研究課題/領域番号 |
22K12080
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61010:知覚情報処理関連
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研究機関 | 津田塾大学 |
研究代表者 |
杉村 大輔 津田塾大学, 学芸学部, 准教授 (10712052)
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研究分担者 |
浜本 隆之 東京理科大学, 工学部電気工学科, 教授 (10297624)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 知覚情報処理 / 情報センシング / 人間計測 |
研究開始時の研究の概要 |
多波長映像を用いた非接触型生命兆候計測に関する研究を行う.照明変動が大きい環境下では,被験者は照明の影響を強く受けるため,生命兆候の計測精度は低下する.また,従来研究は,被験者の特定領域を長時間一貫して観測する必要がある.これは,被験者の行動を制限することに繋がる. これに対し本研究課題では,多波長映像信号の適応的融合に基づく生命兆候計測手法を開発する.観測環境における照明状況に応じて可視光および不可視光映像信号を適応的に活用することで,照明変動に非依存な生命兆候計測を実現する.さらに,人間の拍動周期に関する医学的知見を組み入れることで,短時間観測からの高品質な生命兆候信号計測を実現する.
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研究実績の概要 |
本研究課題では,カメラ映像を用いた非接触型生命兆候計測に関する研究に取り組む.特に,生命兆候に関する医学的知見を組み入れた多波長映像信号の適応的融合に基づく生命兆候計測手法の開発を行う.具体的には,(1) 照明変動が大きい環境における生命兆候計測精度の低下,および(2) 被験者の特定領域を長時間一貫して観測する必要性,という,従来研究では対処が難しい二つの課題を解決することを目指す. 2023年度は,前年度に検討した脈波の時空間的な挙動をモデリングした脈波信号抽出手法についてさらなる検討を行った.前年度の検討では,脈波の準周期的な時間変化を自己回帰モデルにより表現し,さらに,脈波信号は空間的に一様に観測されるという医学的知見を組み込み,脈波計測を実現した.このような階層的なアプローチは,脈波の時間および空間特性を独立に扱っているため,照明変動が強い環境では十分な精度で推定ができないことが本年度の検討によりわかった.このような問題を解決するために,遅延座標系における動的モード分解に基づいた,脈波の時間・空間特性を統一的に表現可能な脈波計測法を開発した.本方式は,脈波の時間・空間特性を統一的にモデル化できるため,より頑健な脈波推定を実現することができる.最先端の手法と比較することで,本方式の有用性を確認することができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度の検討を踏まえ,脈波の時間・空間的な挙動を統一的にモデリングした脈波信号計測手法を開発した.評価実験により,最先端の手法に比べ脈波信号計測性能が向上することを確認した.心拍推定性能については最先端の手法と比べおよそ36.5%の精度改善を達成することができた. その他生命兆候計測については,多波長信号の利用による酸素飽和度計測についての基礎検討を行うことができた.具体的には,観測環境の明度の違いに適応した計測方式の開発を行った.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度の検討により,脈波の時空間的な挙動を統一的にモデリングすることが非接触型脈波計測において有効であることを確認することができた.今後は,多波長信号計測の枠組みを活用し,時間・空間・波長ドメインにおける脈波の統一的なモデル化を行う予定である.これにより,本研究で掲げる一つ目の課題である照明環変動についてより頑健な計測方式を確立する予定である. さらに,本研究課題で取り組む二つ目の課題である,長時間計測を必要としない生命兆候計測手法の確立についてさらなる検討を進める予定である.現段階では,分散圧縮センシングの考え方に基づいた脈波のモデル化を行うことで,短時間脈波計測において一定の性能を確認できている.今後は,様々な映像を用いて評価することで,本方式の性能改善を行う予定である. また,前述した基礎検討ができている酸素飽和度計測についてさらなる検討を進める予定である.具体的には,明度の違いだけでなく,照明の時間変動に頑健な方式の確立を目指す. 最後に,本研究課題の総括を行い,本研究の問題点や改善方法について検討する.
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