研究課題/領域番号 |
22K12115
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61020:ヒューマンインタフェースおよびインタラクション関連
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
中田 崇行 富山県立大学, 工学部, 教授 (50381687)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 仮想力覚 / ヒューマンインターフェース / 非対称振動 / 線形アクチュエータ / ヒューマンインタフェース |
研究開始時の研究の概要 |
仮想力覚提示装置は,リニアモーターに特殊な振動をさせることにより,触覚よりも一歩進んだ,力覚の錯覚(仮想力覚と称する)を提示する装置である.本研究では,仮想力覚に2次元,3次元(2方向,3方向)の自由度を持たせることを目的とする. このとき,「高周波PWM信号」を高精度に制御しながら合成することで,より精度の高い2次元仮想力覚提示を目指す.本研究により,スマートフォンやゲームパッド等に搭載されるバイブレータは「単なる振動」ではなく「方向性を持った力覚」の提示装置として拡張され,その表現は劇的に広がることが期待できる.
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研究実績の概要 |
仮想力覚提示装置は,線形アクチュエータに高周波PWMを使用した特殊な非対称振動を行わせることにより,触覚よりも一歩進んだ,力覚の錯覚(仮想力覚と称する)を提示する装置です.従来の研究では,この仮想力覚は1次元(1方向)にのみ提示可能であることが報告されているが,本研究では,仮想力覚に2次元,3次元(2方向,3方向)の自由度を持たせることを目的とします.本研究では,直交に配置したアクチュエータに加える非対称振動信号の周波数と位相を同期させることによって,2次元に仮想力覚を拡張する合成振動を生成します.またその非対称振動信号は,高周波PWM信号を制御しながら合成することで,より精度の高い仮想力覚提示を目指します. より具体的には,線形アクチュエータとして使用するモータの振動提示方法を提案します.市販のモータからの非対称振動を指腹に対して水平方向に提示することで,平面方向に仮想力覚を提示する装置が開発されています.しかし,指腹に対して垂直方向に振動を提示した場合の知覚率は水平方向よりも低いことが確認されており,3次元方向への仮想力覚提示は困難でした.同時に,3次元デバイスに用いるためのモータの設計を行いました.市販のものでは全体のデバイスが大きくなりすぎ,実験が行えない事が判明したためです. 自作モータを開発し,それらを使用して3次元方向の仮想力覚を提示するために,指先の側面でモータを把持する方法を提案して,その有効性を確かめました.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
3次元デバイスの作成において,今以上に個々の仮想力覚をより強くすることが求められたため,本年は仮想力覚の知覚精度向上を目的としました. 味覚や視覚において知覚を強調させる手法として,対比効果があります.味覚においては,甘い食材にわずかに塩味を加えることで甘味が強調されますが,これが対比効果であり,本年は対比効果を用いて仮想力覚の知覚精度の向上を試みました. 対照実験として2次元仮想力覚装置を用いて,1000ms間仮想力覚を提示した場合と,提示する直前の300ms間,提示する方向と逆方向の仮想力覚を提示してから提示する方向に1000ms間提示をしています.提示する方向は,前後左右と45度ずらした斜めの方向を含む8方向です.実験の結果,知覚精度の向上を確認できました.また,対比効果の有無において有意水準5%で対応のあるt検定を行い,有意な差があることを確認できました.
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今後の研究の推進方策 |
対比効果等の知覚精度の向上をさらに行った後,3次元提示デバイスの製作を行う予定です. そうして出来た試作デバイスを順次,より多くの被験者を対象に評価試験を行う事を予定しています.
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