研究課題/領域番号 |
22K12148
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分61030:知能情報学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
加藤 芳秀 名古屋大学, 情報連携推進本部, 准教授 (20362220)
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研究分担者 |
松原 茂樹 名古屋大学, 情報連携推進本部, 教授 (20303589)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 自然言語推論 / 構文構造 / 否定スコープ認識 / 構文解析 / タブロー法 / ニューラルネットワーク / 形式意味論 / 自然言語処理 |
研究開始時の研究の概要 |
自然言語推論とは,2つのテキストが与えられたとき,それらのテキスト間に成り立つ「含意」,「矛盾」といった推論的関係を同定するタスクである.本研究では,構文構造に基づきテキストを分割・変換し,自然言語推論の問題を複数の部分問題に還元する推論エンジンを開発する.推論エンジンは,ニューラルネットワークモデルと統合できるように設計する.開発した推論エンジンとニューラルネットワークモデルの統合により,次の性質を持つ自然言語推論システムを実現する. (1)推論的関係を導出する過程が人に解釈できる形で提示できる. (2)ニューラルネットワークモデルに基づく自然言語推論システムと同程度の正解率を達成できる.
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研究実績の概要 |
本研究では,構文構造を操作対象とした自然論理に基づく推論と,ニューラルネットワークに基づく推論とを組み合わせた自然言語推論システムを開発している.本年度は,本システムを構成する次の2つを開発した:(1)自然論理に基づく推論のための構文解析,及び(2)常識的知識に基づく推論を実現するための知識グラフである. (1)は,前年度に開発した構文解析を発展させたものである.自然論理に基づく推論において,否定要素の影響が及ぶ範囲,いわゆるスコープを正しく特定することが重要である.本年度は,否定スコープ認識の精度向上に取り組んだ.具体的には,否定スコープ認識モデルの構築に必要な学習データを拡充する手法を開発した.否定スコープ認識に関するデータセットは複数存在するが,それらのアノテーションは基準が異なっている.このため,これらを単に組み合わせてモデルを学習しても単体のデータセットで学習するよりも精度が低下する.本研究では,アノテーションを統一するための変換手法を開発した.本手法により変換したデータセットから学習した否定スコープ認識モデルは,実験において,最新の否定スコープ認識手法よりも高いF値を達成した. (2)では,常識推論に必要な知識を知識グラフとしてシステムに組み込む方法を検討した.具体的には,IF-THEN形式で常識的知識を表現する知識グラフを,本研究で開発する自然言語推論システムに組み込む方法について検討した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究課題(1)の構文解析の開発は,予定通りに実施できた.研究成果の一部は国際会議 *SEM 2023 で発表し,また論文として公表した. 研究課題(2)については予定よりも遅れている.当初の予定では,常識的知識を扱う知識グラフを実装し,実験により有効性を検証する予定であったが,基本設計の検討に時間がかかったため実施できなかった. 全体としては研究の進捗はやや遅れていると評価した.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は,自然言語推論システムを完成させるために以下の研究課題を実施する. (1)常識推論を実現するための知識グラフを実装し評価する. (2)開発した構文解析,及び常識推論のための知識グラフを,前年度に開発したタブロー法に基づく推論システムの元に統合し,自然言語推論システムを実現する.また,その有効性を実験により評価する.各モジュールの高性能化により,システム全体の性能を向上させる.
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