研究課題/領域番号 |
22K12128
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61020:ヒューマンインタフェースおよびインタラクション関連
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
鈴木 桂輔 香川大学, 創造工学部, 教授 (80373067)
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研究分担者 |
内田 信行 一般財団法人日本自動車研究所, 自動走行研究部, 研究員 (40426250)
神邊 篤史 愛知工科大学, 工学部, 助教 (90831339)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 交通事故防止 / 運転可否判断 / メタ認知 / 運転教育 / シミュレータ / 高齢ドライバ / 高齢者 / 交通事故の低減 / 神経心理学検査 / 運転シミュレータ / 運転教習 |
研究開始時の研究の概要 |
複数の神経心理学的検査を組み合わせた認知能力の分析結果と運転シミュレータを用いた運転スキルの分析結果に基づいて,運転可否を判定するためのガイドラインを策定する.また,運転が難しいと判定されたドライバに対して,自己の「認知・判断・操作」のスキルの低下に対する補償行動を促すことにより交通事故の発生リスクを抑制できる教習方法を提案し,その教習効果を医療機関と連携して検証する.
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研究実績の概要 |
以下の2つを主たる取り組み項目として設定した.1)安全運転の可否を判定する手法の提案;Trail Making Test-J partB(以後,TMT-Jと記す)を用いた机上の検査(認知能力)とドライビングシミュレータを用いた走行実験(運転能力)を組み合わせた,安全に運転できるかを判定する手法を提案する.2)メタ認知による補償行動を獲得できる手法の提案;ドライバ自身に自己の運転能力を正しく認知させ,自己の運転能力が低下していたとしても安全に運転を可能とする補償行動を促すトレーニング手法を提案する. 本研究で得られた結果を総括して以下に示す. 1)TMT-Jの所要時間が91.9秒とTTCminが0秒を閾値として運転可否判定を行う手法を提案し,30名の高齢ドライバを対象に評価した.TMT-Jのスコアと運転能力の評価値(TTCmin)を組み合わせることで,例えば,認知能力が低下していても,補償行動をとることにより,安全に運転できるドライバかを判定することが可能であることを示した. 2)自己の運転スキルを他者と比較して相対的に示したレーダーチャートと鳥観図を用いた運転の振り返りを行うトレーニングを提案し,30名の高齢ドライバを対象に実施した.メタ認知能力の改善割合と運転能力の改善割合の間に正の相関(p<0.004,r=0.506)を確認し,メタ認知能力が改善することで,運転能力が改善する傾向を確認した.認知能力が低下しているドライバは,メタ認知トレーニング後,交通事故リスクが高い交差点で速度を抑制することで,リスクを回避する補償行動をとる傾向にあった. 本研究では,交差点での出会い頭事故を再現したが,他の形態の交通事故も多く発生しているため,構築した走行環境での結果のみで様々な道路環境における全ての運転行動の説明が可能であるかを検証する必要がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定していなかった,以下の連携体制を構築し,研究成果を地域の住民に公開する,地域住民参加型のイベントを実施した. 1)保険会社(あいおいニッセイ同和損保)との連携による県内高齢者施設およびコミュニティセンターでの高齢者を対象とした運転教育,日時;2023年7月23日(日)終日,場所;琴平電鉄瓦町駅開催前広場 2)県警と連携した,交通事故防止イベントの開催,日時;2023年9月24日(日)終日,場所;たかまつ競輪場 さらに,当初は提案するメタ認知トレーニングを四輪自動車に限定して提案し,その効果を検証する予定であったが,次世代型電動小型モビリティ(電動キックボードほか)についても,提案する運転トレーニングと運転可否の判定を行う手法の提案に着手した.また,これらを実施する,多画面モーション装置つきの電動キックボードVRシミュレータを独自に開発した.
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今後の研究の推進方策 |
現在実施している,Trail Making Test-J partB(以後,TMT-Jと記す)を用いた机上の検査(認知能力)とドライビングシミュレータを用いた走行実験(運転能力)を組み合わせた,安全に運転できるかを判定する手法は,以下が課題として挙げられる. 1)ドライビングシミュレータを用いたVR空間でのメタ認知トレーニングであり,その効果も,同様にVR空間での評価である. 2)トレーニングの対象者が,高齢者に限定していた. 当該研究の最終年度にあたる2024年度では,連携を開始した,保険会社(あいおいニッセイ同和損保)の協力を得て,30名程度の営業業務で社用車を用いるドライバを対象に,トレーレニングの効果を実環境で検証する. また,高齢者のほか,30歳代以下の若年ドライバについても,30名程度を対象に,メタ認知トレーニングの効果を検証する. さらに,これらメタ認知トレーニングを四輪自動車の運転のみでなく,次世代型電動小型モビリティ(電動キックボードほか)についても適用し,30名程度の実験参加者を対象として,その効果を検証する.
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