研究課題/領域番号 |
22K12126
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61020:ヒューマンインタフェースおよびインタラクション関連
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
田中 一晶 京都工芸繊維大学, 情報工学・人間科学系, 准教授 (70721877)
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研究分担者 |
岡 夏樹 宮崎産業経営大学, 経営学部, 教授 (20362585)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ロボットハンド / VR / 触覚センサ / ソーシャルタッチ / 半自律 |
研究開始時の研究の概要 |
離れて暮らす家族や恋人と触れ合う接触動作を再現する遠隔身体接触システムが提案されているが,孤独感から生じる心身の病は未だ社会問題となっている.本研究では,相手の接触動作をそのまま再現するだけでなく,機械学習技術で生成した接触動作も自律的に実行することで身体接触を促進し,空間共有感(相手と同じ空間にいる感覚)を強化する半自律遠隔身体接触システムを開発する.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は,ロボットハンドを介して離れた場所にいる相手と手をつないでいる感覚を生み出すために,遠隔操作だけでなく有効な手の動きを自動生成する「半自律遠隔身体接触システム」を開発することである.この目的に向けて,次の成果が得られた. まず,ロボットハンドを握るユーザの手の動きを取得するため,ロボットハンドの皮膚素材の内側に配置してもその柔軟性を損ねないセンサを開発する必要がある.そのようなセンサとして,導電性シリコンゴムを電極として使用し,それを非導電性シリコンゴムにはめ込んだ静電容量式センサを製作した.計測した静電容量から撫でる,くすぐる等の9状態を識別するLSTM(Long Short-Term Memory)モデルを構築した結果,全体で76.2%の正解率で識別可能であることを示した.この成果はインタラクション2023にてインタラクティブ発表賞(PC推薦)を受賞した(全デモ発表164件中,27件がプレミアム採録され,その中からプログラム委員の審査により上位7件(上位4%)が受賞). 次に,ロボットハンドを介した身体接触のためのインタフェースに関する研究も実施した.離れた場所にいる相手をディスプレイに表示した場合,相手の映像は2次元的に表示されるのに対し,その相手の手の代替となるロボットハンドは3次元的に存在するため,それらの間に次元の矛盾が生じる.これに対し,相手の姿をHMD(Head Mounted Display)で3次元的に表示し,その手の位置にロボットハンドを設置することで次元の矛盾を解決するシステムを開発した.このシステムで相手をVRまたはARで表示する2条件と,ディスプレイで表示する条件とを比較する実験を実施し,相手の映像とロボットハンドとの繋がりを最も感じられるVR条件が空間共有感を高める上で有効であることを示した.この成果は投稿準備中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
センサの開発においては,触覚刺激をリアルタイムに取得・識別できるようになり,大きく進展したと言える.その一方で,センサ自体は柔軟であるがセンサの端子とマイコンボードを接続する配線同士の距離が変化してしまうとセンサのデータに大きなノイズが発生してしまうという課題が明らかになった.身体接触用のインタフェースに関する研究については,今後の身体接触デバイスの設計指針となる有用な知見を得ることができ,おおむね順調に進展していると言える.
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今後の研究の推進方策 |
センサ開発,身体接触用インタフェースのいずれの成果においても査読付き論文への投稿を進める必要がある.そのために必要な追加実験を実施している.研究の推進においては,ロボットハンド内にセンサを組み込む手法や,それによってどのようにデータを取得するかなど検討を進めている.
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