の研究の概要 |
立体像表示のホログラムを計算機で生成する技術(Computer Generated Holography: CGH)において、動きを持つ立体像のCGH計算を高速に行う新たな手法を提案する。具体的には、研究代表者らがこれまでに開発した「光線-波面変換」方式に基づき、光線情報に対して、動画像の圧縮にヒントを得た手法を提案する。提案手法を用いて動きのある立体像のホログラムを計算し、再生照明光の点滅により高品質な立体像表示が可能なハードコピーとしてのホログラムを作成する。これによって、提案手法の有効性の実証と、リアリティーの高い動画ホログラムのデモを行う。
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研究実績の概要 |
ハードコピーのホログラムで3Dのアニメーションを表示するCGHに関して、超高解像度(128k×128k画素)のサンプルを計算し、レーザリソグラフィーを用いた出力装置を用いて作成して再生像を観察したところ、動きの再生は確認できたものの、強いアーティファクトが発生した。その原因について調査したところ、レーザリソグラフィーを用いた出力に際してホログラムを2値化する段階でのエラーであることが判明したため、その点を改善して再度出力を行うこととした。また、LED光源を用いて再生する場合に波長分散の影響でアニメーションとして記録できるフレーム数が減少することから、LED光を反射型ホログラム光学素子で反射させて波長分散の影響を低減する手法を検討し、その効果を定量的に示した。 CGH計算に用いる正射影画像列には視点方向と時間方向に冗長性があり、ライトフィールド画像・多視点動画像の圧縮に利用されている。今回は、この冗長性を利用してアニメーションCGHの計算量低減を図るため、様々な方向への正射影画像列のシーケンスに特異値分解を適用し、FFTの計算回数を削減する新たな手法を提案した。具体的には,隣接する視点の複数フレームの正射影画像列を特異値分解し、正射影画像を少数の基底画像とその係数で表現する。FFTの計算は少数の基底画像だけでよく、基底画像のFFT結果と係数をかけ合わせることで全ての正射影画像のFFT結果を取得する。これによって、FFTに用いる基底画像の枚数を削減することで画質の低下は見られるが、計算量の削減か可能であることを8フレームのアニメーションCGHについての計算機シミュレーションにより確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アニメーションCGHの出力で予想外のアーティファクトが発生したためその原因究明に時間を要したが、2023年度末までには改善を確認することができ、実際のCGHのハードコピー出力の準備が完了した。計算量低減については並行して新たな手法を実装し、計算機シミュレーションで検討を実施することができたため、研究全体としては大きな問題はない。またLEDアレイを用いた再生光学系についても検討が進んでいることから、おおむね順調な進展と言える。
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今後の研究の推進方策 |
まず、2023年度中に改善したアルゴリズムにより再計算した結果を用いて、レーザリソグラフィーを用いたCGH出力を行い、LEDアレイを用いたアニメーション再生の確認を行う。LED順次点灯による再生光学系に関しては2023年度の検討結果を踏まえて改善したものを用いる。また、本研究で提案した1段階の波面伝搬計算でアニメーションCGH計算を行う手法に関して、従来の2ステップ記録法をそのまま模倣した計算方法との比較を、計算量・再生像品質などについて行う。1段階の波面伝搬計算では回折によるアーティファクトが生じる可能性があるが、視覚的に問題となるレベルの影響がある場合には、そのアーティファクトを抑制する方法の検討も行う必要がある。 フレーム間及び光線方向間の冗長性を利用して計算量削減を図る手法の性能は現時点で十分とは言えないため、計算パラメータを最適化して計算量削減の効果を高める検討を行う。特異値分解を用いる方法以外のアプローチについても合わせて適用を試みる。また異なる複数のアニメーション3Dコンテンツ、特に、自然な動きを持つ3D映像コンテンツを対象として評価を行い、計算量低減と再生像の3D画質低下の関係を計算機シミュレーション及び実験を通じて明らかにする。
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