研究課題/領域番号 |
22K12108
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61020:ヒューマンインタフェースおよびインタラクション関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
立蔵 洋介 静岡大学, 工学部, 准教授 (30372519)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 逆システム型音場制御 / 室内音響伝達特性 / LiDARスキャナ / クリギング / 音場制御 / 逆システム / 音響伝達特性 / 室内3Dモデル / 深層学習 |
研究開始時の研究の概要 |
逆システム型音場制御では,他の体験者に干渉させることなく自分の聞きたい音だけを聴取できるが,逆システム設計に不可欠な音響伝達特性のインパルス応答を実測するときには,体験者に心身の負担がかかることが課題であった. 本研究では,音響伝達特性のインパルス応答の測定について着目し,できるだけ実測することなく必要なインパルス応答を推定する手法を確立することで体験者の負担軽減を図る. 研究の手法として,室内3Dモデルと幾何音響シミュレーションに基づく推定手法の構築や深層学習を用いたデータ駆動型推定手法の構築を踏まえ,合成された再生音の評価を通じて音場制御における音響伝達特性の機能解明を図る.
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研究実績の概要 |
本研究では,逆システム型音場制御において不可欠である室内音響伝達特性のインパルス応答の測定について着目し,できるだけ実測することなく,必要なインパルス応答を推定する手法を確立することで体験者の負担軽減につなげていく. 初年度においては,室内3Dモデルと幾何音響シミュレーションに基づく推定手法を構築するため,iPadに搭載されているLiDARスキャナを用いて室内の3D計測を行い,そのデータからどの程度室内音響伝達特性のインパルス応答を推定できるかについての検討を行った.実環境の部屋において実測されたインパルス応答と3Dモデルから推定されたインパルス応答の比較を行ったところ,現状の推定精度は高くなかった.原因を調査したところ,スピーカ位置や受音点位置の計測精度が高くなかったために直接音の到来時間推定に誤差が生じていたことの影響が大きかった.一方で,直接音を基準とした初期反射音の到来時間については,概ね妥当な精度で測定できていた. また,すでに測定されているインパルス応答データを用いて,未測定位置のインパルス応答のデータを推定・補間するため,統計的な手法であるクリギングを導入することを試みた.通常クリギングと近傍クリギングの2つを用いて直接音の到来時間推定を行ったところ,概ね妥当な精度で推定ができていたが,スピーカ位置に対する未測定位置の受音点の位置関係によっては推定精度が大きく劣化する場合があることが明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
室内3Dモデルと幾何音響シミュレーションに基づくインパルス応答の推定については,直接音を期待されていた精度で推定するには至らなかった.この理由として,スピーカ位置と受音点位置の測定精度が不十分だった影響が大きい.これが使用されたLiDARスキャナの測定精度の問題なのか,測定データのレンダリング精度の問題なのかを,まずは切り分けて分析していく必要がある. 一方で,クリギングを用いた到来時間推定については,スピーカと受音点位置の配置関係によって推定精度が十分なところもあれば,明らかに劣化した精度であるなど,推定結果にばらつきが生じていた.まずはこのばらつきをなるべく抑える知見を速やかに見出す必要がある.
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今後の研究の推進方策 |
研究初年度において推定精度が不十分であった室内3Dモデルと幾何音響シミュレーションに基づくインパルス応答推定について,直接音成分の推定精度を左右する要因についてできるだけ速やかに解明するとともに,壁面による提示反射音の推定について引き続き検討を進めていく.状況に応じて使用機材の変更などについても検討を行う.また,壁面以外による反射の影響についても,例えばテーブルや椅子など,恒常的に室内に置かれているものなどについては可能な限りモデル化できないかを検討する. クリギングを用いたインパルス応答の推定・補間については,スピーカ位置と推定精度の関係の解明を図る. 加えて,今年度からはシミュレーションによって大量のインパルス応答データを蓄積し,任意の点間のインパルス応答を深層学習によって推定できないかを検討する.まずは室内の環境を一定のままにして,あらゆる点間のインパルス応答を模擬してデータベース化を図り,任意の点間を入力したときにインパルス応答を出力するようなモデルを構築する.
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